2月に投稿した記事では「仕事と趣味」の関係について書きました。
この記事で仕事と趣味の関係を集合でこうあらわしてます。
仕事と趣味は完全に別物ではなく、共通部分があることを言いたいのですが、この共通部分・・・意外と広いんじゃないかと思います。
一見、仕事は仕事、趣味は趣味と割り切っている人でも、実は仕事が趣味化している人も多いと予想します。
別にワークホリックのような働き方をしている人が多いと言いたいのではありません。
仕事はやればやるほど、理解が深まります。仕事の理解が深まると、仕事そのものが楽しくなります。楽しくなれば、よりいい仕事をしたいと考えるようになります。これは自然なことです。
マニュアルありきの、一見単調にみえるルーチンワークでも、作業ができるようになると、単にマニュアルに記載されたことをするだけに留まりません。マニュアルを仕事の実態に合わせて、改善したいと考えるようになります。より、機能的な意味のあるマニュアルに整備したいと考えます。
これは「仕事はマニュアル通りにやればいいんだ。」という、マニュアル至上主義から一歩飛び出した状態です。
自分の仕事に対する欲求レベルが上がっているのです。
ちなみに仕事の品質や効率性を促す経営手法としては、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)が、20年以上前から、知られています。BPRでは会社の業務全体を見渡す専門プロジェクトが発足します。プロジェクトチームが中心となって、現場の仕事に実態に囚われることなく、あるべき姿を真っ白なキャンバスに描きます。そして新たな業務シナリオを現場に定着させる活動を指します。
会社のBPR活動に於いて、現場の業務担当者は、プロジェクトメンバーから、現状の業務ヒアリングを受けることはありますが、プロジェクトへの積極的な関与は少なく、会社からの指示を待つ状態です。
BPRは情報システムの刷新を伴います。大企業では、SAP S/4HANA や Microsoft Dynamics に代表されるERPパッケージの導入にあわせて実施することが通常です。経営的な効果は大きいのですが、ERPの導入はコストもかかります。
一方、最近はオペレーショナル・エクセレンスという経営用語が浸透してます。
オペレーショナル・エクセレンスの理想は、BPRのようなシステム刷新に伴う多大なコストをかけることなく、自分にとってよりレベルの高い仕事の品質と、効率性を追求することです。業務担当者は、BPRのような指示待ちではありません。いまの仕事を自分事として考え、主体的に改善を継続していく活動です。
オペレーショナル・エクセレンスは、自分がより仕事を楽しくする取り組みです。これは、仕事が自分の趣味になることで、実現可能な改善手法だと思います。
わたしは仕事上、毎日、5つくらいのシステムを操作してますが、一日の始まりは、これらのシステムにすべてログインするところから始めます。以前はシステムを利用するタイミングでログインしていたのですが、システムに障害があり、うまく使えないことがあったり、定期的なパスワード変更を要求するシステムでは、いざ利用しようとすると、パスワード変更を促されることがあります。システムを使いたいときに、パスワード変更を促されるのは気分がそがれます。ですので、何も仕事に着手していない、あさイチでログイン確認や、定期的なパスワード変更を済ませるようにしました。結局、その方が一日の仕事がスムーズに流れると感じました。
これも小さなオペレーショナル・エクセレンスです。
2月に「仕事と趣味」の関係の記事を投稿した直後から、世間は 対話型AI のChatGPTで盛り上がりました。
ChatGPTはすごいツールです。間違いなく、今後の業務オペレーション、特にホワイトカラーに変革をもたらします。
いまの ChatGPT 下記のような質問に対する的外れの回答が笑いのネタになっています。ただ、なんらかのカタチで AI に関わってきた人なら、これが笑いでなくなる時間はそれほど遠くの未来ではないことを知ってます。
ChatGPTに接したとき、わたしは1995年にMicrosoftが Windows95 を発売してからの数年の感覚を思い出しました。
Windows95が出るまで、会社員のホワイトカラー層の机には、紙と筆記用具、電卓、電話がありました。これが仕事をするための三種の神器です。
しかし、Windows95の登場のより、社員の机のうえは、パソコンがひとり一台、設置されるのが普通になりました。
紙と筆記用具は、MS Word にとってかわり、電卓は MS Excel にかわり、電話は、グループウエア(NotesやExchangeなど)にかわりました。
そして、これらの新・三種の神器は、パソコンにログインしてはじめて使えるツールです。
すなわち、パソコンが使えなければ、仕事をする道具も使えないのです。
1995年から2年が経過した1997年には、ホワイトカラーの仕事の仕方は激変してました。
あのとき、わたしは社内システムエンジニアとして、社員のPC教育の事務局をしていたのですが、突然やってきたパソコンという黒船に順応した人と、手がつけられなかった人との差は歴然としてました。
ウインドウズ 窓はあけたが しめられず(ドロボー)
~「サラリーマン川柳 1997年 ベスト10より」
会社では社員のデジタルデバイド(情報格差)が、問題となりました。パソコンが使えない社員に何をさせるんだという話題が、公然と出るようになったのです。
ChatGPTは、Windows95と同じ匂いがします。
いまから2年後の2025年・・・いわゆるDX化の崖と呼ばれる年ですが、ChatGPTを仕事にうまく取り入れた会社と、そうでない会社の明暗がはっきりと分かれそうです。