叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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クレームの共有と自主回収

クレームは共有されていますか?

みなさんは自分が勤めている会社の商品やサービスに、どんなクレームが寄せられているかを知っていますでしょうか!?

クレーム対応
イマイチ分かっていない人もいるかと思います。自社の商品・サービスの売上情報や新商品情報とは違い、クレームはネガティブな情報です。社内で共有する。トップに情報を伝えるのをためらう空気感があります。

日本の会社は全体的に「問題を隠蔽する体質が強い」と感じます。そのため、クレーム情報の共有化はあまり進んでないと想像します。ちなみに欧米の会社は問題を開示した上で、責任はわたし達にはないと主張する雰囲気を感じます。

「ほうれんそう(報連相)」の生みの親である山種証券の元社長、山崎富治さんは「ほうれんそうが会社を強くする」でこのように述べています。

私は、会社の”ほうれんそう”が立派に育っているかどうかの一つの目安は、イヤな情報、喜ばしくないデータなどが、何の粉飾もされずに正しく上に伝えられることだと思っている。人間関係がよく、和気あいあいで、ツーといえばカーというような組織が、一見うまくいっているように見えながら、その裏で陥りがちなのが、下からの批判や、否定的情報が上に伝わらない。
「ほうれんそうが会社を強くする(山崎富治・ごま書房)」より

クレームこそ経営にとっていちばん重要な情報です。クレーム対応は高度な内部統制を必要とする仕事です。この対応を誤ると、会社のブランドイメージは失墜。果ては倒産に追い込まれることもあります。

もし、自分が勤めている会社の商品やサービスにどんなクレームが寄せられているかが分かっていないとしたら、経営的なリスクがあると考えた方がいいかもしれません。

組織的なクレーム対応


たとえば、食品メーカーに勤めていると、消費者担当の窓口に寄せられるお客様からのクレームは「変な味がする」とか「変なモノが入っている」ということかと思います。

クレーム担当者は、お客様に次の確認をするはずです。

いつどのお店で買ったのか?
これは購入した商品が生産から消費に至る流通経路を追跡する(トレーサビリティといいます)ための重要な情報です。仮に「変な味がする」食品であれば、ある時点である工場にて生産されたロット(同じ製品の生産をする単位)で、問題のある配合が行われていた可能性があります。
トレーサビリティ
相手の連絡先
今後の連絡をするために連絡先を確認することはもちろんですが、クレームの正当性を確かめる意味もあります。クレームを言う人のなかにはモンスターみたいな言いがかりをつけることを目的にしているのも少なくありません。その人の「個人情報」を確認することで、正当性をはかるのです。

もちろん、個人情報を取得する訳ですから情報の取り扱いに注意する必要があります。

このような確認を行なった上で、お客様に今後の対応方針を伝え、問題ある商品を受け取ることになるでしょう。

クレームは直ちに会社トップに伝える必要があります。そしてトップは生産・物流・販売のサプライチェーンに関わる各部門の協力を要請する必要があります。クレーム対応は消費者とやり取りする担当者だけでなく組織全体で行う必要があります。

そしてクレーム対応で目指すべき「ゴール」は「クレームの再発防止」です。 そのためにも全社的にクレーム対応の体制をつくり、情報の共有をはかる必要があります。

自主回収

商品を分析した結果、不具合があるとしたら「自主回収」の判断が必要かもしれません。

自主回収とは法令に基づくものでなく、事業者の判断で商品を回収することです。SNSが普及し、直接的な健康被害に及ばなくても、商品の悪いイメージが拡散される可能性があります。

自主回収するというということは、商品に関わる問題を機密情報(社外秘)から、公知の情報にするということでもあります。これは会社の存亡にかかる高度な経営判断といえます。

自主回収というと、2014年におきた「ペヤング」の異物(虫)混入の事故が印象的でした。この事故は問題ある商品を購入した消費者が現物写真をTwitterに投稿したことに端を発しました。ペヤング側は「製造過程の問題を否定出来ない」ということで商品の自主回収を決断し、半年間に渡り商品の販売中止を決定しました。
www.nikkei.com
個人的にはこれほどの長い期間、販売中止にして「まるか食品」はやっていけるのか?、、もうあの「四角くって食べやすい」快感を味わえないのか・・・と不安だったのですが、販売を再開したときの消費者の受け入れはあたたかかったですね。

いろいろと斬新な商品をチャレンジしている会社でもあるので応援をしたいです。