叡智の三猿

〜森羅万象を「情報セキュリティ」で捉える

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減りゆくテレワークと戻ってきた満員電車

今日も日吉から東横線の通勤特快に乗って、都心に通勤します。

コロナ禍で3年半にわたり、在宅勤務だったわたしです。しかし、あの頃がまるで無かったかの如く、満員電車に揺られてます。

政府は、長年にわたり「働き方改革」の一環として、ITを活用することで、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方を可能とする「テレワーク」を推進しています。

コロナのときは、一気にテレワークが進んだかに思えました。

あの頃、アフターコロナと呼ばれる「コロナ後の働き方」を展望する記事を多く見ました。

アフターコロナになると、あらゆる産業や医療、教育分野など分野でデジタル化が加速していくものと予想されました。

これは間違いではありません。いま、多くの会社が業務のDX化を推進しているのは事実です。

紙の契約書に押印するために出社するよりも、パソコンから電子契約システムを通じて、署名をする方式の方がずっと効率的です。

単に効率的というだけではありません。情報セキュリティ的にも、紙の契約書よりも安全です。

電子化された契約書はハッシュ値を算出します。そこに、「電子証明書」を発行する電子認証局というシステムによりタイムスタンプを付与します。タイムスタンプを付与することで、その時刻に文書が存在していることを証明するとともに、改ざんされていないことを証明します。そして、公開鍵暗号方式により契約の送信者と受信者がハッシュ値の一致を確認します。

タイムスタンプによる電子署名

しかし、わたしの肌感覚では、アフターコロナを実感してません。

もし、時代がアフターコロナであれば、朝の東横線はこんなにも通勤客で溢れかえってはいないはずです。

アフターコロナというより、ビフォーコロナに戻ったという感覚です。

さきほど、紙より効率的と書いた電子契約も、出社を前提とした働き方をするのであれば、効果は限定的です。

電子契約にすれば紙代や印紙代は不要になるでしょう。しかし、郵送コストに関しては微妙かもしれません。電子契約システムもそれなりのランニングコストが発生します。紙の契約書をレターパックで郵送すると430円(レターパックライトの場合)かかります。システムの導入によってそれより低くランニングコストを設定することが出来るでしょうか!?

テレワークだからこそ、電子契約を推進する意味があるんだろうと思うのです。

わたしは満員電車のつり革に掴み、乗客に押し込まれるストレスを和らげようと、目をつぶって妄想します。

会社としてはテレワークをすすめ、オフィスを縮小すれば、通勤費や賃貸料など多くのコスト削減が実現できるのは間違いありません。

しかし、多くの会社がそれをしないのは、経営者がテレワークのデメリットが大きいと感じているのかもしれません。

確かに会社を経営するにあたって、コスト削減は重要な命題でしょう。

しかし、経営として本当に重要なのは「イノベーション」です。

イノベーションとは、企業が革新性のある製品やサービスを開発し、新しいビジネスモデルによって顧客にアプロ―チしていくことです。そして、継続的な改善をはかるため、より効率的な生産技術を開発し、業務プロセスを見直していくことが必要です。

単にコスト削減を進めるだけでは、会社は衰退の一途をたどります。イノベーションこそ、会社の競争力を高めることにつながります。

では「テレワーク」で「イノベーション」が起こせるのでしょうか!?

答えは「No!」でしょう。

イノベーションは、コミニュケーション積み重ねが必要不可欠です。オンライン会議だけでは物足りません。話し手、聞き手の微妙な表情や、会議の雰囲気は、対面だからこそ伝わります。こういう文字では表せない情報を交えることで、人と人との信頼関係は深まります。

アマゾンのアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)は従業員宛てのメモで、「新型コロナウイルス発生前の状態に戻り、オフィス勤務を再開することを決めた」と述べた。同氏は「チームメイトが学び、模範を示し、実践し、私たちの文化を強化することがより容易であり、協力やブレインストーミング、発明がよりシンプルで効果的であることを確認した」と説明した。
~「アマゾン、週5日出社を指示 在宅勤務を原則廃止へ(2024.9.19・JBpress)」

もちろん、コスト削減以外にも「テレワーク」の良さはあります。

テレワークのときに参画してたプロジェクトでは、2名のメンバーのマネジメントをしてました。彼らはともに地方の出身です。卒業した大学も地元です。IT業界は東京に集中しているので、彼らは就職のために東京に出てきました。

ただ、テレワークになったことで、彼らは地元に帰り、実家で仕事をしてます。

Zoom超しで、彼らにテレワークの感想を聞いた時、とても喜んでました。やはり生まれ育った場所で、好きな仕事をして働けるというのは安心感があります。

それは、テレワークが生み出した最大の効果かもしれません。

経営にとって重要なのは、会社が競争力を高めるための対面型イノベーションと、社員が働く環境を選択する自由とのバランスだと思います。