叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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NewJeansによる突然のYouTube配信を観て思ったこと

K-POPアイドルグループのNewJeansが、9月11日の夜に緊急でYouTube生配信を行いました。

この配信はNewJeansの公式アカウントからではありません。配信された動画はアカウント毎、直ぐに削除されました。

しかし、時代の寵児、NewJeansの配信です。

メンバーの動画配信は瞬く間に、世界を駆け巡りました。ネット空間にはいくつもの複製があります。

緊急動画配信は、所属事務所のHYBE(NewJeansはADORに所属。HYBEはADORの親会社)による不当なメンバーに対する圧力・イジメを告発する内容でした。

最早、NewJeansのメンバーは会社に対する信頼を失ってます。育ての親であるミン・ヒジン元代表の助けなしで、活動を続けていくことは想像できないと訴えてます。

配信を行うメンバーの表情は皆、暗く、服も地味でした。華やかなアイドルイメージと離れた印象でした。

メンバーの放つ言葉が余りにも衝撃的です。動画見たネットユーザーのSNSや掲示板は荒れてます。

ネットに掲載された多くの声は、NewJeansを応援し、HYBEを糾弾するものです。

ただ、少なからず「勝手に動画配信をする必要は無いのではないか?」「こんな配信をしたら、彼女らの仕事に支障が出るのが心配」のような「メンバーのやり過ぎ感」を指摘する声もありました。

5人のメンバーは個々に自らの考えを発信しました。

そのなかには「組織」による明白な「個人」に対する情報セキュリティ攻撃があります。

  • 少し前、私たちが練習生だった頃の映像や医療記録のような私的な記録が公開されてしまいました。最初に見て、本当に驚きました。私たちを守ってくれるはずの会社が、こういった資料を管理できず漏洩させたことは本当に理解できません(ヘリン)。
  • ある日、廊下で1人で待っていたのですが、別のグループとそのマネジャー1人が私とすれ違いました。お互いにあいさつした後で、その方たちがまた出てきた時に、マネジャーの方が「無視しろ」と言ったんです。私の前で、聞こえるように。なぜそんな仕打ちを受けなければいけないのか、今考えても理解できませんし、どうにもできないと思います(ハニ)。
    ~「東京新聞 TOKYO Web」より

びっくりする内容です。

メンバーのマネジメントを担うべき組織が、医療記録を含む機微な情報を含むプライバシーをネットに公開してます。

組織のマネジャーがメンバーにパワハラ・誹謗・中傷をメンバーに浴びせてます。

通常の会社は「コンプライス研修」や「情報セキュリティ研修」を毎年行ってます。

韓国は国全体としてのDX化が日本より進んでます。その分、情報の不正取得のリスクが高い環境にあります。そのため、情報セキュリティ対策も進んでます。韓国の個人情報保護法は、日本より厳しく、GDPRとの整合性を持ってます。強い監視体制と罰則があります。

韓国企業に勤める普通の会社員であれば、社会人として持つべき最低限の倫理観、情報セキュリティのリテラシーを備えているとみるべきでしょう。

しかし、HYBEはそういう会社ではなさそうです。

HYBEは、BTSやLE SSERAFIMなど、K-POP界をリードするグループを多数抱えてます。でも、NewJeansの告発を見ると、まともな会社ではないことが分かります。

そんな会社に所属している NewJeansが、所属する組織の不当性を訴える場は、民意しかないと考えられます。

NewJeansがYouTubeを使って緊急生配信をしたのは、被害者として極めて正当な行為だと思います。

ですので、あるべきは社会全体が被害者を保護して守ることだと思います。

この事件はお隣の韓国での出来事だからかもしれません。日本のマスメディアは、この事件をあまり大きく扱ってなさそうです。

主要メディアで掲載された見出しを見ると、こんな感じです。

  • 毎日新聞:NewJeans 育ての親、ミン・ヒジン氏の解任に怒りの抗議 親会社「HYBE」に予告なくライブ配信
  • 日経新聞:NewJeans「ミン代表戻して」 HYBEに要望、初の公式声明

この見出し、わたしは残念だと思いました。

というのは、NewJeansのメンバーは、皆、20歳以下です。いってみれば、子どもに近い年齢です。

育ての親であるミン・ヒジンを戻して欲しいと、メンバーが訴えたのは事実です。しかし、その事実を見出しにすると、多くの読者は、背景として存在する「組織の腐敗」に目がいかないと思います。むしろ、組織の悪口をいう「子どもたちのわがまま」という誤った認識を持つことを懸念します。

わたし達が、攻撃から守るべき対象は「組織」なのでしょうか!?それとも、組織に所属する「個人」なのでしょうか!?

NewJeansのメンバーによる切実な訴えは「組織」と「個人」の情報セキュリティのギャップを明らかにしてます。

わたしは両者の利害が相反する場合「個人」を優先して守る社会であって欲しいと思います。