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サラダバーを注文したくなる肉料理のお店(ブロンコビリー)

ブロンコビリーはステーキとハンバーグをウリとしたレストランチェーンです。

港北ニュータウンにも店舗を構え、週末はいつも待ち行列です。お店は家から近いので、ランチタイムを少し外して利用します。

写真はブロンコおじさんのこだわり炭焼きがんこハンバーグランチです。粗挽きビーフ100%なので、肉を強く感じます。ハンバーグといえば、横浜市民には馴染み深い「ハングリータイガー」があるのですが、ここのハンバーグはハングリータイガーと同じくらいの美味しさを2割くらい安い価格で提供してます。

このお店に来ると、人気店には人気店になるだけの仕掛けがあるんだと感じます。

お肉のレストランなので、お肉が美味しいのは当たり前です。お得感も当たり前です。飲食店は過当競争なので、いわれるQSC[Quality(クオリティ=品質)、Service(サービス)、Cleanliness(クレンリネス=清潔さ)〕は、繁盛店になるための前提条件でしかありません。

このレストランの中央にどーんと構えるのが、サラダバー、ドリンクバー、ジェラートバーです。

お店に来た客の誰の目にも触れる場所にあります。

ドリンクは9種類の色とりどりのデカンタが並べられ、個々のデカンタ―が「僕を手にとって~」と主張している感じさえします。

肉料理は、食材の仕入れ値が高いので、原価率が高くなります。特に肉レストランのようなこだわり、美味しさを追求すると、原価率は40%くらいになります。その分、利益率は10%を切っても不思議ではありません。

お店としては、肉料理だけでなく、原価率が低いサラダやドリンクを注文してもらいたいのです。

サラダは、ヘルシーなイメージがあります。見た目も良く、お肉を食べた客もサラダでバランスを取りたいと思うはずです。

店の中央に原価率の低い食材が揃った、サラダバー、ドリンクバー、ジェラートバーを配置することで、これらのオプションを客に注文させる仕掛けをしてます。

サラダバーを頼むと、提供されるお皿は、やや小ぶりです。いくら原価率が低くても、客がサラダを取り過ぎてしまうと、結果的にロスを招く可能性があります。小ぶりな皿にすることで、無駄を抑制させる工夫をしてます。

もうひとつ、ブロンコビリーの特徴は、公式アプリに登録しておけば、来店すればするほど、ランクアップし、ランクに応じた特典がもらえることです。

たとえば、来店回数が3回、若しくは会計金額が1万に到達すると、ランクがビギナーからレギュラーにアップします。ランクに応じて、お得なクーポンと交換することができる制度です。

来店頻度によるランクアップ制度は、90年代から多くのお店が取り入れているマーケティングです。いまや特に珍しいものではありません。これは来店客をRFM(下記)の指標によってグループ化する手法です。

  • Recency(最終購入日):顧客が最後に購入した日
  • Frequency(購入頻度):顧客が購入した回数
  • Monetary(購入金額):顧客が合計で購入した金額

世の中、モノやサービスで溢れてますが、消費者の総数が増えているわけではありません。限られた消費者を囲い込みするため、RFMを使った顧客戦略は、90年代から2000年代に於いて、CRM(Customer Relationship Management)の花形でした。

CRMは、ERP (Enterprise Resource Planning)や SCM(Supply Chain Management )と、共に「IT3種の神器」と呼ばれました。この神器を導入しない会社は、IT化に遅れをとり、成長が阻害されるともいわれました。

ただ、いまになって振り返ると、RFMを取り入れた会社は多いのですが、それが功を奏し、好循環な経営が実現したという話はほとんど聞きません。

わたしが案件として携わった企業のなかにはーー

顧客にポイントを与えるため、顧客情報を整備したり、管理するためのコストがかなりかかっているけど、効果があるようには見えない。

と、嘆く経営者もいました。

とどのつまり、お店にとって何よりも必要なのは、魅力的な商品やサービスが揃っているということなんだと思います。

来店頻度に応じて、特典があると言っても、品揃えが悪いお店の特典を欲しがるお客様はいないはずです。

あの頃は、「新たな顧客を獲得するよりも、既存顧客を囲い込むことが重要なんだ」と、言われてました。

しかし、新たな顧客を獲得することが出来ない、商品やサービスで、既存顧客を囲い込めるはずもないのです。

ブロンコビリーの公式アプリを見ながら、過去に携わったCRM案件を思い出し、少し懐かしい気分になりました。


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