叡智の三猿

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2万人の会社から6人の会社へ

わたしが大学を卒業して入社した会社は従業員が2万人を超える大企業でした。創業は明治という老舗です。それから10年して、従業員が6名の会社に転職しました。転職のきっかけは、前職で信頼していた先輩からのお声がけでした。

大企業では当然の如くあった、人事評価制度やビジネスモデルが、従業員6人の会社にはありませんでした。社会保険制度はあるので、最低限の安心・安全欲求には応えられる会社でしたが、ビジネスモデルがはっきりしていないので、如何に自分自身を売り込むかが重要でした。

そんな6人の会社も10年経過したら、100人の会社に成長しました。わたしはそのなかで、SESビジネスの事業化を推進しました。

SESとは

SES(システムエンジニアリングサービス)とは、ソフトウェアやシステムの開発・保守・運用における準委任契約を指します。特定の業務に対して技術者の労働を提供する契約です。

SESビジネスは、ひとりでも出来るビジネスです。その人の頭の中に、お客様企業の案件情報と、ソフトウエアサービスを提供できるエンジニアを集める力があれば、それをマッチングするシンプルなビジネスモデルです。人材ブローカー的な能力を持ったスペシャリストが暗躍する業界です。

わたしが6人の会社に入った頃は、案件が減ってくると、人材ブローカーに頼んで仕事を斡旋してもらうことがしばしばありました。

しかし実際には、人材ブローカーに依頼すれば、仕事が簡単に入るわけではありません。人材ブローカーは案件情報を持っていますが、実体のある案件を持っていません。人材ブローカーの役割は、お客様企業とエンジニアの仲介であり、案件をわたし達に提供するのはお客様企業です。

図のようにひとつのお客様企業の案件は、人材ブローカーを通すことで何倍にも案件情報として膨れます。しかし、人材ブローカーの案件情報をあてにしても、なかなか案件を取り込むことは出来ません。人材ブローカーはエンジニアを確保するため、あの手この手でエンジニアを惹きつけようとします。しかし、多くの場合、時間の無駄に経過していくだけです。

案件と案件情報

SESビジネスの事業化

SESビジネスの事業化をするにあたって重要なのは、人材ブローカーに頼らず、お客様企業から直接案件を頂くビジネスモデルを築くことです。

安定的にエンジニアリングサービスを提供するため、エンジニアの直接雇用を積極的にしました。その上で、サービスを透明化することで、お客様企業が契約の意思決定をしやすい価格体系を作りました。

サービスの透明化

サービスを透明化することで、案件に対する特別な嗅覚をもった人間でなくても、営業をすることが出来ます。お客様にとっても、分かりやすいメニューで、サービスが提供が出来るので、契約の意思決定がしやすくなります。

0 → 1そして1 → 10へ

ビジネスの成長を語る際、よく使われる言葉にー

  • 0 → 1 にする
  • 1 → 10 にする
  • 10 → 100 にする

というのがあります。

わたしが6人の会社に入ったとき、その会社は「0 → 1 にする」会社でした。ひとりひとりの社員が、自分の得意分野でアピールすることを競っていました。非常に小さな会社ですが、社員のポテンシャルがとても高く、仕事を語り出すと、真夜中を過ぎても止まらない革命的な雰囲気がありました。

わたしは革命的な雰囲気が嫌ではありませんでした。むしろ好きだったのですが、入社して1年もすると、会社の将来に対する不安で、頭がいっぱいになりました。

わたしは、社員が暗黙知で行なっていることを事業にするための型を作り、「9時から5時まで」の感覚を持った人にも、仕事を遂行出来るようにしたんだと思います。

振り返れば、それは「0 → 1」を「1 → 10 にする」ことだったと思います。