コンサルティング会社である「SMBCコンサルティング」は毎年「ヒット商品番付」発表しています。その2006年、西の大関として君臨したのが、mixi(ミクシィ)でした。
mixiは、2005年12月に200万だった会員数が、2006年11月には660万人へと急拡大した。最大の特徴は、すでに入会している人の紹介がなければ入会できないこと。従来のインターネットは匿名性が強いために、よく気をつけて利用しないと危ない目に遭うというイメージが強かったが、mixiでは紹介というプロセスを経るのである程度安心できる。インターネットにリスクを感じていた人が、mixiの居心地のよいネット空間に集まった。
〜ヒット商品番付 : Business Watch 2006年より
わたしがmixiの会員になったのも2006年です。mixiブームはこの年の社会現象でした。
mixiはネット空間につぶやきや日記の投稿機能やコミュニティ機能を充実することで、ネット空間でマイミクという新たな人間関係を築きました。
オンラインで知り合った人々が、オフ会を開く現象がマスメディアでも取り上げられました。
なお、オフ会はmixiが開花する10年以上前からあります。インターネットの普及以前からある「パソコン通信」と呼ばれる電脳空間です。
インターネットはTCP/IPで、パソコン通信は無手順のプロトコルです。わたしはNIFTY-Serveの法人会員として、ニフティ・フォーラムから、WindowsNTやMS-Exchange等、Microsoft関連の技術を見知らぬ人と情報交換してました。そこにオフ会と呼ばれる同好会がありました。mixiは「パソコン通信」を大衆化したコミュニティです。SNSを使えば、会わずに日常を共有できます。それにハマると、些細なことも毎日何かしらの投稿したい気分になります。
わたしをいちばん知っているのは、職場の同僚でも家族でもありません。顔の知らないマイミクということになります。
わたしはいつの日か、国民の殆どがmixiを使うようになると思いました。
しかし、現在のmixiは過疎化しています(ちなみにいまのミクシィは、モンスターストライク等のスマホのゲームアプリが好調で、コミュニケーションのカタチを増やした熱いサービスを展開しています)。
mixiのサービスを考えたとき、わたしはサービスのの仕様面で、3つの失敗をしてると思います。
その1:実名主義を貫けなかった
mixiはプロフィールの登録にあたって「友人・知人とつながりやすくなるため、プロフィールの「姓名」には、自分の本名での登録をおすすめします。」としています。
しかし「本名で登録したくない場合は、お知り合いに伝わるような愛称などをご登録ください。」と、実名主義は徹底していません。
利用者の自由意思に委ねたことで、結果的にmixiのプロフィールで実名を登録する人は少数派となりました。このことで、mixi空間で友人・知人を見つけることが困難なサービスとなりました。
機能が類似し、実名主義が徹底しているFacebookに利用者は流れていくのは当然だと思います。
その2:招待制を廃止した
mixiは2009年に招待制を廃止しました。利用者を拡大するにあたって、招待制が障害と考えたのでしょう。しかし「信頼の輪」をベースとした招待制から想起されるプレミアム感、安心感がなくなりました。
招待制の廃止は、結果的には失敗だったと思います。
信頼の輪とは
- AさんはBさんを信頼し、BさんはCさんを信頼していれば、AさんはCさんを知らなくてもCさんを信頼できると判断することが出来ます。情報セキュリティではこの考え方を「信頼の輪」と呼びます。たとえばメールシステムのデジタル署名であるPGPは「信頼の輪」に基づいています。
その3:日記は三日坊主になりやすい
mixiは日記の投稿がメインです。しかし、日記というと、誰もが三日坊主を連想するでしょう。文字数が長い日記を書き続けることは労力のいる作業です。究極にはSNSは暇つぶしのサービスです。写真と文字を組み合わせたfacebook、写真中心のInstagram、ショートメッセージのtwitter等、労力のかからないSNSがもてはやさられるのは「自明の理」なのでしょう。
ただ、日記を書くことは実に楽しいことです。はてなブログも日記のようなものです。
- 日々の記録を後で確認できる。
- 自分の思考や気持ちを整理できる。
- 脳トレになる。
デジタルな世の中ですが、アナログな日記帳にも捨てがたい魅力があります。
それを感じたのは、いまTBSでやっているドラマ「私の家政夫ナギサさん」です。
www.tbs.co.jp
前回の放送では、ナギサさんが持っていた「2015年の日記帳(女性が使いそうな・・・)」の秘密が明かされました。
辛かったこと、頑張ったこと、感謝したことを記録し、あとから振り返るのもいいものだと思いました。