叡智の三猿

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不確実な時代は不幸の最小化で

有効求人倍率に関する政府統計のポータルサイトを見ました。そして、年度毎の数値を棒グラフにしてました(下図)。

年度別有効求人倍率(パート除く)

新型コロナ禍で有効求人倍率は下がってはいますが、想像よりも下がっていないようです。わたしが社会人になったのは1990年です。この頃は、バブル真っ只中ですので、求人数は多くありました。就活中、3社から内定を頂きました。バブル崩壊によって求人数は大きく落ち込みます。その後、じわじわと持ち直すのですが、2008年のリーマンショックにより再び落ち込みます。

有効求人倍率は、一人の求職者あたり何件の求人があるかを示すマクロ経済の指標のひとつです。有効求人倍率が1を上回ると、求職者に対して1件以上の求人があることになります。新型コロナ禍でも、有効求人倍率は1を上回っています。労働市場は依然として需要が超過しているようです。

ただ、個々の会社で見ると、下記のように、ANAやJTBなどの超人気企業の採用中止を受け「就職氷河期」の前触れであることを分析した記事もあります。このような、個別の企業を単位として、その行動や意思決定がどのようになされるかを扱うのはミクロ経済の領域です。
www.sankeibiz.jp

いまの時代は、マクロの視点からは労働市場の需要超過を示しているのに対して、ミクロの視点から将来を予想すると「就職氷河期」の到来を暗示しているようです。

これから就職をする学生にとってはもちろんのこと、社会人も仕事を続けて報酬を得ることへの不確実性が増していると思います。

2011年の東日本大震災を契機として、企業は不確実性に対応するためのリスクマネジメントが注目されました。それはBCP(事業継続計画)として整備されました。これからの時代、リスクマネジメントは組織だけでなく、個人でも持つべき思考であり活動だと思います。

リスクマネジメントに必要なノウハウを備えるのは、簡単ではありませんが、その本質はシンプルだと思います。

わたしはリスクマネジメントの本質は「組織(若しくは個人)を防御することで、不幸を最小化する。」と、考えています。「不幸を最小化する」というのは、あまり使わない言い方です。普通は「幸福を最大化する」と言います。ちなみに、有名なマズローの欲求5段階説では、人間は自己実現により幸福を最大化することが、一番上位の欲求と定義しています。不幸を最小化するというのは、下位の欲求に見えます。しかし、上位の欲求は下位の欲求が満たされることが前提ですので、リスクマネジメントが如何に重要かが分かります。

マズローの欲求5段階説

では、これから就職活動を迎える人材が必要となる志向性を考えます。

たとえば、ITエンジニアになりたいと思う人は、ITエンジニアの仕事のイメージを持つべく、仕事の情報収集に励みます。簡単なアプリやホームページを自作することで、技術を身に着けようとする方もいます。更に有名なIT企業に就職するためには、ライバルとの差別化をはかるべく、IT系の資格試験やPythonなどの人気言語の学習をする人もいます。

この志向はITエンジニアとして成功したいとする欲求のあらわれです。

一方でリスクマネジメントの面から見ると、ITエンジニアの志向性に特化すると、ITエンジニアになれなかった場合の、ショックが大きく、不幸が増します。不幸を最小化するには、ITエンジニアになれなかった場合の、第二、第三の職種にも関心を持つことも大切です。たとえば、経理の仕事をすることを想定した簿記の勉強や、営業で必要となるであろうコミニュケーション力の育成などです。

これをベクトルでイメージすると下図のようになります。

幸福の最大化と不幸の最小化

不確実性の時代を生き抜くには、第二、第三の選択肢を持っておくことが必要だと思います。