旅の思い出はペナント
昭和40年に生まれたわたしにとって、旅の思い出はペナントです。どんな観光地に行っても土産物屋さんには必ずペナントを売っていました。因みに、ペナントは観光地の写真を印刷したものと、刺繍が施されたものに分かれますが、わたしの心に突き刺さったのは、断然刺繍版でした。はじめからペナントを集めるつもりはなかったのですが、至るところでペナントを購入すると、あっという間に増えていき、最盛期は100枚くらいあったと思います。たくさんのペナントを部屋の壁にピザのように丸く貼りつけ、天井にも張っていました。部屋の整理をして、だいぶ減りましたが、実家には何枚かのペナントがまだ貼っています。
旅の思い出をデジタルだけで満たすのも、古い世代としてどこか寂しさを感じます。昭和の時代、どこの観光地にも売っていたペナントがまた復活して欲しいなと、思います。その一方で部屋の壁がペナントで埋められ、壁の至るところににびょうの穴が空くのは、嬉しくありません。おそらく、そういう理由でペナントを買う人が減り、廃れていったのでしょう。アナログなモノは、時がたつと、扱いに困ります。それが思い出のモノだと、捨てるのもそれなりの勇気がいります。プリントアウトされた写真をアルバムに貼ることさえ、廃れたのですから、ペナントが壁に貼られる時代はもう来ないと思います。
風とAR
はじめて買ったペナントは小学校2年生の夏に、富士五湖に行った際、購入した「富岳風穴」です。
風穴は溶岩などの堆積物の隙間に空気が吸い込まれ、冷えた空気は下から冷風として噴き出し、温かな空気は上から温風として噴き出す自然の仕組みです。青木ヶ原樹海に囲まれた風穴の中は、夏でもひんやりと涼しい自然の冷蔵庫です。

これからの観光地は、どこでもAR(Augmented Reality/拡張現実)が活躍するでしょう。ARグラスに装着されたカメラが捉えた、現実の映像に、デジタル情報を付加して表示することで、拡張された現実を作るテクノロジーです。

GAFAのひとつ、Facebookが9月に欧米地域で発売した「Ray-Ban Stories」のスマートグラスは、AR効果は搭載されていないのですが、FacebookがARの普及を目指していることは間違いありません。
これは、カメラとスピーカー搭載されたサングラスです。
いまは目の前にある光景の情報を知り、その光景を写真に収めたいと思ったら、服のポッケからスマホを出して情報検索したり、カメラ機能で撮影しました。しかし、ARグラスをつけていれば、グラスのつるに触るだけで撮影ができるし、グラスはネットと連動しているので目に見える光景の情報や周辺のグルメ情報も文字や音声として自動的に飛び込んでくるでしょう。
もちろん、ARグラスは観光体験を補うツール以上ではありません。
たとえば、風穴のひんやりした自然の空気は、五感で感じるものです。ARで自然そのものを感じることは出来ません。しかし、ARは特徴ある自然現象を補う知識を視覚的に与えてくれます。自然を体感しながら、最新のテクノロジーで知識を増やすことが、どこでも可能になれば旅行ももっと楽しくなると思います。
ポートスキャン
ところで、風穴のように空気は穴があれば、そこを通り抜けていきます。情報セキュリティの世界で、空気に相当するのが情報であれば、穴に相当するのがポートです。セキュリティを維持する壁には、ポートという穴が空いています。穴が空いているポートは、空気である情報が行き来します。各ポートには番号がつけられ、意味を持ちます。代表的なSSLの通信を行うHTTPSのサービスは、443番というポート番号が割り振られています。情報セキュリティ対策上、サービスとして使わないポートは閉じるのが原則です。
穴の開いたポートを探す方法をポートスキャンといいます。攻撃者はポートスキャンを使って、穴の空いたポートを探し、そこからセキュリティの壁を突破しようとします。

ポートスキャンは情報システムの運用場面で使うツールですので、ポートスキャンそのものがセキュリティ攻撃のツールというわけではありません。
TCP SYN スキャン
TCP SYNスキャンは、対象のポートに対して、TCPコネクションを要求するSYNパケットを送付します。その応答によって、ポートが空いているか、閉じているかを判定します。
応 答 | 判 定 |
---|---|
SYN/ACKが応答される | 対象ポートが空いてる |
RST/ACKが応答される | 対象ポートが閉じている |
UDP スキャン
UDPスキャンは、対象のポートに対して、データ部のないUDPパケットを送信します。その応答によって、ポートが空いているか、閉じているかを判定します。
応 答 | 判 定 |
---|---|
応答なし | 対象ポートが空いてる |
port unreachableが応答 | 対象ポートが閉じている |
昨年に引き続き、2022年もARを代表とする新たな技術は急速な進化を遂げるでしょう。一方、わたし達の日常生活にじわじわとオミクロン株の脅威が来ています。今年も自由に行きたいところに行き、自由に飲んだり食べたりするのは難しく、何らかの行動制限が生じるでしょう。
そんな不確実性の高いいまこそ、全身の五感を研ぎ澄まして、ビジネスの風にのれる一年にしたいと思っています。
今年もよろしくお願いします。