叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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情報の発信者と受信者の境界が取り払われた

2000年の「IT革命」により、インターネットを通じて、誰でも情報発信できるようになりました。それまでは、明確に区別されていた、情報の発信者と受信者の境界が取り払われたのです。

それは企業と個人のチカラ関係にも影響しました。いわゆる個人による企業への「告発」です。

「インターネットビジネス白書2000/ソフトバンク パブリッシング」には、「東芝ビデオデッキ事件」の事例が掲載されています。これは、インターネット時代の情報発信の在り方を考えるきっかけになった歴史的な事件です。

A氏は東芝製ビデオデッキを購入したが、テープ再生時に画面に白いノイズらしきものを発見した。以降、A氏と東芝側との間で「故障」についてやり取りされる過程で、1999年2月に電話対応した東芝担当者からの暴言により精神的に多大なるダメージを受けた、というのがA氏の主な主張である。A氏は6月に自身のホームページ上で電話対応時の音声ファイルを公開。東芝担当者の口調が「高圧」「恫喝」的であったこともあり、ホームページは大変な反響を呼び、開設から1カ月で500万件を超えるアクセスが殺到。一連の騒動はマスコミを巻き込んだ事件へと発展した。
~「インターネットビジネス白書2000/ソフトバンク パブリッシング」より

この事件を契機として、多数の書き込みが行われたのが、1999年に西村博之によって開設された「2ちゃんねる(いまは5ちゃんねる)」という匿名の掲示板です。それまで、ネット掲示板は、どちらかというとアンダーグランド的な立ち位置でした。しかし、社会的な関心の高い事件によって、個々の意見が発信され、共有され、議論される現象を巻き起こし、掲示板が新たなジャーナリズムとしての役割を果たしました。

現在、情報共有のツールとしていちばん大きな役割を果たすのがSNSです。

SNSの最大手の Facebook 社が、2021年に Meta 社に名称変更したときは、SNSの終焉のはじまりを見た気がしました。昨年は、メタバースがトレンドとなったことで、情報共有のプラットフォームはSNSからメタバースへと、移行していくのかと思ってました。ただ、今年になるとそういう空気を感じません。メタバースは、2007年に注目され、急速にすたれた Second Life の二の舞になるのでしょうか!?

Meta 社は7月にThreads(スレッズ)という、Twitterと似たSNSのサービスをローンチしました。新たなるSNS戦争の勃発です。受けて立つ Twitterは、幸せの青い鳥から、黒く塗られたxに変わりました。まだまだ SNSは活況を呈する可能性が高くなりました。

わたしの予想では、xのシェアは、それほど遠くない未来に、Threads にとって代わると思ってます。Meta 社は、Threads を浸透させるうえで FacebookとInstagramの利用者との相乗効果を狙えるのに対して、Twitterは、世界中に親まれたブランド名を廃止してしまいました。xは自爆だと思います。

この予想があたるか、外れるかは来年のいま頃には見えてくると思います。それが、楽しみです!!

SNSを誰もが利用するようになったことで、消費者の購買行動は、前回のブログ(資生堂とカネボウのCM合戦 - 叡智の三猿)で書いた「AIDMA(アイドマ)」から「AISAS(アイサス)」へ変わります。

AISASは、IT革命により普及したインターネット・マーケティングによる消費者の購買行動です。

  1. Attention:注意
  2. Interest:関心
  3. Search:検索・情報収集
  4. Action:購入
  5. Share:共有

AISASモデルの考え方は、商品に興味を持った消費者がインターネットで商品を検索し、商品の詳細情報を入手します。そしてネットで購入します。購入したら口コミをSNSに投稿して共有します。そこから共有と検索のループが生まれます。

AISASモデル

わたしが、AISAS の好例として思いつくのが、キットカット(ネスレ日本)の販売戦略です。

キットカットを製造するネスレ日本は、受験生やその保護者を相手として、メッセージ付きのキットカットを販売してます。このパッケージの裏には、購入者が自由に記載できる欄があります。

夢へキットともに

キットカットを買った受験生は、同じく受験する友だちへのエールを込めて、メッセージを書いてチョコレートを渡します。チョコレートを貰った受験生は、「#夢へキットともに」というハッシュタグをつけて、メッセージが書かれたキットカットの写真をSNSに投稿することで、情報が共有され、拡散します。

昨年は息子が受験生だったので、メッセージの書かれたキットカットを何枚も頂き、息子もメッセージを書いて、クラスメートに渡してました。

大学受験は親子共々、ヘトヘトに疲れたのですが(共通テストから国立大学の発表までが長すぎます ╮⁠(⁠╯⁠_⁠╰⁠)⁠╭)、SNSによって受験生同士がエールを交換するのは、素敵な話だと思います。