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なにも変わっていないことに気がついて

元気をなくした日本企業

平成元年と平成30年の「世界時価総額ランキング」を比較すると、昭和から平成を駆け抜けた日本の会社がどのような変遷を辿ったのかが直感的に分かります。

順位 平成元年 国名 順位 平成30年 国名
1 NTT 1 アップル
2 日本興業銀行 2 マイクロソフト
3 住友銀行 3 アマゾンドットコム
4 富士銀行 4 アルファベット
5 第一勧業銀行 5 ロイヤルダッチシェル
6 IBM 6 パークシャーハサウエイ
7 三菱銀行 7 アルババグループホールディングス
8 エクソン 8 テンセントホールディングス
9 東京電力 9 フェイスブック
10 ロイヤルダッチシェル 10 JPモルガンチェース
  • 引用:ダイヤモンド・オンラインdiamond.jp

昭和54年「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という日本企業の経営を高く評価したアメリカの書籍が話題になりました。日本の会社は元気がありました。しかし、平成の30年間でくたびれてしまったようです。

日本企業の元気がなくなった理由はいくつもあるでしょう。わたしは理由のひとつに多くの大企業がおかしたERP導入の失敗」があると思います。

本来ERP全体最適志向で、業務をシンプルにすることで、社会の変化への対応力をつけることを目指しています。しかし、日本企業のERPは、現状業務を変えず、膨大なアドオン開発を行いました。その結果、運用・維持コストが増大しました。ちょっとした機能変更・・・例えば消費税を変えるだけでも多くの工数をかけて対応をしました。

また、大企業にITを導入するSier(システムインテグレーションを行う業者、NTTデータ・日立・富士通NEC日本IBMが代表的)は、お客様企業のシステム運用までまるっと囲い込み、高価格でそれなりの利益を享受するビジネスモデルを作りました。 その状況に甘んじ、新たな顧客を創造できなくなったように思います。

保守化する日本人

昭和末期の成功体験は、日本人の全体的な保守化を促し、レガシーひきづったまま平成を過ごし令和を迎えたようです。

平成の初期「コンサバ系ファッション」がブームとなり、君島十和子さんをカリスマと崇めながら「ヴァンテーヌ」「ヴァンサンカン」等のお嬢様系雑誌がもてはやされたのは、保守化傾向を裏付けしていたかのようです。

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コンサバ系ファッションの女性
保守自体が悪いことだとは思いません。しかし、世の中が変化していることを敏感に感じとること出来ず、変化を受け入れることを拒否する傾向に不安を感じます。

米国の会社であるAmazonが日本で書籍のネット通販を始めたのは2000年です。このとき、日本人の意見は懐疑的でした。

「単価の安い書籍をインターネットにクレジットカード番号を入れて買う人がどれだけいるのか!?」

という言葉を何度も聞いた記憶があります。
xtech.nikkei.com
もともと日本の「書店」はデパートの「シャワー効果」として誘致されていました。シャワー効果とは、上階に入りやすい店を設置し、そこに客を誘導することで、帰りに他の階の店にも立ち寄ってもらい、ついで買いを誘う戦略です。「書店」は気兼ねなく時間をつぶせる場所です。上階に「書店」を設置すれば、ふらりと来店した客が帰る途中で、ほかの売り場を眺め、ついで買いをすることが多くなります。

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シャワー効果
しかし、いまAmazonは大きな成功をおさめ、書店の多くは衰退しています。そしてデパートは存在意義を問われるほど落日の様相を程してます。

日本人は全体として、変化を捉え、それに対応しようとする能力が欠けているのかもしれません。

2020年に蔓延したコロナウイルスによる不安が世界を駆け巡っています。このウイルスを通じて痛感したのは、日本のIT文化はやはり発展途上ということです。ITの活用で無駄な業務がなくなり、仕事が効率化されるというのは幻想だったのです。「IT革命」で変化したようにみえて、実はなにも変わっていなかったことに気がつきました。

今日は実家がある日野(東京都)の浅川の土手を散歩しました。3密を意識しながらも、それなりに人がジョギングしたり、散歩したり、サイクリングしていました。見慣れた景色もこんな状況になることで、素敵なところを発見します。
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緊急事態宣言の解除もまもなくです。そうすれば、街の賑わいも戻るはずです。でも、その賑わいは以前の賑わいとは少し違うと思います。というより、違わなければいけないと思います。「ウィズコロナ」(コロナとの共存)のなか、わたしたちは生き残るために変わらなければいけないのだと思います。

ですので、いまはこの有名な言葉が突き刺さります。

最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き残るのでもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である。
チャールズ・ダーウィン