叡智の三猿

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尾道(海岸通り・トムスサンドイッチ・千光寺山・帆雨亭・御袖天満宮《転校生のロケ地》・商店街・三軒家アパートメント)

尾道散策の起点は海岸通りです。

朝からとても暑い日ですが、海風に涼しさを感じます。

海岸通りは静かです。そこにセンスの良さを感じるカフェがいくつかあります。

散策している途中、記憶の片隅にある「トムス・サンドウィッチ」の看板を目にしました。

トムス・サンドウィッチといえば、、代官山のヒルサイドテラスの人気店です。結構、馴染みのあるお店でした。

「こんな場所に支店があるのかな・・・?」と、ちょっと不思議に思いながらお店に入りました。

気になったのでネットで調べると、代官山のトムス・サンドウィッチは2019年に閉店したようです。そして、いまは尾道で再開しているとのことです。

海の向かいにある向島を眺めながらの朝食(エッグベネディクト)は、ものすごく美味しかったです。そして、まさか尾道で「トムス・サンドウィッチ」を食べてること自体に懐かしさと幸せな気分になりました。

千光寺山ロープウェイで山頂に行きました。

山頂からは、しまなみ海道に連なる瀬戸内海の島々を見渡すことができます。これはなかなか壮観な眺めでした。

山頂からは「文学のこみち」と呼ばれる坂を下ります。この坂にはいくつもの大きな岩がむき出しにあるのですが、その岩には尾道にゆかりのある歌人、俳人の歌が刻まれています。この光景はわたしのなかではやや違和感を感じました。尾道の景色は素晴らしく、和歌を詠みたくなる感覚は分かります。しかし、著名な方の和歌を自然の産物である岩に刻むことに意味があるかが疑問でした。自然そのものを見せる方がいいのではないかと・・・。

わたしも一句ひねってみました。

しまなみや文字おう処暑の花崗岩(スロトレ)

千光寺は山頂から文学のこみちを少し下ったところにあります。ここは尾道の町並みを一望できる本堂をはじめ、鎖で山を登る岩や、鏡岩など見どころが多くある古刹です。

千光寺から下る坂のところどころに趣のあるお店があります。

帆雨亭は志賀直哉の初版本が展示された歴史を感じる喫茶店でした。冷房も利いてますが、回転する扇風機の風が心地よく、長居したくなる空間です。

尾道のモモを載せたかき氷を食べました。氷にしっかりと桃の味が染み込んでました。

尾道といえば、坂や寺や猫や文学やラーメンやらといろんな連想が人それぞれに浮かぶのでしょう。

わたしの場合、大林信彦監督の映画で「尾道三部作」と言われるものです。三部作は、「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」のことです。どの作品もお気に入りなのですが、いちばん印象に残っているのは、第一作の「転校生(1982年)」です。

尾道の中学校に転校してきた一美(小林聡美)は、幼なじみの一夫(尾美としのり)と再会します。その直後、ふたりは神社の階段から転げ落ち、そのはずみで心と身体が入れ替わってしまう物語です。

この映画で「階段落ち」の舞台となったのが、御袖天満宮です。

こちらは映画でのシーンです。主演のふたりがころがり落ちてます。いまと比較すると、映画では屋根の右側に樹木がかかっているように見えます。

この神社の御朱印バージョンはいくつかあるのですが、転校生の絵柄もありました。きっとここを訪れる観光客の多くはあのシーンを回想しているんでしょうね・・・。

「転校生」で、初主演を演じた小林聡美さんの演技にわたしは惹かれました。

以降、小林さんの活動には着目しています。

役者としての経歴はもちろん凄いのですが、実はエッセイも多く執筆していて、どれもハマる面白さです。

小林聡美さんは、わたしと同年代(昭和40年生まれ)です。とくに年代にあわせて書かれたエッセイを読むと、「あ~そうだよなあ」と、ものすごく共鳴します。

いま、わたしは50代なので、小林さんのエッセイだと「聡乃学習」がマッチします。60代、70代・・・になってもエッセイを書きづって欲しいと思います。

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感想(1件)


目下の目標は、「PDFファイルを結合する」ことである。実にささやかだ。別に結合できなくても一枚ずつ添付すればいいことで、窮地に瀕しているわけでもないのだが、結合してひとつのファイルで送信できたら、すっきりして気持ちいいだろうなあ、と思うのである。電脳にすごく興味のあるひとなら、ネットでいろいろ調べたり友人に教えてもらったりしてとっくに解決しているのだろう。私はその問題に気づいて、結合したいなあ、と思ってから四年以上たっている。本年度の目標は「PDFファイルの結合」。ちょっと頭の弱いパソコンと力を合わせてなんとか実現したい。~「聡乃学習(小林聡美・幻冬舎文庫)」より

「聡乃学習」を読みながら、わたし達の年代は、「アナログ社会」と「デジタル社会」の狭間にいるような世代なんだと改めて感じました。好むと好まざるに関わらず、アナログからデジタルへの変革を余儀なくされた世代とも言えます。

「アナログ社会」と「デジタル社会」の分水嶺がいつなのかの、解釈はいくつかあると思いますが、わたしは Windows95 が販売された 1995年 だと勝手に定義してます。

1995年ーーわたしは30歳だったのですが、勤務先のワークスタイルが大きく変わったのを覚えてます。

それまでは、社員の机の上にある通信機器は事務所の固定電話のみでした。そして、どの机にも筆記用具を入れるケースや電卓がありました。社員は電話しながら、メモに何やら書き込んだりして、ときには怒り、ときには笑ってました。そして、同僚への連絡は付箋紙にペンで書き込み、それを手渡しして、ぺちゃぺちゃと話し込んでました。

しかし、社員ひとりひとりに Windows95 の OS を搭載したパソコンが配布されたことで、職場の空気は大きく変わります。

事務所で鳴る電話はめっきりと減りました。社員は黙々とパソコンのキーボードをかちゃかちゃ慣らし、ときに「う~ん」とか「あ~」とか、なにかを考えているような顔をして、つぶやくようになりました。

職場の空気が変わったことで、仕事もアナログからデジタルを前提にしなければならなくなりました。

しかし、わたしの世代より5年以上、歳が上になると、デジタルに対する理解も関心もありません。それは、デジタルデバイド(情報格差)という新たな問題を生みました。

一方、わたしの世代より5年以上、歳が下になると、新卒とか仕事を覚えたての新卒3年目という感じです。パソコンができるとかできないとか言う以前に、業務遂行能力がまだ欠如してます。

その為、わたし達の世代は、デジタルな青年期を過ごしていないにも関わらず、中年に差し掛かる頃になって、いきなり「デジタル変革」の先頭をきらなければならなかったのです。

尾道の商店街は古さのなかに若さを感じます。「商店街=シャッター街」 と、言われる中で、数少ない魅力的な活気ある商店街の雰囲気を醸し出しています。

尾道は古民家をリノベーションして、古くておしゃれな空間を演出した建物が多くあります。

三軒家アパートメントは、空き家のアパートに古着屋やレコード店など、複数のお店が入居しています。閑静な住宅地のなかにあるちょっとした異空間です。

三軒家アパートメントに、ナント卓球場があるではありませんか!!

外は炎天下、冷房なしで汗だくになりながら、息子と卓球で勝負しました(15分でひとりあたり300円でした)。

まだまだ、わたしは元気です!

番外編

この日は、あまりにも暑すぎて、目当てにしていた「尾道ラーメン」を食べる気にはなりませんでした・・・。

お土産で「一丁(いっちょう)」のラーメンを買って、「尾道発ぶちうまぁ! いか天 」を載せて、家で食べました。

特徴の背油ミンチを融合したシンプルな美味しさは、飽きのこない味だと思いました。