組織は基本的に保守的です。よく組織のトップは改革を訴えますが、それは、元来組織が持つ保守性の裏返しだと思います。
だから、もし組織のなかでなんらかの問題が発生したら、組織は自己防衛の意識が働くはずです。
たとえば、職場で自分の財布が盗まれたら、犯人は職場の同僚の確率が高いでしょう。
その場合、財布を盗まれた人は、職場の上司に相談するのが普通だと思います。防犯カメラが設置されている職場は少ないと思いますが、それで犯人が特定できる可能性もゼロではありません。
ただ、組織はあまり犯人捜しに躍起にはならないと思います。
財布が盗まれる事件が起きたことは職場内で共有すると思いますが、その犯人捜しをするより、再発防止のため、職場に防犯カメラを設置したり、すべてのロッカーを施錠付きにすることを検討すると思います。
財布を盗むのは犯罪です。犯人を捕まえるため、警察に被害届を出して、職場の現場検証、指紋採取をしても全然おかしくありません。
ただ、組織としては組織内部で起きた問題は、出来るだけ組織内部でうまく処理したいと考えるでしょう。
組織の自己防衛意識は「臭いものには蓋をする」ーー情報の隠蔽につながります。
インターネットの持つ「匿名性」は、ときとして「臭いものには蓋をする」組織の不都合な事実を内部にいる人からの、「内部告発」によって、白日の下に晒してます。ビッグモーターの不正事件もその類ですね。
「組織の利害」と「個人の利害」は必ずしも一致しません。双方の利害が対立するとき「個人の権利」を守るため、内部告発を行うのは、正当な行為です。
日本国憲法 第十三条:すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
インターネットは、個人の発信力を強めることに寄与してます。インターネットの匿名性は、組織と力の均衡を取ることに貢献してます。
しかし、インターネットの匿名性は、闇を抱えてます。それは「ネット上の誹謗・中傷・デマ」という、情報セキュリティの脅威です。
IPA(情報処理推進機構)では、毎年「情報セキュリティ10大脅威」を発信しています。これは、社会的に影響が大きかった情報セキュリティの事案から、専門家や実務担当者による「10大脅威選考会」が審議・投票を行い、決定したものです。
「ネット上の誹謗・中傷・デマ」は、常にランキングされてます。
下記はIPAの冊子を参考にして、毎年の脅威のランキングとニュースで報道された主なセキュリティ事案を並べてグラフ化したものです。「ネット上の誹謗・中傷・デマ」がニュースで取り上げられるのは、氷山の一角に過ぎませんが、定期的に事件が起きていることが分かります。年を追うごとに脅威の深刻さが増してるように見えます。
誹謗・中傷の問題は、発信する側の情報倫理に委ねられてます。
- 他人を誹謗・中傷しない。
- 他人のプライバシーを侵害しない。
- 著作権を侵害しない。
といったことは、情報倫理として知っておくべきです。
ただ・・・情報倫理に限らず「倫理(モラル)」というのは、何が正解なのかがいまいちはっきりしない問題だと思います。
なぜ、そう思ったかを例を交えて書いてみます。
そのとき、廊下にはAくんしかいませんでした。ついAくんは廊下を走ってしまいました。
それを遠くから見ていたクラスメイトのBくんは、職員室に行って、担任の先生に「Aくんが廊下を走ってる」と、告げ口しました。
先生はAくんを叱りました。
確かに廊下を走ったAくんは悪いのですが、それを先生に告げ口したBくんの行動に対して、評価が分かれる気がします。
- Aくんはルールを破ったのだから、Bくんが先生に告げ口する行動は正しい。
- Aくんがルールを破ったのは悪いが、Bくんが先生に告げ口するのも感じが悪い。
読者の方々がどう思うか気になりました。そこで、このブログでははじめて投票によるアンケート(下記)をしてみたいと思いました。
take.supersurvey.com※このアンケートは、Poll Creator(ポール クリエイター)というツールを使っています。
Bくんに対する評価が分かれると考えたのは、Bくんの行動が「正義感のある行動」と捉えるか「倫理に欠ける行動」と捉えるかの違いだと思います。
行動している側は、正義だと思っていることが、他者からは倫理的でない行動に見えることがあると思います。