「人はなぜ、自分の思い を綴りたいと考えるんだろう?」
誰もが 日々の暮らしのなかで、楽しかったこと、辛かったこと、腹が立ったこと・・・を言葉で表現したいと思っているに違いありません。
子どもの頃は、年末を迎えると「来年は日記を書こう!」と、日記帳を欲しがりました。
文具店で目にする日記帳が、おしゃれでシックな厚紙の表紙だったり、布張りだったりすると、書く意欲がわきそうです。
しかし、いざ年があけると、日記を書こうとはしませんでした。
日記が続かない原因はいろいろあると思いますが、わたしの場合「日記を書こう!」という新鮮な気持ちから、勢いのまま日記帳を手に入れるも、その時点で、新鮮な気持ちが薄れてしまうのです。
「思いを綴りたい!」と、考えても、書くためのネタを考えるのは難しく、そもそも、書きたくなるような特別なことなど、そうそうありません。
「まぁ、日記なんて、所詮は三日坊主と言われるから、書かないのは仕方ないね・・・」と、新年早々諦めるのが常でした。
中学(1970年代の終わり)に入ったころ、雑誌やラジオ(深夜放送)に投稿を続ける友だちがいました。
ある日、彼は自分の投稿した記事が、雑誌に掲載されたことを喜び、わたしにその雑誌を見せてくれました。
投稿した記事の内容は、ソ連の社会主義体制を批判する文章でした。「社会主義は平等を実現しようとした結果、国民は真面目に働かなくても生活できるので、やがて国全体が駄目になっていくだろう」という内容です。
わたしはその文章を読んだとき、書いている内容は理解できたし「確かにそうかもしれない」と、納得しました。でも、なぜ、彼はこのような記事を投稿しようと考えたのか、理解できませんでした。
というのは、資本主義が掲げる自由と、社会主義が掲げる平等は、確かに対立しているのですが、一方が正しく、他方が間違っていると断言できないと、子ども心に思ったのです。
自らの見解を出すには、自由と平等の利点と欠点を論理的思考に基づき分析して結論づける必要があります。
わたしは、そんな面倒くさいことを考えたいとは思いません。まして、雑誌という公のメディアに、自分の見解を公表したいとは思いません。
わたしが雑誌に投稿するなら、政治的なネタは避けます。代わりに「サザンオールスターズより、ツイストの方がかっこいいと思う」というような、芸能ネタならOKです。
芸能ネタであれば、論理的な思考を必要としません。何を良しとするかは、自分の感性にゆだねられるからです。
だから、わたしは政治的なネタで、雑誌やラジオに投稿をする友だちの行動が理解できなかったのです。
一方で、その友だちを羨ましいと思いました。
日々の生活のなかで、問題点を見つけ、そこから論理的な思考を積み重ね、問題を分析し、自分なりの結論を出す彼のような人物こそ、日記を書ける人だと思いました。
わたしが日記を書けない理由は、書くネタがないのではなく、毎日をボーッと生きているだけで、何も考えていないからだと悟ったのです。
ただ、そんなわたしでも、ずっと成長してから、日記を書き綴った時期がありました。
それは、ハムスターを飼っていたときにつけた飼育日記です。
きっかけは、代官山にある雑貨やさんでとても感じのいいハードカバーのノート(スウェーデンの文房具メーカー、ORDNING&REDAのモノ)を見つけたことです。
わたしはこのノートを手に入れて、ポラロイドカメラの写真と文章を添えた日記を書きたいと思いました。
そこで問題になるのが被写体です。家にある雑貨でも、街の風景でも、食べ物でもよかったのですが、もっと面白い被写体はないかな~と、思ってたとき、近所のディスカウントショップで、ドワーフのハムスターを見つけました。
ハムスターであれば飼育も手間がかからず、ハムスターの成長記録が日記になると思いました。
わたしは衝動買いで、ハムスター(サファイアブルー)、ケージ、餌、回し車、芝草を買いました。
以降、ハムスターの飼育日記は、5年続きました。
一冊のノートを書き終えたら、ORDNING&REDAのデザインの異なるノートを買いに代官山に行くのも楽しみでした。
わたしのような普段、何も考えていない人間でも、書くテーマを明確にできれば日記をかけます。
書くための、モチベーションを持続するには「ハムスターの成長を記録したい」という、自分のなかにある「内発的な動機」もさることながら、「代官山で、日記帳を買う」というような、「外発的な動機」がリンクしていることが重要だと思います。
「内発的な動機」と「外発的な動機」の関係は、勉強を例にすると分かりやすいです(下図)。
モチベーションを維持するうえで「外発的な動機」は、即効性はあるものの、効果が持続しないと言われます。
ただ「内発的な動機」と「外発的な動機」がうまく循環したら、期待通りの成果、或いは 期待以上の成果を生むかもしれません。
今年一年、皆さまにとって、達成したい目標が、叶えられるべく、モチベーションが持続することを願ってます。
わたしも開始から3年目を迎えるこのブログ(叡智の三猿)を書くモチベーションを維持していきたいと強く考えています。