叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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ゲレンデでトランシーバー

1986年から1991年あたりを一般にバブル期と呼びます。この頃、日本は実体経済とかけ離れた状態で、株価は伸び、地価は高騰しました。

わたしはこの時期に大学生から社会人となりました。当時のハワイ旅行で訪れたマウイ島にある「ウェスティン・マウイ」は、千昌夫さんの所有とガイドさんが言ってました。

わたしの青春はバブルど真ん中です。

このことについて、わたしの後の世代・・・1993年くらいから2005年あたりに社会人になったいわゆる就職氷河期世代からはーー

バブルの恩恵にあやかれて、うらやましいです。

と、言われることがあります。

確かに就職氷河期世代の厳しさはよく分かります。わたしは入社した会社でリクルーターの役割もしていて、1992年までは積極採用に向けて大学の就職課や研究室を訪問したり、後輩の学生ともたくさん会っていたのですが、バブルの崩壊は急にやってきて・・・いままで、景気のよい話を学生にしていたのが、突然、厳しい話をしなければならなくなったのを覚えています。

バブルが崩壊するまで、東証一部上場企業に勤めていれば、将来は安定・安泰だと思っていました。

ただ「バブルの恩恵」という実感はあまりありませんでした。確かに残業も長く給料もその分は入るのですが、上司や取引先との付き合いやらなにやらで束縛される時間が長く、ショッピングとか自由を感じるのは週末だけでした。

そして、バブル期はいまでは当たり前に誰もが使っている、スマホはもちろんのこと、ガラケーも無かったのです!

いまから見ると、バブル期はとても不便な時代です。

仕事でモバイルとして持ち歩く通信機器はポケベルです。そこに「49」という着信メッセージが届いたら、至急、近くにある公衆電話を探して相手に連絡を取るという面倒な連絡方法でした。

冬の週末はグループで複数の車に分散してスキーに行くことが多かったのですが、きっちりと車を前後につけていないと、国道沿いの適当なファミレスに入るのも難しく、はぐれた車は流れ解散という環境でした。

ですので、1987年に公開された映画「私をスキーに連れてって」で、車やゲレンデでトランシーバーを使ってやり取りする光景にあこがれを抱きました。


※ホイチョイ・ムービー3部作の第1作として1987年に公開された不朽の名作『私スキ』が、公開35年の節目の年に待望のBlu-ray化! 当時の映像が今鮮明に蘇る!

トランシーバーとスマホはどちらも無線を利用した通信手段という点で同じです。

ただ、その用途には違いがあります。スマホの通話は相手の電話番号を探して、相手に電話をかける1対1の通信です。一方、トランシーバーはボタンを押すだけで、同じチャンネルにセットをした人に、一斉に通話が出来ます。また、トランシーバーは本体同士で直接電波を送受信するので、スマホの電波が入らない場所でも、通話することができます。

情報セキュリティの3要素というのがあります。これは、情報の機密性(Confidentiality)、完全性(Integrity)、可用性(Availability)を維持することを指します。これは簡単に書くと次の要件です。

  • 機密性:権限を持つ人のみアクセスできること
  • 完全性:情報が正確であること
  • 可用性:必要なときに使用可能であること

この3要素の頭文字をとって、情報セキュリティの「CIA」といいます。

情報セキュリティのCIA(3要素)

機密性の観点では、スマホは1対1の通話ですので、一斉通信のトランシーバーよりも情報の機密性が保たれます。完全性の観点でも、トランシーバーは一斉に情報を伝達する性格上、細かい情報のやり取りは難しく、伝える側は要件を簡潔に伝え、聞く側は要件について「了解しました」程度の返事しか出来ません。ですので、情報の完全性についてもスマホがトランシーバーよりも上手です。一方、可用性の観点では、スマホは全国に基地局がたくさん設置しているので、ほとんどのエリアで通話が可能ですが、トランシーバーのように本体同士で直接電波の送受信をする訳でありません。情報を確実に伝えるという意味で、トランシーバーはスマホよりも勝っています。ですので、山間部や災害が発生して電波が伝わりにくくなっている場合は、トランシーバーの活用が有効です。

いまのメジャーなスキー場では電波が行きわたっているでしょうから、スマホがあればトランシーバーは必要とはしないでしょう。ただ、ゲレンデでトランシーバーを使って話をすると、スマホで話をする人よりも、何割増しかかっこよく見えそうです・・・。見栄えを気にするのであれば、シーンによってトランシーバーを使うのが良さそうです。そして、この見栄えを重視する発想が、バブルで得た遺産でもあります。



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