叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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何も信用しない自由

RCサクションの古い楽曲で「言論の自由(本当の事なんか言えない)」というのがあります。

本当の事なんか言えない
本当の事なんか言えない
言えば殺される

本当の事なんか言えない
本当の事なんか言えない
言えばにらまれる

そんなもの噓さ
そんなものでたらめさ
それは不自由なもの
それは不自由なもの

本当の事なんか言えない
本当の事なんか言えない
言えばつぶされる

学校にいるときには それは許された
卒業したらそれは通じなかった

本当の事なんか言えない
本当の事なんか言えない
言えば殺される

本当の事なんか言えない

この曲がRCのライブで1980年代以降、演奏されることは無かったと思うのですが、35年前の今日、野音で演奏されました。

あの8月13日のライブの衝撃はいまでも覚えてます。清志郎の声は理不尽な社会への怒りに満ち、観客も清志郎に呼応してました。

この年、RCサクセションは、COVERS(カバーズ)という文字通り、海外の楽曲を歌詞を変えた日本語で歌うカバーアルバムを制作しました。

問題はこの中の「サマータイム・ブルース(原曲はエディ・コクラン)」の歌詞が反原発のメッセージだったことです。それで、制作会社の東芝EMIが発禁処分にしました。東芝EMIは「素晴しすぎて発売出来ません」という新聞広告を出しました。

東芝EMIの親会社の東芝は原子力発電でビジネスをしている企業です。親会社に忖度をしたのです。

発表の場を失った COVERS は、かってRCのアルバムを制作していたキティレコードから発売されました。

一連の出来事は、社会的な話題を集めました。その為、恒例行事である「夏の野音」はかって無い、異様な緊迫感があったのです。

その空気のなか、RCサクションは「言論の自由(本当の事なんか言えない)」を歌いました。

このライブは「コブラの悩み」という映像作品としていまでも見ることができます。RCサクセションの活動のなかでもっとも記憶されるべきライブだと思います。


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インターネットによる情報発信は、匿名性という特徴があります。発信者は個人情報を知られることなく「本当の事が言える」ようになりました。

組織には「広報」機能があります。基本、広報は組織にとって、都合のよい情報しか発信しません。発信された情報の裏にある問題は包み隠されます。その問題を知っているのは、組織内部で関わっている人たちです。

組織内部にいる正義感を持った彼ら彼女らがインターネットの匿名性を使った「内部告発」をすることで、組織にとって「都合の悪い情報」が共有されます。情報を隠蔽した組織は、社会から非難されるでしょう。それをきっかけとして、組織がより正確な情報を発信するようになれば、インターネットはジャーナリズムとして正しく機能しています。

情報セキュリティは、「情報の完全性」を求めています。「情報の完全性」は、情報や情報の処理方法が、正確で完全であるようにすることです。「情報の完全性」は、「情報の機密性」「情報の可用性」と並ぶ、情報セキュリティの3要素(CIA)です。「情報の完全性」を維持するうえで、インターネットが持つ発信者の匿名性は必須といえるでしょう。

情報セキュリティのCIA(3要素)

原発関連では、東京電力福島第一原発からの海洋放出問題で、処理水に含まれるトリチウムという放射性物質の情報が疑念を呼びました。

政府の広報は、トリチウムを体内に取り込んでも、ほとんどは水と一緒に排出され、内部被ばくの影響も低いとされるというのが見解です。

当初、トリチウムの安全性を説明をするパンフレットが下記だったのですが、このとき、問題になったのが、トリチウムを「ゆるキャラ」で表現したことです。


トリチウムを体内に取り込んでも健康への影響が少ないのは、そうかもしれません。だからといって、健康によい物質ではありません。トリチウムをこの「ゆるキャラ」で表現すると、あたかもトリチウムが「アルプスの天然水」を表現する身体にやさしい物質のようなイメージを与えようとする、こざかしい政府の姿勢が透けて見えます。

トリチウムの「ゆるキャラ」は、SNSで猛烈な批判を浴び、即刻、削除されました。いまは存在しないことになっています。批判を浴びて、削除するならはじめから「ゆるキャラ」で表現するべきではありませんでした。

「一時は万事」といいます。この騒動を見るだけで、海洋放出問題のすべてのことについても推し量ることができます。

情報セキュリティには「ゼロトラスト」という理念があります。これは、「何も信用しない」を前提として、対策を講じるべきという情報セキュリティの基本的な考え方を示しています。

  • いま講じている対策を常に疑い、より良い対策を検討する。
  • 安全だと言われることを鵜呑みにせず、根拠を求める。

原発問題は、情報セキュリティ以上に、わたし達の安全に直結する課題です。対応策を評価するスタンスは「ゼロトラスト」であるべきだと思います。