叡智の三猿

~情報セキュリティで森羅万象を捉える~

映画「卒業」とマルウェア

今週のお題「〇〇からの卒業」

「いままで見た映画でいちばん好きな映画なんですか?」と、聞かれたら、わたしは迷わず「卒業」と答えます。
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この映画をはじめて観たのは、映画館ではありません。高校の視聴覚室です。高校1年生の9月、英語の授業の一環として、この映画を鑑賞しました。

もちろん、この後も多くのいい映画、感動する映画を観ていまに至っています。しかし、わたしにとって「卒業」は、ほかの映画と比較する類ではありません。生き方とか価値観みたいなものを方向付ける映画になりました。

そして、いまこの映画について改めて考えると、主人公のベンジャミン(ダスティン・ホフマン)は、本当にろくでもない人間です。いや、人間ではなく、周囲にとってはウイルスのような害悪でしかないでしょう。この映画を観た多くの人は、主人公の行動に共感しないと思います。

しかし、それでもすごくいい映画なのです。

何がすごくて、何がいいのかがうまく言えません。わたしの頭は「卒業」というマルウェアに感染し、盲目的にこの映画を素晴らしいと思っているようです。

そこで、かなり強引にベンジャミンをマルウェアにたとえてみて、この映画のあらすじを追ってみようと思います。

「卒業」~ベンジャミンをマルウェアにたとえてみた~

大学で開発された強力なマルウェア・ベンジャミンは、ロサンゼルスにある機器にアプリケーションとして組み込まれました。ベンジャミンはパック処理がほどこされ、ダウンロードしてもマルウェアだと気づかれません。

  • マルウェア:不正かつ有害に動作させる意図で作成された悪意のあるソフトウェアや悪質なコードの総称。
  • パック処理:本体のプログラム(マルウェア)をエンコードし、それをデコードするための展開コードを付加して、一つのファイルに処理されること。

ベンジャミンは周囲の関心を集めました。ある夜、水飲み場に人が集まるかのごとく、大人たちは次々とベンジャミンをダウンロードしてはいじくっていました。ベンジャミンは一見無害なふるまいをしました。そして、攻撃対象ではない相手に対しては、そっけないふるまいをしました。

ミセス・ロビンソンは、ベンジャミンであそぼうと、ダウンロードしました。ミセス・ロビンソンの暇つぶしにベンジャミンは、丁度よい心地よさでした。それからは、夜な夜なミセス・ロビンソンはベンジャミンを起動して遊ぶようになりました。ベンジャミンは起動されるごとに、トロイの木馬の如く、凶悪なマルウェアへと変異していきました。

  • 水飲み場攻撃:攻撃対象のユーザーが頻繁にアクセスするウェブサイトを改ざんし、閲覧することでウイルスに感染させる手法。
  • トロイの木馬:一見無害、有益なプログラムを装い、何らかのきっかけにより悪意のある活動をするプログラム。

そんなある日、バークレイの大学に通っているロビンソン家の娘、エレーンが帰省しました。ベンジャミンはエレーンに、自分をダウンロードしてもらいたいと、ミセス・ロビンソンにメッセージを送りました。しかし、ミセス・ロビンソンは「絶対ダメ!」と回答しました。

半ば周囲におされる形で、エレーンはベンジャミンのお試し版をダウンロードしました。はじめ、ベンジャミンはエレーンが嫌うようなふるまいをしました。しかし、ベンジャミンはすぐにエレーンのことを好きになりました。ベンジャミンは、エレーンを楽しくさせるようなふるまいをしました。

これに怒ったのがミセス・ロビンソンです。ミセス・ロビンソンは「ベンジャミンは危険なマルウェアで、自分は感染させられたと」エレーンに示唆をしました。

傷ついたエレーンは、お試し版のベンジャミンをアンインストールしました。そして、バークレイの大学に戻りました。
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そこで、ベンジャミンは、バークレイの大学近くのボロアパートをボット化して、エレーンへDOS攻撃をしかけるようになりました。エレーンは常にベンジャミンから、大量のリクエストが送り付けられました。エレーンの頭のなかは、ベンジャミンの執拗な攻撃で、飽和状態となりました。

次第にベンジャミンが気になったエレーンは、ついにベンジャミンを正式にインストールする同意をしました。

ベンジャミンは有頂天になりました。そこに、怒り狂ったエレーンの父、ロビンソン氏が、ベンジャミンを駆除しようと、サーバーに乗り込みアンチウイルスソフトの注入を試みました。

しかし、ベンジャミンは「僕が感染させたいのは、あなたの奥さんではない。あなたの娘だ。」と、ロビンソン氏にとっては、理解不能なメッセージを発信するだけでした。

  • DOS攻撃:ウェブサイトやサーバーに対して過剰なアクセスやデータを送付することで、攻撃対象のリソースを消費させてサービスを使えなくする攻撃。
  • アンチウイルスソフト:コンピュータウイルスを検出や除去するためのソフトウェア。

父の怒りに耐えられない、エレーンは大学をやめました。大学で知り合った医大生と結婚することで、ベンジャミンとの交友を絶つ決心をしました。

ベンジャミンは、標的型攻撃を遂行しました。医大生の親が経営する病院との通信を確立したのです。そして、自ら神父に詐称し、結婚式が行われる教会の場所の情報を不正入手しました。

ベンジャミンは教会への侵入を試みました。しかし、教会の入り口はファイアウォールが設置され、すぐに突破はできませんでした。ベンジャミンはポートスキャンを行い、侵入可能な経路を確保しました。

  • 標的型攻撃:機密情報を盗み取ることなどを目的として、特定の個人や組織を狙った攻撃。
  • ファイアウォール:内部ネットワークにインターネット経由で侵入してくる不正なアクセスから防御する壁の役割を果たす。
  • ポートスキャン:対象のコンピュータの複数のポートに対して接続要求を行い、要求に対する応答を確認することにより、利用可能なポートを探すこと。

教会に侵入したベンジャミンは、2階の踊り場を感染させました。そこから1階のセグメントに、エレーンがいるのを発見しました。エレーンに何としても到達したいベンジャミンは、何度も何度もエレーンに、リクエストを投げました。

ベンジャミンのリクエストは叶い、ついにエレーンから「ベン!」とレスポンスが来ました。

ベンジャミンは、即刻エレーンと通信を確立し、エレーンをマルウェアに感染させました。

周りの大人たちは、教会からベンジャミンと、感染したエレーンを出すまいと、ネットワークの切断や、エレーンを叩くなど、物理的な処分を試みました。しかし、そんな大人たちの出口対策をあざ笑うかの如く、ベンジャミンとエレーンは、インターネットの世界に放たれます。

インターネットに飛び出したベンジャミンとエレーンは、通りがかりのバスに乗り込みました。

そのとき、凶悪なマルウェアであるベンジャミンも、マルウェアに感染したエレーンも、どこか不安な様子が垣間見えました。

どこに向かうのか分からないバス。そして、バックからサウンド・オブ・サイレンスが流れました。

Hello darkness, my old friend
(こんにちは闇、私の旧友)
I've come to talk with you again
(またお話しに来ました)
Because a vision softly creeping
(ビジョンがそっと忍び寄るから)
Left its seeds while I was sleeping
(私が寝ている間にその種を残しました)
And the vision that was planted in my brain
(そして私の脳に植えられたビジョン)
Still remains
(まだ残っています)
Within the sounds of silence.
(沈黙の音の中で)
~「google 翻訳」使用