叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

当サイトは、アフィリエイト広告を使用しています。

働き方を理解しあい組織力を強化する

3月にネットフリックスで視聴した韓国ドラマ「賢い医師生活」は、韓国ドラマにありがちな、コテコテした過剰な演出・・・復讐、交通事故、記憶喪失など・・・が疎ましいと感じる人に是非おすすめしたい名作です。このドラマは、わたしが好きな「応答せよ」シリーズの影響を受けているので、時間の空いたときに見ようと、放置していたのですが、今年にようやく観ることができました。姉妹シリーズにあたる「刑務所のルールブック」も、今年観た韓国ドラマですが、こちらも良かったです。

www.three-wise-monkeys.com

「賢い医師生活」をすすめたい理由としてあげたいのが、日本人の感性にマッチする気がしたからです。

日本と韓国の関係って、結構微妙な感じがします。

文化的には日本と韓国の相性の良さを感じます。韓国ドラマを観る日本人は多数いますし、去年の紅白は、K-POPアイドルが3組(TWICE、IVE、LE SSERAFIM)も登場しましたし、今年は、SEVENTEENやStray Kids が登場します。

韓国人も日本のアニメに対する共感は多いと見聞きします。

良好な文化に交流に反して、政治的な日韓関係はかなり悪い印象です。竹島問題、慰安婦問題はいまだに解決されてません。1910年の韓国併合により、韓国人の日本に対する負の感情は、いまだ消えているとは思えません。韓国ドラマで、その時代を描くとき、登場する日本人役は性悪な印象があります。日本でも「嫌韓」という言葉は認知され、それをテーマにした漫画が売れました。

日本人の感性で「賢い医師生活」を観ると、日本と韓国の風土が近しいことを実感すると思います。

韓国は近い場所にあるとはいえ、海の向こうです。ちょっと行って帰る場所ではありません。近くて遠い関係にある日本と韓国がもっとよくなればいいのにと思います。

一方、アメリカ人が「賢い医師生活」を視聴したら、どう思うかが気になります。

アメリカ人は、日本人や韓国人に比べ、自らの仕事に対して、より合理的な判断をすると思うからです。

合理的というのは、労働の大変さと、報酬が見合っていることが絶対ということです。「仕事とは、契約に基づく労働だ」という意識が強ければ強いほど、仕事に対する考えは合理的であることを重視すると思います。

そう考えると「賢い医師生活」に登場する主要な医師たちは、合理的には見えないと思います。

ドラマに登場する医師たちはそれぞれの分野でスペシャリストです。生と死が隣り合わせする病院で、毎日大変な苦労を淡々とこなしているように見えます。技術力の高い医師ですので、他の病院からより高待遇な引き抜きもあります。しかし、医師たちは職場の同僚や患者さんとの信頼関係をより重視し、病院に留まる選択をしています。

こういうドラマの骨格はアメリカ人にどう見えるのでしょうか!?

去年あたりから、日本では「ジョブ型雇用」という言い方が生まれました。ジョブ雇用に於ける働き方は、スペシャリストは自らの専門的な仕事に特化し、その仕事を必要とする組織に、より高い賃金で流動するのがいいという考え方です。

ジョブ型雇用は、日本の伝統的な雇用形態であるメンバーシップ型雇用と下記のように比較されてます。

メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用

わたしは以前から「ジョブ型」と「メンバーシップ型」という2軸で、雇用形態を捉えるのに違和感をもってます。

「賢い医師生活」を視聴することで、違和感の正体がよりはっきりしてきました。

それは、スペシャリト(専門的)だからといって、ジョブ型として働く場所を流動的にさせる必要はないし、ジェネラリスト(総合的)だからといって、メンバーシップ型として組織に留まる必要はないからです。

ですので、雇用形態を2軸ではなく、下記のような象限を使った4軸で捉える方が腹に落ちるのです。

4軸の雇用形態

こういう絵で見ると分かりやすいのですが、ジョブ型とメンバーシップ型だけでは、実際には存在するはずの、第2象限と第4象限が抜けているのです。

第1象限、第2象限、第3象限、第4象限は、数学的に下記の意味合いで使われますが、物事を考える際の一般的な方法として転用できるので、便利です。

  • 第1象限: x>0,y>0
  • 第2象限: x<0,y>0
  • 第3象限: x<0,y<0
  • 第4象限: x>0,y<0


そして重要なのは隣接する象限(第一象限と第二象限など)は、雇用形態の考えの一部を共有してます。ですので、お互いは理解しやすい関係にあります。反対にジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用は、真逆の関係ですので、そこで相互の理解を得るのは難しく、分断しかありません。

自らがどう働きたいかの正解は無いと思うのですが、組織がパフォーマンスをあげるには、お互いの働き方の違いを理解しあうことが前提だと思います。