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プロジェクトと定常業務

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)では、プロジェクトを「独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する、有期性のある業務」と定義してます。

PMBOKとは

  • プロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法を体系立ててまとめたもの。アメリカの非営利団体であるPMI(Project Management Institute)が、プロジェクトマネジメントの世界標準としてガイドブックを発信している。

PMBOKでは、プロジェクトでない業務をすべて定常業務としてます。

来たる4月から IT エンジニアになる学生も、プロジェクトか定常業務のどちらかに就きます。

プロジェクト業務は、独自性があり、有期的であり、定常業務から独立してます(下図)。

プロジェクトと定常業務

定常業務のなかに、定型業務(ルーティンワークともいいます)があります。定型業務は文字通り、手順が決められていて、そこには創意工夫する要素がほとんどありません。

逆に技術の無い新人 IT エンジニア にとっては、入りやすい分野の仕事でもあります。

定常業務はビジネスプロセスマネジメント(BPM)による改善を繰り返しますが、その目的は業務を定型化していくことです。

定常業務で発生している課題を解決するためにプロジェクトを立ち上げます。その課題を解決していくのがプロジェクト業務です。課題を解決するための特別な予算が組まれます。

プロジェクト活動を通じて、課題を解決した新たな業務の成果が定常業務に組み込まれます。ただ、このとき新たな業務の成果がすぐに定常業務として定着する保障はありません。そのため、新たな業務を定常業務に組み込むための受入期間が発生し、その間は従来の業務と新たな業務を並行して行います。

定常業務とプロジェクトは相互を行き来する密接な関係です(下図)

定型業務とプロジェクトの関係

システム構築のプロジェクトにかかる費用の多くは IT エンジニアの人件費です。開発の一部を業務委託する場合、外注費もかかります。プロジェクトは有期で特別な予算が組まれますが、プロジェクトの発足当初に想定した期日や予算が守れる保障はありません。

そこでプロジェクト管理において、重要なのが原価計算です。

原価計算は「総合原価計算」と「個別原価計算」に分けられます。

  • 総合原価計算:見込み生産で大量に生産される品目のいち単価あたりの原価を求める手法。
  • 個別原価計算:個々の案件や、個別受注生産などで製品ごとに原価を求める手法。

IT プロジェクトは、個々のお客様の要求に基づいてシステムを開発するので、個別原価計算を用います。ひとりの IT エンジニアが複数のプロジェクトに関わっていることも多々あります。

受託型の会社にいる IT エンジニアであれば、その会社が受注した案件を複数掛け持ちします。SES として客先常駐している IT エンジニアであれば、自社が管理しているプロジェクトはひとつかもしれませんが、客先では複数の案件を掛け持ちしているかもしれません。

ですので、IT エンジニアの人件費をプロジェクト毎に投下した工数に分割し、プロジェクトとしての原価の内訳を明確にする必要があります。

これをプロジェクト原価計算といいます。

プロジェクト原価計算

プロジェクト原価計算を通じて、プロジェクトの収支を見える化し、利益を確保する手段を検討します。

ただ、製造業や小売業で管理のウエイトが大きい目に見えるモノとは異なり、プロジェクトは目に見えない人件費のウエイトが大きいのがやっかいです。

IT エンジニアが日々費やす時間がどのプロジェクトに相当するかを時間管理を通じて適正に把握するのが難しく、手間がかかります。