叡智の三猿

〜森羅万象を「情報セキュリティ」で語る

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NewJeansメンバーのADOR復帰の報道を見て思ったこと

世界的な人気を誇る韓国の5人組ガールズグループ NewJeans が、専属契約をめぐり対立していた芸能事務所に復帰する意向を表明しました。

NewJeans のメンバーは昨年、グループを育てたミン・ヒジン氏が代表職を解任されたことなどに反発し、所属事務所との専属契約を解除すると宣言。グループ名を「NJZ」に変えて、独自の活動をすると表明しました。

一方、事務所側が専属契約は有効として提訴しました。裁判所は事務所側の主張を認める判決をくだしました。

わたしはいちファンとして、去年、 NewJeans が発信したYouTube動画をみて、思ったことを下記のブログに綴りました。

www.three-wise-monkeys.com

現代の情報セキュリティには「ゼロトラスト」という考え方があります。「ゼロトラスト」は、文字通り「何も信用しない」ことを前提とし、すべてのユーザーやデバイスからのアクセスを都度検証するセキュリティの基本原則です。従来の「社内ネットワークは安全」という考え方を捨て、社内外を問わず、すべてを疑わしいものとして扱います。

情報セキュリティに於ける「ゼロトラスト」

「ゼロトラスト」は、IT用語のひとつに分類されますが、その本質は「組織」というものの在り方です。

NewJeans の事例は、当初は信頼関係があったはずの芸能事務所と、アーティスト間の関係が、ミン・ヒジン代表の解任を契機に「信頼できない状態」へと変化しました。そこから、いくつものゴタゴタを経て、最後は裁判所による専属契約の有効性の判断が行われました。これは、ゼロトラストにおける「継続的な検証」の重要性を意味していると思います。

わたしは、「ゼロトラスト」という言葉自体はあまり好きではないのですが、良くも悪くも、 NewJeans と、所属事務所との騒動は、組織と個人の関係は「ゼロトラスト」を前提にするべきだと改めて感じました。

韓国の大手芸能事務所であっても、組織としての情報管理力や倫理観を「最初から信用できるはず」とは考えられません。「組織は本来、個人を守らない」という前提の価値観があります。ゼロトラストの「Trust No One」そのものです。

NewJeans のメンバーは、YouTube動画のなかで、個人の医療記録が漏洩したことを訴えてました。

少し前に私たちの練習生時代の映像と医療記録など、私的な記録が公開された。私たちはそれらを初めて見て、本当に驚いた。私たちを保護しなければならない会社が、このような資料を管理できずに流出させたというのが、本当に理解できなかった。なので当然ながら、今後も私たちのおかしな資料や虚偽事実が広まっていくのではないかという心配が生じています。

本来であれば、守ってくれるはずの組織が、個人の医療記録という機微な情報を漏洩させたことに強い失望を持ちました。この出来事は、組織外部からの攻撃より「内部の信用できない事象」 をより危険視するべきという「ゼロトラスト」の考え方と一致します。

NewJeans の騒動は、多くのユーチューバーやSNSで持論を展開してました。ただ、どれを見ても「ミン代表を戻して」という NewJeans 側の願いを表面的に取り入れるか、反対に「彼女らは契約の重要性を分かっていない」という、メンバーを断罪するようなコメントばかりでした。

わたしはそれらの意見を見聞きしながら、どんな意見も意見として尊重したいのですが、「残念」と感じることが多々ありました。事象は一方通行でなく、多角的にかつ継続的に検証すべきだと思うからです。事件の背景にある「組織の腐敗」や「情報セキュリティ侵害」まで掘り下げて検証する必要があると思うのです。

裁判に負けた NewJeans は、これ以上争っても勝ち目がないことは理解しているでしょう。控訴すると2、3年は時間を裁判に費やします。若い彼女たちの将来に深刻な影響を与えることは確実です。

NewJeans が復帰しても、生みの親であるミン・ヒジン はいません。NewJeans の魅力は天才的なプロデューサーである ミン・ヒジン によって作られたものです。NewJeans がこれまでのようなパフォーマンスを発揮できるとは思えません。ゼロトラストは組織の在り方としては、正しいと思うのですが、組織が組織として最高のパフォーマンスを発揮するのは、そこに「信頼」がなければならないというジレンマです。