人材流動化が活発なＩＴ業界
新聞、ビジネス雑誌、ネットで「人材（雇用）の流動化」が促進すると、事業は進展し、新たなイノベーションも期待できるという意見を多く見ます。ただ、日本はそういうエネルギーに乏しく、昭和の終身雇用を前提にした雇用体系が維持され、それが原因で技術革新に対応できない人材を増やし、企業収益を悪化させているとされています。
ただ、ＩＴ業界にいると、人材流動化が日本で停滞している感覚はありません。わたしが新卒で入社した会社は、同期で約５０名のＩＴエンジニアが居ましたが、いまでもその会社で働いているのは３名しかいません。わたしを含めて、ほとんどが別なＩＴ会社に転職しています。
大枠でみると、日本の会社間での人材流動化は停滞しているのでしょうが、業界による違いは大きいと思います。
「業界の動向やランキング、シェアなどを分析-業界動向サーチ」を見ると、ＩＴ（ソフトウェア業界）の利益率は、＋11.2％で、成長率は＋7.4％（2020年-2021年）です。ともに高水準を維持しています。
利益率は、純利益を売上高で割った値です。業界の利益率が高いということは、それだけ体力があることを意味します。収益性が高いので投資ができます。それにより、さらなる事業の成長が見込めます。技術力のある人材であれば、会社は高い報酬を出しても積極的に採用を働きかけます。
成長率は、直近の業界規模の広がりを示す指標です。この値が高いということは、仕事の絶対量が増加傾向にあります。大量の仕事をこなすため、人材がより必要な業界であることを意味します。ですので、会社は業界未経験者の人材でも積極的に雇用します。社内教育やOJT（On the Job Training）を通じて、仕事ができる人材に育てようとします。
ＩＴ業界は利益率も成長率も高い、魅力的な業界です。人材流動化はむかしから活発です。
人材流動化はセキュリティの脅威
人材流動化を情報セキュリティの面で捉えると、脅威しか感じません。
ＩＴのソフトウェア会社であれば、文字通り、ソフトウェアを開発することが仕事です。
ソフトウェアを構成するプログラムは、ソフトウェア会社の著作物です。著作物を保護するための権利に著作権法があります。 著作権法による定義では、著作物とは「 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸 、学術 、美術又は音楽の範囲に属するもの」としています。
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勘違いされやすいのですが、ソフトウェア開発を依頼して納品された会社（発注者）は、著作権は保有できません。開発を受注したソフトウェア会社から利用許諾を受けてプログラムを利用することができます。
ですので、ソフトウェア会社として、重要な資産であるプログラムは、外部への流出は絶対に避けたいところです。
ソフトウェア会社は、プログラムのソースコードをGitHubに代表されるサービスを使って管理しています。
サイバー攻撃者は、有用なソースコードを盗むため、GitHubを使うプログラマーのパソコンを「トロイの木馬」に感染させようとする標的型攻撃を行ったりします。トロイの木馬は、標的のパソコンに感染すると、プログラマーの気がつかないところで、プログラマーのキー操作を記録し、スクリーンショットを撮影して外部に送るような動きをします。
サイバー攻撃者が策をこらして盗もうとするソースコードですが、会社内部にいるプログラマーはソースコードに対する正当なアクセス権があります。プログラマーに悪意があれば容易に社外に持ち出せます。悪意がなくとも、プログラマーが別な会社に転職するということは、ノウハウが外部に流出することですので、実質的にはその会社が保有している著作物の価値が削られるに等しいと思います。
人材流動化の活発なＩＴ業界は、イノベーションを期待しながら、セキュリティの脅威に悩まされるジレンマに浸っています。
ApinkのDilemma（ジレンマ）を聞きたくなりました。2022年の2月に発表された曲で、中毒性があるサビがとても印象的な良作です。4月にApinkを脱退したソン・ナウンさんが歌っている最後の映像は必見です。
Dilemma dilemma dilemma dilemma
Dilemma dilemma dilemma dilemma
솔직히 너 없인 안돼
（正直あなたなしではダメなの）
Baby Love you I love you I love you
못 보내는데 미치도록 사랑해
（手放せないのに おかしくなる程愛してる）
Love you I love you I love you
but 끝내야 해 Dilemma Dilemma
（but 終わらせなきゃ Dilemma Dilemma）
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