叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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組織は個人に思いやりを

元AOAのシン・ジミンが、アルバム「BOXES」でカムバックしました。

AOAは2012年にデビューしたK-POPのガールズグループです。K-POPグループはデビュー年で第一世代から第四世代に分かれますが、AOAは第三世代のはじめに位置されます。

AOAがデビューした頃のガールズグループは、セクシーさ、大人ぽさを売りにしたグループが多いのですが、AOAもそのひとつです。AOAは歌って踊るスタイルと、バンドスタイルの両面を持つのが特徴でした。

シン・ジミンはグループのリーダーです。ラッパーとしての力量が高く、即興で作ったラップで歌う映像を見たこともあります。発声にかなりクセがあるので、短い曲のなかでジミン独特の世界観がみえます。そこにカリスマ性を感じる人も多いと思います。

わたしは AOA と活動時期がほぼ重なる Apink (来日コンサートが近々あるが行けない(。-_-。))のファンで、それほど AOA の曲や動画を熱心に聴いたり、観ていたわけではありません。ただ、AOAは T.M.Revolution の西川貴教のコラボして、日本での馴染みがあります。また、あまり知られてない気がしますが、2016年には小室哲哉とコラボして、有名な「WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント」をカバーしてます。

AOAに大きな関心を持ったのは、2020年です。このとき、AOAのメンバー内でのいじめ疑惑が持ち上がり、リーダーであるシン・ジミンがいじめの首謀者として、SNSで誹謗・中傷を浴びました。

シン・ジミンはすべての責任を取るようなカタチで、グループを脱退し、表舞台から姿を消しました。

IPA(情報処理推進機構)は、毎年、「情報セキュリティ10大脅威」という、社会的に影響が大きかったと考えられる情報セキュリティ事案をランキング形式で発表しています。

このランキングは、「個人」と「組織」向けに分けて発表してます。

「ネット上の誹謗・中傷・デマ」は、個人の情報セキュリティの脅威として、ランキングされてます(2023年の 2位 です)。

SNSでは匿名で、特定の個人に対して、誹謗・中傷の行為が日常的に行われます。誹謗・中傷された側は、精神的苦痛を受けます。必ずしも事実に基づかない、風評被害を受けることで、いままで積み上げてきた、信用を損なったり、経済的な損失を被ることもあります。

シン・ジミンへの誹謗・中傷は、お隣の韓国での出来事なので、日本の状況とすべてが同じではないかもしれませんが、ネットでの誹謗・中傷は、高度情報化社会がもたらす、深い闇だと感じます。

せっかくのラッパーとしての才能が、この事件で消え去ってしまうと、当時、かなり残念な気持ちになりました。

そもそも、なぜ、アーティストの所属事務所は、個人を誹謗・中傷から守ろうとしないのでしょうか!?これは、K-POP界の誹謗・中傷だけに限った話ではありません。組織はもっと個人を思いやるべきだと常々思います。

たとえば、ある社員が誤って、機密情報を外部に漏らした場合、その社員に懲罰を与えることを組織はします。しかし、重要なのは個人に対する懲罰ではありません。責任は個人でなく、組織として再発をどのようにして防止するかを取り決めることです。

下図は一般的な情報セキュリティインシデントの対応フローです。このフローを見ても、インシデントは個人の問題ではなく、組織として対応するべき命題と読み取れます。

組織の在り方についてですが、3つの構成要素が必要とされます(「組織の三要素」といいます)。

共通目的

業務上必要とされる目的が共通認識として存在していることです。認識がバラバラの組織は、統制をもった運営は不可能です。

貢献意欲

組織としての共通目的を達成するために、組織に所属する個々のメンバーの働く意欲です。

コミュニケーション

むかしから言われる「報・連・相」のことです。コミュニケーションが活性化している組織は強い組織として、目的の達成にいち早く到達します。

わたしは、ここに挙げた3つの要素を成り立たせるための前提条件が、あると思います。

それは、組織は個人をあらゆる脅威から守ってくれるという、組織に対して信頼を持てることです。いざというとき、真っ先に降りかかった災難を個人の責任に転化し、組織の長をはじめとする周りの人間が見て見ぬふりをする組織は「組織」とは呼べません。

こんな組織からはさっさと逃げるのがいいでしょう。

話を戻すと、シン・ジミンはAOAからの脱退後、所属事務所も出ました。

新たな事務所で活動の転機が見えたのは、昨年、JTBCの「2番目の世界」に、ラッパーとして出演したことです。この番組は、ガールズグループにいる8人のラッパーが、歌の対決をして勝ち抜くサバイバル番組です。

シン・ジミンは冒頭の挨拶で、自分の名前を紹介するとき「元AOA」というのを口にしませんでした。そこに潔さを感じました。

そしてブランクがあったはずのラッパーとしての腕前は相変わらずかっこよく、強く印象に残りました。

「2番目の世界」では、MAMAMOOのムンビョルや、OH MY GIRLのミミなど、AOAと同世代の強豪アーティストに勝つことが出来ず、予選敗退でしたが、ジミンのこれからの活躍に注目したいと思ってます。

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