叡智の三猿

森羅万象を情報セキュリティマネジメントで捉える

社内SEという選択

社会人になったらIT業界で働きたいと考える学生はたくさんいます。大学で情報工学を専攻した学生やコンピュータの専門学校に通う学生はもちろんですが、コンピュータと縁がなかった学生も多くIT業界への就職を希望しています。

IT業界で仕事をするイメージとして「コンピュータの前で黙々とプログラムを書いていそう。」と、考える学生が多いのですが、一方で「自分はプログラミングなんてやったことがない。」という方がたくさんいます。SIerため、就職がしやすいからです。

IT業界にいる会社としてイメージしやすいのは、GAFAと呼ばれる巨大プラットフォーマーや、NTTデータ、富士通、NEC、日立・・などの国内のSIer(エスアイヤー)だと思います。大手SIerをに筆頭に、〇〇コンピュータ、✕✕情報システム、△△ソフト・・・など、日本には多数のIT会社があります。

ITの仕事はIT業界の会社に入らなくてもできます。

ある程度の規模を持つ会社であれば、IT部門があります。いまの時代、ネットワークに接続されたコンピュータを使わないでビジネスが完結できる会社はないので、自社の社員が使う機器を保守したり、業務用のアプリケーションを組み込んだりする専門の部門が必要です。これは社内SEと呼ばれる職種になりますが、すべての会社に経理を担当する人がいるのと同様に、社内SEもITエンジニアです。

わたしはITエンジニアとして働く理想形は社内SEになることだと思います。情報システムは、作る側と使う側のコミニュケーションの産物です。ITエンジニアはコンピュータと対峙してプログラムを書くだけの仕事ではありません。いちばん重要なのはシステムを使う側の立場にたったサービスを提供することです。社内SEになれば同じ会社の社員がシステムを使う側に回るのでコミニュケーションがとりやすくなります。IT業界の会社ですと、システムを使う側との物理的な距離が生まれてしまうので、本当によい情報システムを構築するのに支障がでます。

社内SEは学生が目指すべきITエンジニアの姿だと思います。

ただ、IT業界に属さない会社に就職するわけですから、社内SEを希望したとしても、IT部門への配属が保障されることはありません。情報工学の学生であればIT部門へ配属される可能性は高いと思いますが、ITを専攻していない学生であれば採用担当の目にわかる形で、ITの仕事を希望していることをアピールする必要があります。

ITの資格を取得するのは、いちばん説得力のある手段です。簿記を取得してれば経理部門に配属されるであろうと同じ理由です。取得するべき資格の理想はIPA(情報処理推進機構)の基本情報技術者ですが、IT未経験の学生が所得するのは壁が高そうです。ですので、まずはITパスポートの取得をおすすめします。ITパスポートは職業人が共通に備えておくべき情報技術に関する基礎的な知識をもち、情報技術に携わる業務に就くことを想定した資格です。CBT方式による試験で、試験も随時行われ受験生は都合のよい日程を選んで試験を受けることができます。

念願かなって社内SEになっても、人事異動で他部門に配属されるかもしれません。わたしはバブル時代に化学系のメーカーの社内SEとして就職したのですが、2年後にバブルが崩壊しました。そのとき、会社は人事の再編を行いました。わたしの後輩として入社した新人社内SEのA君は、半年の研修期間を終えたあとの正式配属は薬品の営業(MR:医薬情報担当者)でした。A君は大学で情報工学を学んでいたので、畑違いのMRは青天の霹靂だったと思います。いまでもA君は別な製薬会社のMRとして働いていますが、ここ数年はジェネリック医薬品の攻勢もあり仕事は厳しさを増しています。会社からは何度もリストラの話が来ていて、なんとか断っていまに至っているようです。

社内SEを希望するなら、ITエンジニアとしての仕事内容だけでなく、就職する業界そのものが、自分にとって魅力的かを考える必要があります。