わたしが社会人になったのは、バブル真っただ中の1990年です。そして、就活生のころ、大企業は絶対に潰れないと思っていました。
先輩からは、就職するなら各業界でベスト3の会社なら安泰だと言われました。当時の業界ベスト3といえばーーー銀行なら、第一勧業、富士、住友。自動車なら、トヨタ、日産、本田。証券なら野村、大和、日興。小売なら、ダイエー、イトーヨーカドー、イオン。繊維なら、旭化成、東レ、帝人。化粧品なら、資生堂、鐘紡、花王。電気なら、松下、東芝、ソニー。といった会社です。
また、どの業界に入るかで、社員のキャラクターが決まると言われてました。
この時代、流行った歌に「私の彼はサラリーマン」があります。バブル期に入社したサラリーマンなら、一度か二度は、カラオケで歌ったかもしれないです。
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当時の大企業でいまもキラキラしている会社は確かにあります。一方、吸収合併で生き残りをかける会社、すっかり色あせてしまった会社もあります。
バブル期と比較すると、いま日本の会社全体が色あせています。それを裏付ける証拠として、平成のはじめと終わりの世界の会社・時価総額ランキングがあります。これを見ると、グローバルのなかで、日本の会社が弱くなっていることを痛感します。
順位 | 平成元年 | 国名 | 順位 | 平成30年 | 国名 |
---|---|---|---|---|---|
1 | NTT | 日 | 1 | アップル | 米 |
2 | 日本興業銀行 | 日 | 2 | マイクロソフト | 米 |
3 | 住友銀行 | 日 | 3 | アマゾンドットコム | 米 |
4 | 富士銀行 | 日 | 4 | アルファベット | 米 |
5 | 第一勧業銀行 | 日 | 5 | ロイヤルダッチシェル | 蘭 |
6 | IBM | 米 | 6 | パークシャーハサウエイ | 米 |
7 | 三菱銀行 | 日 | 7 | アルババグループホールディングス | 中 |
8 | エクソン | 米 | 8 | テンセントホールディングス | 中 |
9 | 東京電力 | 日 | 9 | フェイスブック | 米 |
10 | ロイヤルダッチシェル | 英 | 10 | JPモルガンチェース | 米 |
これから、社会人になる就活生に、大企業なら安心という感覚はありません。いまの時代、会社に就職するのではなく、どんな仕事をしたいかが重要なのです。自分のやりたい仕事が明確であれば、その道に進むのがいいと思います。
ただ、いまの学校教育は、会社の仕事と勉強の絡みが薄いと思います。たとえば、会社の決算の基本である、貸借対照表(BS)損益計算書(PL)は義務教育で教えた方がいいと思います。
大企業でも安心できない、しかし、どんな仕事がしたいかも分からない・・・そういう就活生は結構多いと思います。
そこで、会社や職種より、業界で選ぶのは如何でしょうか!?
業界として安定感があり、成長が望めそうであれば、仕事が無くなるリスクは低そうです。
業界選びの参考になる指標が、売上高利益率と売上成長率です。利益率が高ければ、売上が多少落ちても、利益の確保ができます。
利益がなければ、社員の報酬が減ります。どうせ就職するなら、利益率の高い業界を選ぶのが安全です。売上成長率が大きい業界は、人を必要としています。
この視点で、業界動向サーチ(業界の動向やランキング、シェアなどを分析-業界動向サーチ)を見ました。
そこからわたしがおすすめしたい業界は、次の3つです。
業界 | 利益率 | 成長率 |
---|---|---|
ソフトウェア | +15.8% | +9.4% |
コンサルティング | +11.3% | +8.4% |
クレジットカード | +12.8% | +6.1% |
この3つは、利益率、成長率が共に高く、仕事がたっぷりありそうです。
基本的にソフトウェア業界は堅実ですが、クラウドサービスの拡大が成長性に拍車をかけています。人材的にも文系、理系問わず受け入れ可能な業界です。とくに就職に対する明確な目標が定まっていないの学生であれば、第一に考える業界だと思います。
コンサルティングは、経営改善や人事戦略、システム提案など、提案力・プレゼンテーション力が必要とされます。向き不向きがあります。ビックデータの分析など、数学・統計のスキルを活かした仕事も増えています。もし、興味があれば、チャレンジして損のない業界だと思います。
クレジットカードはインターネット通販の普及と歩調を合わせるように拡大しています。店舗でもキャッシュレス化が進んでます。ニューノーマルないまは、クレジットカード業界には追い風です。政府のデジタル化推進で、マイナポイントに関連した仕事も増えるでしょう。クレジットカード業界は、PCI DSSという会員データを安全に取り扱う高いセキュリティ基準を設けています。こうした安全対策を実行していく為の人材も必要です。
一方、あまりおすすめしない業界もたくさんあります。次の業界は、世間一般的には安定したイメージを持っていると思います。ですが、いまこの業界に入るのは、個人的におすすめしません。
業界 | 利益率 | 成長率 |
---|---|---|
金融 | +7.6% | +2.2% |
製薬 | -453.7% | +7.8% |
バブル期、金融業界はもっともキラキラしていた業界でした。しかし「昔の光 今いずこ」です。利益率、成長率、共にイマイチです。もちろん、金融はとても幅が広いので、一概にはダメとは言えません。金融のなかには、おすすめに挙げた「クレジットカード」もあります。「消費者金融」も好調です。しかし、金融業界のメインである「銀行」「生保」が、苦しいのです。「銀行」は、預金金利と、貸し出し金利の差による利ざやで儲ける商売ですので、マイナス金利政策が悪く影響します。銀行の窓口業務は、ネットに弱いお客様を相手にしていますが、デジタル化が進むと必要なくなってくる仕事です。
製薬業界は国際競争に巻き込まれています。欧米に比べて、日本企業の出遅れが目立ちます。また、国はジェネリック医薬品の普及を進めています。後発医薬品メーカーの競争が激化してます。新薬系企業は主力薬の特許が切れることで、利益率が低下しています。MR(医薬情報担当者)は、高給でしたが、いまは仕事の成果が出しにくい状況です(新型コロナの影響も大)。リストラの嵐で、本当に大変なようです。成長率は高い業界なのですが、業界再編、仕事の再編が大きいので、いま就職するのはおすすめ出来ません。
就職活動も大詰めの時期、一生を左右する選択ですので、じっくりと考えて納得のいく就職をしたいですね。