叡智の三猿

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部下による上司への誹謗・中傷

以前、SNS でつながっている知人がアカウント停止になる状況がありました。

その知人はわたしが昔、勤めていた会社の同僚で、とても頭脳が明晰でした。論理的思考力に長けていて、非論理的な意見に対しては、相手をとことん論破しようとするタイプでした。

論破は特に組織の管理職に対して、激しく展開されました。会議で上司が理にあわない意見を述べると、もう「ぐうの音」も出ないくらい、如何にその上司が無能であるかを語り、傍から見ると、上司の公開処刑を見るようでした。

確かにその上司は部下からみてイマイチでした。トップには媚びるのか、受けが良さそうですが、部下には自分の有能さをひけらかすも、言葉に説得力がありませんでした。

「ドラえもん」にたとえると、上司は権力を持ったジャイアンにすり寄るスネ夫のような感じです。そして、頭脳明晰な同僚は出木杉くんです。だから、会議は出木杉がスネ夫を論破するシュールな光景です。周りにいるわたし達・・・静香ちゃんやのび太は、ただただ気をつかい、この嫌な時間が過ぎるのを待つだけでした。

結局、同僚は上司との折り合いが最後まで悪く、転職しました。

ただ、わたしとはSNSでつながっていたので、転職後もSNSを通じて、お互いの近況を知ることができました。

そして、転職先でも新たな上司ともめたのでしょう。

知人はSNS上に、上司の言動の問題点を投稿するようになり、言葉はだんだん強くなってきました。やがて上司の名前も入ると、わたしには上司批判というより、誹謗・中傷に見えました。

そんなとき、知人のアカウントが停止になりました。

実際のところ、アカウント停止になった理由は分かりません。ただ、SNS上での上司に対する誹謗・中傷が、停止のきっかけになったであろうとは想像つきます。

他人の誹謗・中傷を見てもなんら楽しくありませんし、そういう投稿が引き金となって、アカウント停止になるのは、仕方ないことなのかなと思いました。

ただ、知人がしたような「部下による上司への誹謗・中傷」は、「上司による部下への誹謗・中傷」よりも、複雑な課題がありそうだと思いました。

変な言い方ですが、「上司による部下への誹謗・中傷」は、よくある社会問題だと思います。

いわゆるパワハラです。

慎重だね~。だから使いものに、ならないんだな。

わたしが入社して3年たったころ、会議の席上である上司から投げかけられた言葉です。

この言葉は仕事が出来ないわたしに対する上司の嫌味を含んでますが、「もっと勇気を出して仕事に取り組め」という指導に見えるかもしれません。

ただ、わたしは上司の「使いものに、ならない」という言葉にショックを受けました。わたしの頭のなかでは、上司の言葉は指導ではなく、誹謗・中傷だと感じました。会議の席という他の同僚がいるなかで言われたことも、そこに影響していると思います。

慎重だね~。でも、あまり慎重すぎると、なかなか成果を出せないよ。

もし、上司がこういう、言い方をしてたら、もっと素直に言葉を受け入れたと思います。

上司の役割は、部下のモチベーションをアップさせることで、部下が仕事に前向きに取り組み、組織としての結束力を高めることです。組織力をつけるうえで、会社が上司に期待する役割は、部下への期待に比べてはるかに大きいものです。

ですので、上司が部下を叱るときは、感情に任せた発言をするのではなく、言葉を選ぶ必要があります。叱る場もみんなの前で行うのではなく、1対1の場面で行うべきだと思います。

上司によるパワハラは、組織力を決定的に弱くします。パワハラを受けた部下は声をあげて、パワハラ上司がいる事実を会社や労働組合に相談するのがいいと思います。それを会社が真摯に取り上げないのであれば、労働局に訴えるのもありだと思います。

いっぽう、部下による上司への誹謗・中傷は、事情が異なりそうです。

部下から誹謗・中傷された上司も当然ながら、心にショックを受けるでしょう。

しかし、簡単に部下からパワハラを受けたことを会社に相談することは出来なさそうです。

そもそも、上司は部下を指導する役割を期待されています。部下から誹謗・中傷を受けるというのは、上司として与えられた職責を果たしてないと感じるでしょう。ですので、上司は会社に相談することも労働局に訴えるのも躊躇すると思います。

ですので、問題が闇に葬られている可能性が高いと思います。

そして、特にSNSを使った誹謗・中傷は、上司から部下に対してよりも、部下から上司に対しての方が多いように見えます。

そういう投稿が起きた場合、会社やその組織の信用は大いに損ねるかもしれません。悪口を投稿した部下は、匿名で投稿をしても、本人を特定され、会社から損害賠償を請求されたり、解雇される可能性もあるでしょう。

一方で書かれた内容が事実であれば、それは内部告発というべきで、誹謗・中傷とは呼べません。

誹謗・中傷問題の根は深そうです。