叡智の三猿

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ホテル代金の謎

このクイズはネットのあちこちに転がってるので、ご存じの方も多いと思いますが、出題します。

3人の男がホテルに入りました。

ホテルの主人が1晩3万円の部屋が空いていると言ったので、3人は1万円ずつワリカンで払って泊まりました。

翌朝ホテルの主人は本当は部屋代が2万5千円だったことに気が付き、余計に請求してしまった分を返すようにと、ボーイに5千円渡しました。

しかし、このボーイは2千円をネコババし、3人に千円ずつ返しました。

さて、整理してみましょう。

3人の男は結局部屋代を9千円ずつ出したこととなり計2万7千円です。それにボーイがくすねた2千円をたすと2万9千円です。

あとの千円はどこへ行ってしまったのでしょう?

《クイズの答えは最後に書いてます。》

このクイズは数字と四則演算を交えた話にすることで、妙な説得力があります。

四則演算の論理的整合性が満たされなくとも、数字は人を納得させる力があります。

クイズであれば、笑いで済みますが、ネットによる投資詐欺の被害件数の増加は社会問題であり、これも一種の数字を使ったまやかしでもあります。

パンデミック以降、巣籠によるネット利用が増えたことで、ネットによる詐欺の機会も増えています。

なかでも特にいま問題になっているのが。SNSを使った投資詐欺です。

警視庁の公開情報では、2024年1月~5月までの被害認知状況は、3,049件でこれは、前年同期に比べると2,568件の増加ということですので爆増といえます。

SNS型の投資詐欺では、画像生成AIを巧みに使い、著名人や、実際には存在しない投資のプロの写真を生成します。そして、著名人や専門家が特定の投資を推奨するように見せかけたディープフェイク動画を作成します。

これにより、詐欺のメッセージに対する信頼性が高まり、被害者を増加させます。

メッセージでは投資者に対して、非常に高い利益率を約束することで、投資者のこころを引きつけます。

「投資したお金がたった2年で2倍になる!」などの魅力的な数字を提示します。

そこに利用者の口コミやレビューを使って、多くの人が投資に成功しているかのように見せかけます。

ネット、SNSを使って詐欺を働く人もそれをビジネスとして行っています。

ですので、効率的に詐欺を成立させるための消費者の購買行動を学習してます。

ネットを活用した消費者の購買行動マーケティングとして知られるのが、AISAS(アイサス)

AISASは、以下の頭文字です。

  1. Attention:注意
  2. Interest:関心
  3. Search:検索・情報収集
  4. Action:購入
  5. Share:共有

AISASモデルの考え方は、商品・サービスに興味を持った消費者がインターネットで商品を検索し、商品・サービスの詳細情報を入手します。そしてネットで購入します。購入したら口コミをSNSに投稿して共有します。そこから共有と検索のループが生まれます。

AISASモデル

ネットによる投資詐欺は、AISASモデルを巧みに活用しています。

数字情報で物事を考える際には、まずはそのデータを批判的な側面から考える能力が必要です。

背景にあるデータや方法論を確認する習慣を身につけることが重要です。

ちなみに一括投資した際、複利によって投資金額が2倍になるまでの期間が簡単にわかる法則として知られているのが「72の法則」です。

  • 公式:72÷金利(%)=投資金額が2倍になる期間(年)

この公式に当てはめると、金利1%で運用すれば、72÷1=72年です。5%で運用すれば、72÷5=14年という具合に、投資したお金が2倍になるまでの期間が単純に計算できます。

2年で資産を2倍にするには、36%の金利が必要となります。




この↓整理が誤ってます。

「3人の男は結局部屋代を9千円ずつ出したこととなり計2万7千円です。それにボーイがくすねた2千円をたすと2万9千円です。」

正しくはこうです。

「3人の男は結局部屋代を9千円ずつ出したこととなり計2万7千円です。それにボーイがくすねた2千円を引くと2万5千円です。」

ですので、総計は9千円×3人-2千円=2万5千円
となり、これはホテルが部屋代として最終的に徴収した金額と一致します。はじめに5千円余分に徴収したので、2万5千円にプラス5千円すれば、3万円です。

千円はどこにも消えてません。