叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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自然と一体になる頭のなか

前回のブログの続きです。
www.three-wise-monkeys.com
買ってくださったお客さまからの商いを最大化することをライフタイムバリュー(LTV)の最大化といいます。

LTVとは
LTV(Life Time Value)は「顧客生涯価値」と訳される。ある顧客が、特定の企業(ブランド)と取り引きを始めてから終わりまでの期間で、どれだけの利益をもたらすかを算出したもの。

2000年頃から使われている経営手法として有名なCRM(Customer Relationship Management)や、カスタマーサクセスはLTVを高める、顧客への販売戦略です。

CRMとカスタマーサクセスに共通するのは、新規で顧客を獲得するよりも、既存顧客からのリピートを促す方が効果的な販売促進という以下のマーケティング理論に基づいています。

1:5の法則
新規顧客に販売するコストは既存顧客に販売するコストの5倍かかる。

5:25の法則
既存顧客の離脱を5%改善したら、利益率が25%改善される。

カスタマーサクセスとCRMに共通する考え方は理解できるのですが、両者の言葉の意味合いに違いがあるのか気になりました。

そのため、顧客を標的としたターゲットについて整理します。

マーケティングで標的とは市場です。市場全体をターゲットにするマーケティングがマス・マーケティングです。マス・マーケティングは、市場にいるすべての顧客を対象にして、同じ方法で販売促進の活動を行います。

わたしがマス・マーケティングの具体例で真っ先に連想するのが、ファストフードチェーンです。全国どこでも、どんなお客様にも、画一的な応対マニュアルで対応します。

ハンバーガーショップ
ハンバーガーショップ
熱いたたかい ハンバーガーショップ
徹底した社員教育 行き届き
マニュアルにのっとり
同じセリフしか言えない
アルバイト学生に 今日もたたかいをいどみにやってきた
~「ハンバーガーショップ(嘉門達夫)」より
youtu.be

マス・マーケティングの対義語がワントゥワン・マーケティングです。ワントゥワン・マーケティングは個々の顧客に個別に対応します。ワントゥワン・マーケティングは「私をみんなのなかのひとりではなく、私は私として対応して欲しい」という、顧客の心の声に対応したマーケティングです。そしてCRMはワントゥワン・マーケティングを実践するための経営手法として語られます。

たとえば、商品やサービスの購入回数や金額に応じてポイントが加算され、そのポイントが高くなると特典が受けられるサービスは多くあります(下記は宿・ホテル予約サイトのじゃらんを参照しています)。

ポイントによる特典の例

これは典型的なCRMを用いた顧客の差別化です。特典を求める消費者は意識的に決まった予約サイトを利用することで、そのサービスへの忠誠心を高めるのです。

市場全体をターゲットとするマス・マーケティングと、個々の顧客をターゲットとするワントゥワン・マーケティングの間にあるのが、市場を細分化して細分化された市場のどこかをターゲットとするのが集中型マーケティングです。集中型マーケティングは必ずしもひとつではありません。異なる市場に対して、それぞれに集中型マーケティングを適用する場合もあります。企業はこのとき、同一の商品やサービスでもブランドを分けることで対応します。

集中型マーケティングを適用するにあたって、市場の細分化の仕方が昔よりも今ははるかに進化しました。これはインターネットの普及により、ユーザーの消費行動特性を捉えやすくなったからです。昔からある市場細分化の切り口は、年齢、性別、地域、職業、年収のような、比較的把握が容易なデータでした(これをデモグラフィック変数と言います)。一方で、インターネットの普及により、新たな切り口・・・個人の価値観、商品やサービスへの興味・関心、ブランドへのロイヤリティなど、消費者の心理に基づく主観的なデータ(これをサイコグラフィック変数と言います)を捉えることが可能となりました。

サイコグラフィック変数の切り口により、市場のターゲットはより具体的な人物像を描くことが出来るようになりました。企業はペルソナという架空のキャラクターを作り、ターゲットとするべく消費者の年齢、性別、居住地、職業、役職、年収、趣味、特技、価値観、家族構成、生い立ち、休日の過ごし方など・・・リアリティのある詳細な情報を設定していきます。

ペルソナの例

カスタマーサクセスは、企業が描いたペルソナに対して「成功を届ける」為の商品やサービスを提供することを目指す取り組みです。ペルソナのキャラクターに類似した実在する消費者は、無意識のうちにこの商品やサービスを使うことが快感になります。「もう、これを使うのは自然なことで、頭のなかが自然と一体になる」という感覚に陥るトリックです。