叡智の三猿

~森羅万象を情報セキュリティで捉える~

QBハウスの日常性

サブスクの浸透と歩調をあわせるようにビジネス戦略として「カスタマーサクセス」という言葉がよく使われます。これを日本語に訳すと、顧客成功・・・顧客を成功に導くような意味合いでしょうが、何を言いたいのだか、よく分からない言葉です。

そこで、カスタマーサクセスについて書かれたビジネス書を読んでみました。「カスタマーサクセスとは何か」・・・知りたいことがそのものズバリと分かりそうな本です。


この本で著者はカスタマーサクセスの本質を次のように書いています。

サザエさんに出てくる三河屋の三平さん、分りますか?彼がしていたことの現代版ですよ」
「カスタマーサクセスって、いったい何ですか?」と聞かれた時、筆者はこう説明することがある。
~「カスタマーサクセスとは何か(弘子ラザヴィ/英知出版)」より

三河屋の三平さんの知名度がどのくらいか疑問ですが、この表現は分かりやすいカスタマーサクセスの本質だと思いました。

そのうえで、カスタマーサクセスとは、買ってくださったお客様(既存顧客)とよい関係を築くことで、「最初の商い」の継続を最大化、「減った商い」を最小化することで、一度買ってくださったお客さまからの商いを最大化する考え方だと解説しています。

ここで買ってくださったお客さまからの商いを最大化することをライフタイムバリュー(LTV)の最大化と呼びます。

LTVとは
LTV(Life Time Value)は「顧客生涯価値」と訳される。ある顧客が、特定の企業(ブランド)と取り引きを始めてから終わりまでの期間で、どれだけの利益をもたらすかを算出したもの。

なるほど、、確かにサブスクのビジネスモデルでは、サービスを利用したお客さまが、解約(チャーン)しないことが一番重要な戦略です。チャーンはサブスクにとって死を意味すると言っても過言ではありません。その為、お客さまの声を聴きながら、サービスを改善し、買ったあとも長く利用をして頂く施策をとっています。

全体として読みやすい良質のビジネス書だと思います。ただ、本書を読んでもいまいち分からなかったことがあります。それは1990年代からあるCRMとカスタマーサクセスの違いです。CRMは、Customer Relationship Managementの略です。日本語で書くと顧客関係管理です。言葉通り、顧客との関係性を重視して、顧客との深い関係を構築し管理するマーケティングの手法です。

LTVを重視し、新規顧客を獲得するより、既存顧客との関係を強化する点において、カスタマーサクセスとCRMは同じ理念を共有していると思います。

結局、カスタマーサクセスというのは、CRMのサブスク版のことなのかな~

と、そこがややモヤ~っとした感覚を持ちました。

わたしは毎日、散歩します。目安は1万歩、最低5千歩です。時間が無いときは、近所のショッピングセンターを巡ります。各階をぐるぐる回りながら、ついでに買い物も出来るので、ショッピングセンターはとても効率のいい散歩コースです。散歩しながらブログのネタを考えています。もしかしたら、マスクの中ネタをつぶやいているかもしれません・・・。

そして、ショッピングセンターを散歩している途中でこのパトライトが目に入りました。

f:id:slowtrain2013:20210725005654j:plain
QBハウスのパトライト

ご存じQBハウスの入り口に設定している混雑度を知らせる表示灯です。

黄色のランプを見たとき、わたしはこう思いました。

今日は時間に余裕が無いから髪を切るのをやめとこう。

QBハウスは店舗の混雑状況をランプでお知らせしています。QBハウスのホームページでは、ランプの色による待ち時間の目安は以下の通りです。

緑色:すぐカットができます。
黄色:5~10分程度お待ちいただきます。
赤色:15分以上お待ちいただきます。

それから、わたしは散歩を続けたのですが、パトランプというQBハウス独自の仕組みは、カスタマーサクセスを具体化した良い例だと思いました。

QBハウスはここ3~4年は利用しています。以前はネット予約が出来る美容室に通っていました。その美容室は専用のスマホアプリで店舗の混雑状況が確認出来て、アプリで予約が出来ます。それなりに便利です。

一方、QBハウスはネット予約は出来ません。あくまで早いもの順です。ただ、そこにQBハウスのカスタマーサクセスの鍵があると思ったのです。

ここでネット予約が出来る便利な美容室を利用する顧客と、早いもの順であるQBハウスを利用する顧客の購買に至るまでの行動を書いてみます。

ネット予約が出来る美容室

  1. 髪を切りたいと思い、スマホアプリを起動する。
  2. スマホアプリで混雑状況を確認し、空いている時間に予約する。
  3. 予約した時間にあわせて、店舗に向かう。

QBハウス

  1. 店近くの通りがかりにパトランプを見る。
  2. 髪を切るか、いまは辞めとくかを判断する。

わたしのように、髪は毎月切りたいと思いつつも、髪を切ることに関わる時間を極力減らしたい顧客は一定数います。QBハウスのシステムは、髪を切る為の予約がありません。ですので、無計画、無意識な散髪です。QBハウスを利用する顧客にとって髪を切ることは、ちょっと昼どきに吉野家に立ち寄って、牛丼を食べるくらい日常的な行動になるのです。

QBハウスは日常を求める顧客に成功を届けているのだと思います。