今年のプロ野球(セ・リーグ)の順位予想では、ほとんどの解説者がカープを最下位にあげています。鈴木誠也の抜けた戦力ダウンが予想に大きく影響した結果です。
しかし、いざ開幕してみるとどうでしょう。4月末時点の順位はー
- 巨人(勝率:.645)
- 広島(勝率:.571)
- ヤクルト(勝率:.556)
- 中日(勝率:.500)
- DeNA(勝率:.400)
- 阪神(勝率:.310)
と、なかなかカープは善戦しています。まだ、開幕してからの経過日数は少ないので、最終的にどうなるかは分かりませんが、現時点では、大多数の評論家が予想したカープとは異なる結果です。リリーフ陣がとても不安ですが・・・(先発がいいだけに)。
カープの下馬評がここまで悪かった要因は、球界を代表する四番の鈴木誠也が抜けたことです。評論家もプロ野球ファンもカープは鈴木誠也に依存しているチームと見られている証です。
しかし、いまの善戦は誠也の穴を見事に埋めて余りあります。特に開幕6連勝は、大方の予想を見事に裏切りカープファンの期待値をあげました。ただ、、前回の開幕6連勝を飾った1993年は5月に大失速し、最終的には最下位だったのですが・・・(二の舞は避けたい)。
カープが善戦している要因を3つ考えました。
ひとつは四番に新外国人選手(マクブルーム )を据えたことです。絶対的な四番、鈴木誠也の穴を埋められる選手は誰もいません。誠也のことを知っている選手が四番になった場合、その選手が感じるプレッシャーは相当大きかったはずです。極度のプレッシャーがかかると、人は守りに入り、勝負から逃げる傾向があります。選手の持つ能力を奪ってしまうかもしれません。しかし、マクブルームは誠也の活躍を目の当たりにしていなく、本人もホームランバッターという意識もありません。四番というより、四番目の打者としてプレッシャーを感じることなく打席に入っているようにみえます。
ふたつはホームランバッターである誠也が抜けたことで、全員がつなぐ野球に徹するようになったことです。今年のカープの野球は犠打や四球が多い傾向があります。特に開幕間もない3月29日の阪神戦で上本が粘って四球を取ったシーンは、カープの戦い方を象徴する名場面です。
そしてみっつは、マツダスタジアムにファンが戻ってきたことです。広島に於けるカープファンの熱さは、他のどの球団と比較しても圧倒的です。コロナ禍で観客が制限されていたここ2年と異なり、今年のファンは思いっきりカープを応援し、選手はファンに後押しされて発奮します。
ここで注目すべきは、マクブルームの四番と、つなぐ野球の徹底は佐々岡監督の采配によるものだということです。ファンの間では迷采配の声が大きい佐々岡監督ですが、今年は迷采配でなく名采配です。この采配力の向上は誰も予想できなかったはずです。
是非、最後まで予想を裏切る活躍をカープの選手に期待し、最後は優秀の美酒を味わいたいものです(広島の銘酒といえば賀茂鶴ですね)。
昨今は膨大なデータ(ビッグデータ)を分析して物事の関係性を明らかにして、人間の処理能力では不可能なことを実現することがAIによって期待されています。AIは人間が考慮できる要因の数やデータ量をはるかに多く処理できるため、より高精度な予測を実施できる可能性が高いとされます。
しかし、予測がそのまま的中する社会の到来が、必ずしも幸せな社会を呼ぶことにはならないと思います。
予測は外れるからこそ面白いのかもしれません。