仕事と趣味の違いはなんなんだろう。
goo辞書を見ると、仕事と趣味は次のように定義されています。
- 仕事:何かを作り出す、または、成し遂げるための行動。
- 趣味:仕事・職業としてでなく、個人が楽しみとしてしている事柄。
「仕事が趣味です」というワークホリックな発言をする人もいますが、goo辞書の定義に沿うと、趣味は仕事を除外するので、「仕事が趣味」にはなりえません。
仕事と趣味を定義するうえでのキーワードが「成し遂げるための行動」と「楽しみとしてしている事柄」ですが、両者は共通部分があります。
わたしは「情報セキュリティ」に関する情報をこのブログを通じて発信していますが、これは自分が楽しいから行ってることです。仕事ではなく趣味です。一方、会社でも「情報セキュリティ」に関わる仕事をしています。元々好きなことなので、仕事としても楽しさはありますが、明確な成果を出す必要があります。
仕事と趣味を考える際、収益があるかないかは関係なさそうです。このブログは広告掲載によるアフィリエイト収入があっても趣味です。一方で、毎日、皿洗いや風呂掃除の仕事をしていますが、収益はありません。
仕事と趣味の関係を集合で示すと下図のようになるでしょう。
仕事に於ける「成果」についてですが、組織で仕事をしている個々の社員の成果をはかる指標は会社によって異なるでしょう。
目標管理制度(MBO)を採用している会社であれば、評価期間に於いて、経営戦略・事業戦略に基づいて、社員が個人目標を自ら定め、その進捗や達成度合いによって評価者が成果を評価しているはずです。
目標管理制度を運用することで、個々の社員が会社にどの程度貢献したか、どの程度成長したかを「見える化」できます。また、社員が自ら考えた目標なので、仕事へのモチベーションも高くなります。
一方で社員の定めた目標が容易に達成できるものか、難易度が高いのかを評価者が判断するのが難しく、同じ目標を立てても、評価者によるブレが出やすいのが難点です。
コンピテンシー評価をしている会社も多いと思います。コンピテンシー評価は、仕事の分野ごとに業務遂行能力が高い社員の行動をモデルとして、個々の社員の成果をはかります。
コンピテンシー評価は、目標管理制度に比べ、評価基準となるモデルがあるので、評価者によるブレが減るのがメリットです。
一方でモデルとなる「業務遂行能力」とひとくちに言っても、簡単には決められません。モデルの設定を誤ると、組織全体の評価が乱れます。本来、社員のやる気を引き出すはずの評価制度なのに、かえってモチベーションを下げるかもしれません。
個人の仕事の成果とは別に、会社や組織全体の「成果」を見るのによく使われる指標にROI(Return On Investment)があります。
ROI の計算式は以下です。
- ROI【%】 =(売上総利益 -投資コスト)÷ 投資コスト × 100
売上総利益は粗利のことで、売上金額から売上原価を引いたものです。
ROI が大きければ、費用対効果が優れているので、収益性が高いことを示します。
ROI を大きくするには、売上総利益をあげるか、投資コストをさげるかです。
SES ビジネスを例にします。
SES ビジネスの売上は客先企業から頂くエンジニアの料金で、売上原価はエンジニアの人件費です。ですので、毎月、50万の売上を獲得する社員の人件費が40万だとしたら、そのエンジニアの毎月の売上総利益は10万です。
売上総利益を上げるには、売上をあげなければいけません。そのためには、SESエンジニアへの投資が必要です。たとえば、ITに関連した資格取得の支援をするとか、技術研修を受けるなどがあります。これが投資コストです。
投資コストをかけることで、一般的に客先から頂く売上が高くなる可能性は高まります。ただ、売上アップに貢献したエンジニアは人件費をあげる必要があります。大きな売上を獲得するエンジニアは市場価値が高いので、人件費をあげなければ出ていってしまいます。ですので、売上総利益は売上と同期してあがることはありません。
また、投資するべき対象を誤ると売上アップに貢献しない可能性もあります。そうすると、ROI は著しく低下します。
投資対象となるIT関連の資格は腐るほどあります。そのなかでどの資格を取得すれば、売上アップに貢献するかを見極めるのは、意外と難しいのです。そもそも客先企業がエンジニアに望むのは、仕事に於ける成果であり、資格の取得ではありません。無資格でも成果を出す優秀なエンジニアはたくさんいます。優秀なエンジニアは仕事にまい進します。資格取得の勉強に励む時間的な余裕も、精神的な余裕もないのかもしれません。
ROI の計算式はシンプルですが、ROI を向上させるのはシンプルではありませんね。
その点、趣味は成果を求めないので楽しく続けられます。