叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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好きな人に「テレフォンカード」を贈る

駅前には公衆電話があります。

最後に公衆電話を使ったのは何年前だろう??

たしか、スマホを忘れて会社に行ったときです。会社から帰る際、スーパーで何か買って帰るものがあるかを妻に聞く為、公衆電話を使った記憶です。

東日本大震災のときも公衆電話をつかったはずです。あの日はスマホがまったくつながらず、家族や同僚と連絡を取るため、公衆電話が役立ちました。

災害など、イザというときに役立つ、公衆電話ですが、スマホの普及で平時に於いては、あまり使われることはなくなりました。

RCサクセションの曲に「CALL ME」というのがあります。


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君に贈るよ テレフォンカード
2人の愛を確かめたいのさ
WOH,WOH,昨夜のこと
こないだの事 どー思ってんの?
いつでもぼくを呼び出しておくれ
~「CALL ME(RCサクセション)」

好きな人に「テレフォンカード」を贈るから、電話をかけてと言っている歌詞です。

この歌詞、無邪気なようですが、かなり自分本位な感覚を受けます。やや幼稚な側面も感じるので、正直あまり好きな歌ではありません・・・。

ただ、1988年の夏の野音でRCサクセションがこの曲を演奏したとき、間の抜けた歌詞にホッとした記憶があります。

この年、RCサクセションはニューアルバム(カバーズ)を発売する予定でしたが、その中に「反原発ソング」が含まれてました。発売元の東芝EMIは、親会社が原発産業との関わりが深いことから、発売中止を決定しました。

反原発ロックの発売中止

カバーズは結局、東芝EMIからではなく、RCサクセションがかって在籍していたキティレコードから発売されました。

この夏の野音ライブに聴衆のひとりとして、わたしもいるのですが、ライブ全体が怒りに満ちていました。会社は不都合な情報を隠そうとしたことで、かえってアルバムを宣伝してしまったのです。

そんな熱気のライブのなかで「CALL ME」は、一瞬の清涼剤としての役割を果たしたと思いました。

「CALL ME」で歌われているように、昭和の公衆電話は、災害時だけでなく、離れた人との大事なコミニュケーションツールでした。

スマホにとって代わられた公衆電話ですが、情報セキュリティかの側面を考えたとき、スマホよりも優れたツールでもあります。

ひとつは前に述べた大規模災害時の手段として、スマホよりも通信の安定性が高いことです。スマホの電波は混雑しても、公衆電話は災害時に優先的に接続が確保される仕組みになっているからです。

もうひとつは、公衆電話は匿名性が高いことです。スマホのように特定の番号や、アカウントに紐づけられていないため、個人情報が特定されにくい環境での通話が可能です。個人情報が特定されないので、詐欺にかかる可能性も低くなるのは、公衆電話の大きなメリットです。

そして、意外と盲点になるのが、操作のシンプルさというメリットです。

公衆電話は受話器をとって電話番号をプッシュするだけで相手と通話ができます。スマホの操作に苦慮する高齢者は多数いますが、公衆電話は違います。

デジタルデバイドというのは、インターネットを中心とした情報通信技術を使いこなせる人と、使いこなせない人との間にもたらされる情報格差のことを示す言葉です。

わたしが、はじめてこの言葉を認識したのは、1995年です。

この年、MicrosoftがWindows95のパソコンを発売します。それまでは、Windows3.1でした。Windows3.1までは、ITの仕事をしている人向けの機器だったのですが、Windows95では、UI部分が改善されたことで、一気にパソコンが普及しました。

わたしが当時勤務していた会社でも、内勤の全社員にWindows95のパソコンを配布して、ひとり一台の支給を実現するプロジェクトが発足しました。わたしは、何人かのパソコンインストラクターを取りまとめて、パソコン研修会のスケジュールを調整する役回りでした。

そして、研修会で目の当りにしたのは、パソコン操作の習熟度が社員によって恐ろしく違うことでした。

総じて若い社員は一回の研修で、パソコンを使いこなし、社内メールをバンバン使うようになったのですが、主任以上は千差万別です。

(インストラクター)では、マウスをクリックしてください。

(受講者)これをなぜ、マウスと呼ぶんだい?ネズミはこんな格好してないだろ。

と、どう答えていいかが分からない質問をする社員もいるのですが、そういう社員に限って、一向にパソコンを使うようになりませんでした。

デジタルデバイドは、あの頃から今でも継続して起きている問題です。

DX化は会社業務全体でITを浸透させることで、業務の効率化を目指す取り組みですが、DX化を進めれば進めるほど、IT機器への習熟度が露わになり、情報格差が広まっていくのは皮肉です。

IT機器の習熟度が低いと、情報セキュリティのリスクが増加します。それを教育で補うには限界もあります。

公衆電話のような誰もが使えるITはいつになったら訪れるのでしょうか!?