叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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社員が使うコンピュータと、お客さまが使うコンピュータ

仕事で成功するには、「コミュニケーションをとって、お互いの特性をよく知り、共に満足して信頼関係を深めることが大事」と、「まぁ、当たり前のことだよね〜」ということをわたしはブログによく書きます。

お客様相手のサービス業なら、客とのコミュニケーションは、もちろん大事!

でも、そもそもコミュニケーションを嫌がる客もいっぱいいますね。

最悪、モンスターな客だと、店員から接遇を受けても、無礼な対応でかえされることもあります。

それでも、サービスを提供する側は、お客さまを相手にしている以上、我慢して対応する必要があるのかと思うと、「コミュニケーションって、簡単じゃないな」と、思います。

理不尽な客に対して、我慢を続けて接遇をすると、仕事のストレスを抱え込みます。それは、全然楽しくない働き方です。誰も幸せにならない働き方です。

去年、話題になって読んだエッセー「常識のない喫茶店/僕のマリ・著(柏書房)」で、理不尽な客とのコミュニケーションに於ける「答え」になりそうな文があったので、引用します。

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感想(2件)


お客さんが店を選ぶように、店だってお客さんを選ぶ。不快なことや許せない行為があれば「もう来ないでください」と出禁にする。だいたいが自分の親より上の世代だが、虚を衝かれたような顔をしているのを見ると、「これまでの人生で誰も指摘してくれなかったんだな」と思う。「あんた何様なんだ」「こっちは客だ」などと逆ギレしてくるタイプの人もいるが、その都度論破する。こちらには店としてのプライドがある。「いい空間」を作るためには必要なことだ。
~「常識のない喫茶店/僕のマリ・著(柏書房)」

「すべての喫茶店が店内にこの本を陳列して、来店客が読めるようにしたら、痛快だな!」と、思いました。

ところで、ITエンジニアとして、接遇について考えると、昔と今のコンピュータ・システムの役割が様変わりしていることに改めて気づきました。

仮にコンピュータ・システムをサービスを提供する側の人間にたとえると、システムのエンドユーザーはお客様です。

エンドユーザーとコンピュータ・システムが円滑な対話を継続することで、システムの信頼性は高くなります。これは、人と人とが対話を通じて構築する信頼関係と似ています。

わたしがメーカーの社内SE として仕事をはじめたのは1990年です。この時代、システムのエンドユーザーは、ほぼ社員(アルバイトを含む)に限られていました。しかし、いまの時代、システムのエンドユーザーは社員に限定されません。会社のWebサイトが分かりやすい例ですが、インターネットが普及した 2000年以降は、どのような属性の利用者がシステムを操作するかが想像できません。

社員向けのシステムを円滑に運用するには、SEとエンドユーザー(利用部門の社員)とのコミュニケーションの成果物である要件定義が、まとまっていることが大切です。そして、本番への移行工程では、エンドユーザーのコンピュータ操作が、システムの障害を引き起こさないため、操作教育や利用者向けのマニュアルを提供することが求められます。

これは俗にウォーターフォールモデルと呼ばれる開発工程です。むかしは開発プロジェクトといえば、ウォーターフォールしかないので、ウォーターフォールモデルという呼び方はしませんでした。2000年以降、アジャイルとかオブジェクト指向といった開発モデルが浸透するなかで、むかしと比較するため、ウォーターフォールモデルという呼び方が定着しました。

ウォーターフォールモデル

社外の不特定多数の利用者が操作するシステムでは、まとまった要件定義を作ることは期待できません。なぜなら、システムの要求事項を明確に提示できる人が社内にいないからです。たとえ、マニュアルを整備しても、エンドユーザーがマニュアルを読んで、正しい操作をする確証はありません。スマートフォンが典型ですが、マニュアルがなくても、エンドユーザーが直感で操作できるようなシステムが理想とされます。

30年たって振り返ると、ITの進化はやっぱりすごいんだなと思いました。