叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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「リーダーとはこうあるべき」について書かれた書籍やネットの記事をよく見ます。

リーダーは、会社組織以外にも地域の活動や組合、学校の部活動や学級など、メンバーが集まるすべての集合体にリーダーがいるでしょう。

リーダーが管理するべきメンバーの人数には大小はあるものの、何らかのカタチでリーダーの役回りをしたことは、多くの方があると思います。

「せっかくリーダーになったんだから、リーダーシップを発揮したい!!」・・・そう考えるのは当然です。だからこそ、リーダーシップに関する情報源も多く出回っているのでしょう。

最近、リーダーシップにトレンドがあることに気がつきました。

いまの時代に求められているリーダーシップは、メンバーに対する共感力が強いリーダーのようです。メンバーが本音で言いたいことが言い合えるような組織を作り上げるリーダーが必要だという論調が多いと思います。

「黙って、俺についてこい!!」みたいな、昭和を彷彿とさせる英雄気取りのリーダーは、もう時代遅れのようです。

英雄的なリーダーがいちばん目立ってしまう組織は、変化が早く、未来の予測の難しい現代社会においては、変化に対する適応力を発揮できないからと考えられてます。

確かにいまの総理大臣は、就任前に「聞く力」をアピールしていたと思います。

WBCで優勝した栗山監督は、強いリーダーというよりは、みんながお互いに影響し合って引っ張っていくようなリーダーシップを発揮していたように見えます。

わたしが仕事で関わりの深い「アプリケーション開発」に於いても、求めるリーダー像が変わっていると思います。

スクラムと呼ばれる開発がいまは主流になっていますが、そこで重要なリーダーとしての役割を果たすのが、スクラムマスターです。

スクラムというのは、一緒に成果を生み出すチームのことで、10名以下が理想とされています。

スクラムチームの人数が多いとコミニュケーションの齟齬が発生して一般的には生産性が下がると言われてます。スクラムという名称は、ラグビーで両陣が、8名ずつ肩を組んで一つの集団を作り、ぶつかり合う際のフォーメーションから採用してます。

プロジェクト活動に於けるあらゆる権限は、スクラムチームのなかに存在し、スクラムマスターは、チームに対して奉仕的な活動をします。そのうえで、チームメンバーがパフォーマンスを最大限に発揮できるよう、利害関係のある組織との調整を怠りません。

かって主流だった開発方法論は、プロジェクトを構成する各チームのリーダーに権限が集中していました。それを考えると、スクラムマスターという新たなタイプのリーダー像は、現代風です。

スクラムマスターについて、はじめてわたしが「スクラムガイド」を学んだとき、直感的に保育士に似ていると思いました。

保育士は子どもの年齢によって管理可能な人数の上限があるのですが、たとえば、1~2歳児であれば、子ども 6人に対し保育士1人が必要とされてます。これはスクラムチームの単位に近いと思います。

そして、保育士は子どもの遊びを通じて成長を支援し、自立を促す役割を果たします。そのうえで、保護者とコミュニケーションを取り、子育てに対する不安や悩みのサポートを行います。

スクラムマスターと保育士の仕事内容は全然違いますが、両者の本質的な志向性は類似していると思いました。

いや、スクラムマスターに限りません。

いまの社会が求めているリーダー像は、保育士と被っているように思えます。

では、現実の組織のリーダーは、保育士のようなふるまいが出来ているのでしょうか!?

おそらくかなりの GAP があると思います。

というのは、多くのリーダーは役割を与えられるも、メンバーとの共感を通じ、自立的な成長を促してないように思うからです。

特に中小企業に於いては、顕著だと思います。それは、リーダーという役割を与えられても、実際はプレイングマネジャーだからです。

プレイングマネジャーは、現場の業務を担当するプレーヤーと、メンバーをまとめるマネジャーの両方の役割を担う人のことを指します。いわば、リーダーでありながら、いちメンバーでもあるということです。

本来、リーダーは仕事の大部分をメンバーとのコミュニケーションを通じて、メンバーの実務力を高める支援をするべきです。もちろん、リーダー自身が実務をこなすこともあると思うのですが、その割合は2割程度に抑えるべきだと思います。

しかし、現実は逆です。

プレイングマネジャーとされるリーダーは、8割方は実務を行い、残った2割でメンバーを観ているように感じます。

これは明らかに、コミュニケーションの欠如だと思います。

ブログを書きながら、ふと、サイモン&ガーファンクルの名曲の一節が頭によぎりました!

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感想(17件)

And in the naked light I saw
(そして裸の光の中で私は見た)
Ten thousand people, maybe more
(1万人、もしかしたらそれ以上かもしれない)
People talking without speaking
(話さずに話している人々)
People hearing without listening
(聞かずに聞いている人)
People writing songs that voices never share
(声が決して共有されない曲を書く人々)
And no one dared
(そして誰もあえてしなかった)
Disturb the sound of silence
(静寂の音を乱す)
~「サウンド・オブ・サイレンス(サイモン&ガーファンクル)」※訳文はgoogle翻訳を使用

リーダーがメンバーの声を listening せず hearing するだけでは、そこから共感は生まれないですよね・・・。

わたしは、社会人人生の半分を大企業、もう半分を中小企業に身を置いてます。

その経験で書くと、大企業に於いては、充分ではないと思うのですが、リーダーに対する教育が行われています。大企業は新卒から中間管理職へとグレードに応じた研修カリキュラムが存在していることが多いので、実践力は、リーダーの資質によって変わるものの、リーダーシップに関わる一定の知見はあると思います。

一方、中小企業に於いては、リーダーになったからといって、特別な研修を受ける会社は少数だと思います。リーダーは、いまやっている実務にプラスして、メンバーの管理も背負うという、ある種の自己犠牲によって、チームをまとめていこうとします。

だからといって、会社からものすごい手当が支給されるわけでなく・・・リーダーはかなりキツイと思います。

要は中小企業はーー

  • 人材育成の専門的知見をもつ人材がいない
  • 会社内に人材育成の文化がなく、仕組みもない

という課題を持つところが多いのです。

これでは、チームのチカラはパワーアップしないと思います。

日本の会社の大半は中小企業であり、サラリーマンの大半は中小企業に勤めています。ですので、多くの組織でリーダーシップが欠如していると思います。

会社の競争力強化や事業継続をするためには、人材育成の課題解決が必要です。

国内に正しいリーダーシップを発揮できる組織がたくさん生まれると、もっともっと日本は活気づくと思います。