中小企業とは
わたしは中小企業でも大企業でも長年勤務しました。
中小企業基本法では、以下のように中小企業を定義しています。
業種分類 |
中小企業の定義 |
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製造業 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
経験上、中小企業の経営者は自分の会社が中小企業と呼ばれることを嫌います。
中小企業と聞くと悪いイメージをもつ人が多いからです。中小企業に対して「待遇が悪い」「仕事がブラック」「不安定」と、とらえる人が大半です。もし大学生が、大企業と中小企業のどちらの内定もとったなら、親は大企業に行くこと進めるでしょう。わたしのような親世代は東証一部上場企業を頂点とした大企業への就職こそが、人生の成功の証であると信じられていたので「大企業>中小企業」の感覚が根付いています。実際には中小企業だから待遇が悪いとは限りません。エキスパートで小さな集団を作っている中小企業も多くあります。
日本の経済が世界からみて失速している大きな要因は、大企業がすでに時代遅れとなったビジネスモデルに執着しつづけ、変革できなかった。新たな成長産業が生まれなかったことにあると思います。ですので、就活生は50代以上の人が言うことをあまり信じない方がいいかもしれません(笑)。
中小企業のIT活用の広がり
わたしはITコンサルタントとして、中小企業のお客様のIT化を支援していた経緯があるのですが、その時は「中小企業」という言い方をお客様にすることはありませんでした。「中堅企業」とか「成長企業」と言っていました。その方が、お客様の反応がいいからです。
中小企業のIT化が劇的に広まったのは2000年代のはじめにオープンソース型のアプリケーションが多く生まれたことです。CMS(コンテンツ管理システム)のDrupalや、ECサイトを構築するシステムとしてよく知られるEC-CUBEは、2000年代のはじめに出ました。これによって資本力の小さな中小企業でも手軽に自社のWebサイトやネットショップを構築することができるようになりました。また、SAPのR3で知られるERPは、大企業向けの専売特許のように思われていましたが、2004年はSAP社がSAP Business Oneという中小企業向けのERPパッケージの販売を開始しています(日本での販売は思わしくなかったのですが・・・)。
www.ec-cube.net
EC-CUBEのような無料のネットショップの構築システムや、SAP Business Oneのような格安のERPパッケージは、中小企業が入手すれば、すぐに使えるわけではありません。手に入れたツールを自社のシステムとして使えるようにするには、相応のカスタマイズが必要です。自社に専任のITエンジニアがいれば、努力をすることで自社導入が可能かもしれません。しかし、中小企業は自社に専任のITエンジニアを抱えてないことも多く、そういうケースでは外部のIT会社に頼ることになります。
ネットを活用したマーケティング
ブログやSNSが浸透したのも2000年代のはじめです。ブログやSNSは、テレビCMにとって代わり、消費者の購買行動を決定づける手段になりました。それまでは大企業が莫大なお金をCMに投資して、自社の商品やサービスを認知させるのが普通でしたが、資本力のない中小企業や個人の会社でも、ブログやSNSのようなネットを効果的に使うことで、自社の商品やサービスに関心を引き付けることが可能になったのです。
ネットを使った消費者の購買行動を促す仕組みは、AISAS(アイサス)と呼ばれます。これは以下の単語のあたまをとった造語です。
- Attention:注意
- Interest:関心
- Search:検索・情報収集
- Action:購入
- Share:共有
AISASの購買行動は、商品に興味を持った消費者がインターネットで商品を検索し、商品の詳細情報を入手します。そしてネットで購入します。購入したら口コミをSNSに投稿して共有します。そこから共有と検索のループが生まれます。