叡智の三猿

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生産形態と在庫ポイントの関係について

インスタントラーメンが常備食なわたし・・・。食べるのを楽しみにしていた「0秒チキンラーメン」が販売休止に追い込まれました。会社の生産計画を大きく上回る注文が発生し、供給の見込みがたたなくなったためのようです。日清食品は供給体制を整えた上で7月中の販売再開をめざすとのことです。

www.nikkei.com

モノづくりに於いて、需要の見極めは非常に難しいと思います。これは、消費者の購買行動がむかしといまで変化したことも大きいと思います。

テレビCMが全盛の時代、消費者への購買行動を促すプロセスは「AIDMA(アイドマ)モデル」でした。AIDMAとは、消費者の反応の順番を示した英単語の頭文字です。

  1. Attention:注意
  2. Interest:関心
  3. Desire:欲求
  4. Memory:記憶
  5. Action:購入

テレビCMで消費者の注目を集め、製品への関心を高めます。消費者は購買欲求を持ち、商品が記憶に残ります。そして、商品を買いにお店に行きます。

AIDMAモデル

いまは、インターネット・マーケティングの時代です。消費者の購買行動はAIDMAから「AISAS(アイサス)」へと変わりました。

  1. Attention:注意
  2. Interest:関心
  3. Search:検索・情報収集
  4. Action:購入
  5. Share:共有

AISASモデルは、商品に興味を持った消費者がインターネットで商品を検索し、商品の詳細情報を入手します。そしてネットで購入します。購入したら口コミをSNSに投稿して共有します。そこから共有と検索のループが生まれます。

AISASモデル
AIDMAからAISASに変わることで、商品の販売計画を左右する要素が、CMから口コミに変わりました。CMにコストをどれだけかけるかは、メーカーがコントロールできますが、SNSを通じた口コミの量をメーカーがコントロールすることはできません。

ここに計画策定の難しさを感じます。

一方、在庫管理の視点で計画をとらえると、販売計画の揺らぎは過剰在庫を生むリスクがあります(過剰在庫を生むムダなモノづくりは環境破壊ですのでやめて欲しいです)。在庫管理において、もっとも避けるべきリスクは欠品を防ぐことです。先にあげた日清の「0秒チキンラーメン」は欠品により、販売ができなくなりました。これは嬉しい悲鳴の類ではなく、販売機会の損失です。メーカーとして大量生産の供給体制を構築し、販売を再開しても、以前と同じように注文が殺到する保障はありません。ブームが去っていたら過剰在庫になる可能性があります。欠品の発生を防ぐ最低限の在庫のことを安全在庫と呼びます。安全在庫は「安全係数 ✕ 出荷量の標準偏差 ✕ √調達リードタイム」の公式で求められますが、出荷量のバラツキが大きいと標準偏差が大きくなるので、在庫を厚めに持とうとするのです。

メーカーとして正確な販売計画が立案できれば、それに越したことはないのかもしれませんが、そこに労力を注ぐより、生産形態の見直しをはかる方がポジティブな発想だと思います。

下図は生産形態の違いにより、どこに在庫を持つかを明示的に示したものです。完成品をつくり卸や店舗などの得意先に出荷する見込生産(MTS)は、販売計画ありきの在庫管理が求められます。見込生産は計画を見誤ると、過剰在庫を生むリスクが大きいのです。

生産形態と在庫ポイント

計画主導から受注主導が中心の生産形態にシフトすることで、過剰在庫のリスクは低減します。ただし受注主導にした場合、得意先に商品を引き渡すまでのリードタイムが長くなります。この課題を解決するためには、商品の購買欲を注ぐ付加価値をつけて「待ってでも手に入れたいモノ」を開発して欲しいところです。

そういうモノって非常に少ない気がする昨今ですね。