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ITエンジニアの年収アップについて

転職サイトを運営するdoda(デューダ)によると、日本の会社員の平均年収は403万円だそうです。そのなかでITエンジニアの平均年収は433万円とのことなので、全体平均よりもエンジニアの年収は高めです。ただ、グローバル社会のなかで見ると、日本のサラリーマンの年収は低いと感じます。日本の会社はアメリカのGAFAや中国のBATに代表される技術革新を起こしていないからでしょうか?あるいは国内政治に問題があるのでしょうか?

doda.jp

とりあえずITエンジニアが年収をアップさせるために必要なことは技術力を高めることです。

プログラマーであれば、他人の書いたコードをコピー&ペーストで再利用するようなレベルでは大した年収は望めません。ソフトウェアのソリューション力を高めるために、再利用可能なオブジェクトを考えることができるレベルにまで技術を持てば年収もアップするでしょう。

また、テストエンジニアはIT未経験でも集中力と根気強さがあれば出来る仕事として低収入のイメージがありますが、これは他人が書いたテスト仕様書の内容を黙々と実行して結果を報告するだけの場合です。お客様の業務要件から正常系と異常系を見出しテスト仕様書を書くのは高いエンジニアリング力が必要です。さらにはテストの自動実行ツールを開発することが出来ればプロフェッショナルの領域です。そうなれば年収アップも期待できます。

しかし、実際はエンジニアが技術力を高めるだけでは年収は大してアップしません。年収をアップさせるにはビジネス戦略が必要です。

SES(派遣)ビジネスの場合は、お客様との契約単価がITエンジニアの年収に大きく影響します。派遣会社がエンジニアをお客様に提案する価格は、マージンが上含まれます。マージンは派遣会社の営業利益、営業や管理部門の社員の人件費、社会保険料(厚生年金・健康保険)、有給や稼働待機期間の人件費、福利厚生費、教育訓練費などが考慮されます。ITエンジニアが提案される価格の30%程度がマージン率です(派遣会社により異なります)。

ですので、ITエンジニアの適正年収は客先への提案価格(月額)の70% ✕ 12か月分となります。月額50万(マージン15万)で提供されるエンジニアなら、年収は420万、60万(マージン18万)なら504万です。

たとえば、業務未経験のITエンジニアをSES営業がテスト要員として月50万で常駐させます。ITエンジニアは客先での経験を積むことで、テスト業務の処理能力が向上するでしょう。そこで、SESの営業はエンジニアの単価アップをお客様に打診します。ただ、この打診をお客様に受け入れてもらうのは簡単ではありません。お客様からすると、エンジニアの仕事内容が変わらないのに、単価がアップすることに納得できないのです。しかし、単価がアップしなければ、派遣会社のマージンはあがりません。ひいては、エンジニアの年収アップも期待できません。

そこで、SESの営業はエンジニアを別なお客様に60万の月額で提案します。SESビジネスにおいて、お客様との契約単価を上げるチャンスは、エンジニアを別なお客様に提案するタイミングです。ある程度の期間をもって、エンジニアを別なお客様に振替することで、利益の拡大と報酬をアップさせるのがSESビジネスの戦略です。

エンジニアの立場にたつと、せっかく客先での仕事にも慣れ、良好な人間関係を構築したのに、別な客先に行くのは納得がいかない面があると思います。しかし、エンジニア自身の報酬をアップするために客先の振替は必要な施策です。ですので、SESビジネスを遂行していくには「振替が可能なお客様=新規顧客の開拓」が重要です。

請負型のITビジネスは派遣のようにはいきません。お客様の要求するレベルに応じて、決まった提供価格があるはずです。提供価格をアップするのは容易ではありません。

価格に変動がない場合、とりうる施策は生産性をあげることです。開発の生産性があがれば利幅があがります。ひいては開発に携わるエンジニアの報酬アップにもつながるでしょう。

請負型のビジネスは派遣にはない著作権に関わるメリットがあります。下記の問題を見てみてください。

企業が請負で受託して開発したか,又は派遣契約によって派遣された社員が開発したプログラムの著作権の帰属に関し契約に定めがないとき,著作権の原始的な帰属はどのようになるか。

請負の場合は発注先に帰属し,派遣の場合は派遣先に帰属する。
請負の場合は発注先に帰属し,派遣の場合は派遣元に帰属する。
請負の場合は発注元に帰属し,派遣の場合は派遣先に帰属する。
請負の場合は発注元に帰属し,派遣の場合は派遣元に帰属する。
~「応用情報技術者 平成29年秋期」より





答え:ア
著作権は、著作物を創作したものに対して認められる権利です。請負契約では、請負業者が開発したプログラムの著作権は請負業者(発注先)に帰属します。派遣契約では、派遣先企業の指揮命令下で開発業務が行われるので、著作権は派遣先に帰属します。なお、会社の仕事で開発したプログラムの著作権は、個人ではなく企業に帰属します。

請負会社はお客様に納品する成果物であるソースコードの著作権を保持するメリットを活かせます。類似する案件であれば、先に開発したノウハウを後の開発に活用することができます。

そのため、請負型を成功させるには、受託する領域を絞り込むことが有効です。「ECサイトの構築」に特化する会社といった具合です。領域を特化することで、エンジニアに求める技術スキルの絞り込みができます。ECサイトであれば、PHPがよく使われるプログラム言語ですので、サーバーサイドはPHP、クライアントは、HTML&CSSの言語スキルが求められます。DBはMySQLの知見があればいいでしょう。ECに特化したオープンソースである「EC-CUBE」をカスタイズするのもいいでしょう。

おなじ会社に類似する技術スキルを持った仲間が集まり、お互いのノウハウを共有することで、生産性を高めあうことがいいでしょう。