叡智の三猿

~情報セキュリティで森羅万象を捉える~

震災から10年が経過して振り返る

東日本大震災の発生から10年たちました。あの日、どのように過ごしたかは鮮明に覚えています。

当時、わたしは携帯で「勝手サイト」(☜死語ですね)を運営し、気になるニュースに短いコメントを投稿するようなことをやっていました。

あのとき、どのようなことを書いたのか、振り返ってみました。

ただ、震災のあった3月11日から1週間は、何も投稿していませんでした。それを行っている状況や気分ではなかったのだと思います。

震災に関する投稿は3月17日の以下の投稿からはじまります。

  • 警察庁によると、17日午後2時現在、東北など12都道県警が検視などで確認した死者数は5321人に上った。家族や知人から届け出があり、依然行方が分かっていないのは9329人で、死者と行方不明者は合わせて1万4650人。重軽傷者は17都道県で計2383人になっている。(産経新聞/2011.03.17)
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 大地震が発生して丁度、7日目。多くの方がそうであるように、わたしも刻々と入ってくる情報に大いに惑わされた1週間でした。

 地震のあった時刻、わたしはお客様企業がある新宿の高層ビルで業務をしていました。そのとき、ビルは大波に揺られる船のように、ぎしぎしと音を立てながら耐えていました。地震はとても長く感じられました。わたしは始めて地震で恐怖を感じました。

 夕刻、わたしは千駄ヶ谷にある自社に戻りました。そこで一夜を明かすつもりでしたが、幸い通勤電車が運行したことから、真夜中に事務所を出て、明け方3時頃帰宅することが出来ました。ただ、そのときは今回の地震がこれほど、大きな打撃を日本に与えているとは思っていませんでした。

 そのときから、日がたつに連れ、被災地の苦しい情報が入るにつれ、胸が張り裂けるような痛ましさを感じました。そして、いま自分も家族も生きていることが本当に幸せだと感じました。

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 いま、現場で事故対応をしている東電の関係者は「なんとかしなければならない」という思いでいっぱいだと思います。スリーマイル島の事故と同レベルとされた今回の原発事故――いっこくもはやく、放射性物質が冷却されることを願います。

 ただ、この事故を教訓として「原発は危険」という認識を持ち「脱原発」に向かう社会を築くべきと考えます。CO2を抑制するクリーンなエネルギーと原発は言われます。しかし、CO2よりも放射能の方がわたしは怖いと思います。発電コストがいいと原発は言われます。しかし、今回のような事故が起きたら、とてつもないコストをかけて、被害を最小化しなければなりません。

 原発を立地する条件は、地震が少なく、海岸沿い(大量の冷却水が必要な為)であることです。地震大国の日本、地震により発生する津波――少なくとも日本では、原発に相応しい場所は、殆どないと思えます。

  • 日本プロ野球選手会新井貴浩会長(34=阪神)は18日夜、大阪市内で会見し「セ・リーグ3月25日開幕決定についての見解」と題した声明を発表した。この日は松原徹事務局長らスタッフが全12球団を回り、意見を集約。再度の開幕延期を要望し、仮に強行する場合も「電力事情や安全面も配慮するデーゲームでの開催等の方法を検討すべきである」とナイター自粛を求めた。(スポニチアネックス/2011.03.19)
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 新井選手会長の言うことは尤もだと思います。セ・リーグのみが25日の開幕を強行するニュースを見たとき、強い違和感を感じました。

 強行開催の背景として、巨人の渡辺会長による「ツルのひと声」があったとのことです。開催理由については「戦後、3ヶ月でプロ野球が始まった歴史」とのことです。

 この理由にも強い違和感を感じます。戦後の状況をイメージすれば、希望や活力を国民は求めていたのだと思います。そこに「プロ野球」は希望の星として復活したと思います。

 今は、震災の行方不明者が1万人を超え、救助隊が必死の捜索を続けています。福島原発放射能汚染は、まだ予断を許さない状況です。計画停電の実施により、首都圏の交通は混乱しています。わたしたちは、常に節電を意識しなくてはいけません。

 そのなかで、25日にプロ野球の開催、しかも電力を多く消費するナイターで開催することが、国民の希望にかなうのでしょうか!?――渡辺会長は状況を読み違えていると思います。

 更に違和感を感じるのは、渡辺会長が発言したことで、セ・リーグ全体が横にならえをしていることです。セ・リーグ機構は組織的欠陥があるのではないでしょうか!?わたしは選手会の言い分が理にかなっていると思います。

  • 警察庁によると、20日正午現在、東北など12都道県警が検視などで確認した死者数は8133人に上った。家族や知人から届け出があり、依然行方が分かっていないのは1万2272人で、死者と行方不明者は合わせて2万人を超え、2万405人になった。重軽傷者は18都道県で計2612人。(産経新聞/2011.03.20)
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 17日時点での死者・行方不明者は合わせて1万4650人でした。20日時点では2万405人です。3日間を経過して、6千人近く増えています。しかも、依然として死者よりも行方不明者の数の方が多い状態です。

 このことは、まだ震災は終息していないことを示しています。震災による福島原発放射能漏れもまだ予断を許しません。

 この状況下、わたし達は個人が出来ることをやること必要だと思います。著名なスポーツ選手やアーティストは、多額の義援金を送っています。わたしも、少額ですが義援金を出しています。そうした個人の行為が、東北ついては日本全体の再生につながると思います。

 いま、様々な地域で多くのスポーツイベントが中止を余儀なくされています。それは当然のことだと思います。スポーツは国民を元気にして、国の活力を取り戻す力があると思います。しかし、それは震災が終息してから、行うべきことだと思います。

  • 東日本大震災による生活物資の不足問題。首都圏では月末にガソリンの品薄が解消される見通しとなり、飲料水や家庭紙など食品・生活用品の買いだめも収まりつつある。ただ被災地は一部で改善しつつあるとはいえ、なお深刻だ。関西などでは首都圏に遅れて品不足が発生しており、生産・物流機能の早期回復と強化に加えて、消費者の冷静な対応もカギとなりそうだ。(日本経済新聞/2011.03.21)
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 被災地域の「モノ不足」は深刻で、一刻も早い解消を望むのですが、首都圏での「モノ不足」は、消費者の過剰反応に思えてしまいます。

 いま必要なのは被災地域に対するモノの供給です。首都圏でも、余震の不安はあるものの、計画停電などは、被災地の状況を考えれば、余り大げさにとらえなくてもいいように思えます。

 とはいえ人間の生存本能として、災害による心理的な不安要素から「買いだめ」に走ってしまう気持ちは、分からなくはありません。マズローの「欲求段階説」に当てはめると、1段階にあたる「生理的欲求」に不安を感じているのですから・・・。しかも、マスコミを通じ、モノ不足が、連日報道されるので、群集心理として皆が「買いだめ」に走ってしまうでしょう。

 本当は危機に際しては、全体を考えて行動することが、とても大切なことです。しかし、人間の思考はそこに限界があるかもしれません。そこに、少々せつなさを感じます。

  • 東京電力福島第1原子力発電所3号機で作業員3人の被曝(ひばく)した事故で、枝野幸男官房長官は26日午後の記者会見で、東電が作業前に放射線量を確認しながら作業員に注意喚起しなかったとされる問題について「官邸にそういった報告はなかった」と述べた。(産経新聞/2011.03.26)
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 原発問題の根幹は何かというと、不信にあるのかもしれません。テレビを見ていると、多くの学者が、福島原発から、拡散している放射能に対して「健康に与えるようなレベルでない」と、言います。しかし、多くの国民はその言葉を額面通り、受け取っていません。健康リスクを回避する為、ペットボトルの水を買いだめしています。

 そもそも東京まで原発事故による放射能がやってくるのは異常事態です。これに対して「大した問題ではない」とも受け取れるコメントが発信されることは、もっと異常です。こうなると「何かを隠しているのではないか?」「本当はもっと深刻な状況なのではないか?」――疑いだしたら、キリがないと分かりつつも、不信をぬぐうことが出来ません。

 記事に書かれた事件を見ると、やはり東電は、「隠したいのか?」と勘ぐってしまいます。

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こうして振り返ると、東日本大震災そのものの恐怖と、原発事故で拡散する放射能汚染の恐怖が共存していることを感じます。

この事故まで語られていた安全神話はもう存在しません。地震は自然災害なので止めることは出来ません。原発に依存しない社会を築くことの重要性を改めて認識しました。