色の白いは七難隠す
江戸時代より「色の白いは七難隠す」ということわざがあります。これは「色の白い女性は、多少の欠点があっても欠点がわかりにくく、美しく見えるということ」をいいます。
七難とは以下で、色の白い女性は難があっても得をしてるようです。
- 一難:顔立ちの悪さ
- 二難:性格のきつさ
- 三難:生活の乱れ
- 四難:老化した肌
- 五難:運の悪さ
- 六難:色気のなさ
- 七難:みすぼらしさ
白い肌への崇拝から、化粧品業界は「美白」をうたっています。しかし、無抵抗の黒人男性を白人警官が暴行死させた米国の事件をきっかけに人種差別に抗議するデモが世界中に広がる中、大手企業が製品ラインから「美白」を削除する動きが広がっています。
www.businessinsider.jp
わたし達は白と黒を使い分けるとき「白は善」「黒は悪」という意識が脳内にインプットされているようです。この意識は人種差別が根底にあるかは分かりません。それを考えることも困難なほど、脳内に差別意識が根ざしているからかもしれません。
しかし、もうこの意識を変えていく必要があると思います。
ブラックリストとホワイトリスト
情報セキュリティの世界でも、白と黒を「白は善」「黒は悪」の発想で分けた差別的な言葉が存在します。
「ブラックリスト」とは、ウイルス、スパムメール、有害なWebサイトを選別するにあたって、悪意があるとわかっているものをまとめた一覧です。その反対に、安全なことがあらかじめわかっているものを集めた一覧を「ホワイトリスト」といいます。
「ブラックリスト」や「ホワイトリスト」の使い方の例を書くにあたり、基本的なメールの送受信の仕組みについて説明します。
メールには最終的な宛先となるメールアドレスが記載されていますが、そのメールは送信サーバと呼ばれる所にSMTPというプロトコルを用いて送信されます。送信サーバは、宛先となるメールアドレスによって、そのメールアドレスが所属する受信サーバという所にSMTPを使ってメールを転送します。そして、メール受信者は受信サーバに自分宛てのメールをPOP3もしくはIMAP4を使って受信します。
メールの送受信とは送信サーバーと受信サーバー間でのやり取りです。このとき、ある送信サーバからいきなり大量のメールが一斉に受信サーバに届くとします。
これは送信者が大量のスパムメール(受信者の許可を得ずに一方的に宣伝したメール)をメーリングリストを使って受信者に送るような場合です。
(スパムメールについて、こちらにも書いています)
www.three-wise-monkeys.com
このような悪意に満ちたスパムメールが送付されると、受信サーバはメールの受信処理に負荷がかかります。そのため、本来は正常に受信するべきメールの処理に遅延が生じる可能性があります。
そこで、スパムメール等の迷惑メールと思われるメールは受信せずにブロックするための判断材料が「ブラックリスト」です。「ブラックリスト」は問題ある送信サーバのIPアドレスのリストです。「ブラックリスト」に掲載された送信サーバからのメールは受信サーバで拒否をします。それにより、受信者は送信者からのスパムメールを受信しなくて済みます。一方、大量のメールが必ずしもスパムメールとは限りません。たとえば、受信者の会社で、あるクラウドサービスを社員全員が使っていて、そのクラウドサービスから定期的に利用者全員にメールマガジンを配信するような場合です。
この場合は、そのクラウドサービスから送信されるメールは、許可するように設定する必要があります。それが「ホワイトリスト」です。「ホワイトリスト」にそのクラウドサービスが使っている送信サーバを登録することで、メールマガジンは無事、利用者の元へ届けられることが出来ます。
白と黒の意識変革
「ブラックリスト」と「ホワイトリスト」の関係は「拒否するリスト」と「許可するリスト」の関係です。
「ブラックリスト」と「ホワイトリスト」の役割をそのまま英語にすると「拒否」は”deny”で「許可」は”allow”です。
ですので、本来であればー
と表現を改めるべきでしょう。
「ブラックリスト」や「ホワイトリスト」は本来の役割から求められる表現を差別的に変えた表現ともいえます。
この言葉はITを活用するすべての社会人が備えておく基礎的な知識とされています。
ITパスポート試験にもこのような形で出題されています。白と黒の偏見を変える意識変革は時間がかかるでしょう。しかし、根気よく、正確な表現に改めていくことが必要だと思います。