叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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「フィルターバブル」という闇で、情報の自由化を叫ぶ

このブログで100回目の記事を投稿したとき(2020年11月)は、Google AdSenseの審査に受かり、喜んでいました。Google AdSenseは、Googleが提供するウェブサイトを収益化するクリック報酬型広告サービスです。

しかし、Google AdSenseとの縁は続きませんでした。結局 Google AdSense による広告収入は獲得できませんでした。
www.three-wise-monkeys.com

よく知られるマーケティング・ポジションマップ(下図)に従うと、クリック報酬型広告サービスの分野では、Google AdSense 。他を圧倒するリーダーです。世の中、これだけブログが乱立しているのであれば、Google並みの資金力をもった 巨大IT企業が、Googleの独占的地位を脅かす クリック報酬型広告サービスがあっても良さそうです。しかし、チャレンジャーとなりうる、クリック報酬型広告サービスは存在しなさそうです。いや、チャレンジャーどころか、ニッチャーも不在です。Google AdSense の審査が通らなかったおこぼれを預かるフォロアーがいくつかある程度です。

マーケティング・ポジションマップ

GAFAにMicrosoftを加えた、アメリカの巨大IT企業は、個々のサービスで独占的な地位を獲得しています。下記は総務省による「世界のICT市場における時価総額上位15社(2022)年」のデータです。ICT市場に於けるGAFAMの強さは一目瞭然です。

逆に上位15社に日本の会社はありません。日本がICTの発展途上国であることがよく分かるデータでもあります。

社 名 主な業態 所在国 時価総額
(億$)
Apple ハード、
ソフト、
サービス
米国 28,282
Microsoft クラウドサービス 米国 23,584
Alphabet
/Google
検索エンジン 米国 18,215
Amazon.com クラウドサービス、
eコマース
米国 16,353
Meta Platforms
/Facebook
SNS 米国 9,267
NVIDIA 半導体 米国 6,817
Taiwan Semiconductor
Manufacturing
半導体 台湾 5,946
Tencent SNS 中国 5,465
Visa 決済 米国 4,588
Samsung
Electronics
ハード 韓国 4,473
Mastercard 決済 米国 3,637
Alibaba eコマース 中国 3,589
Walt Disney メディア 米国 2,811
Cisco Systems ハード、
セキュリティ
米国 2,578
Broadcom ハード、半導体 米国 2,557

GAFAはお互いの企業が同じサービスで競合しないよう、分けあっています。そのため、ひとつの会社で、独占的に顧客のプライバシーを独自の方式で収集しているように見えます。

たとえば、eコマースは、Amazonが最強です。世界中の顧客が購買する商品の購買履歴を収集してます。Appleは、Appleストアを通じて、消費者が好むアプリをダウンロードする仕組みを整えてます。Meta(旧Facebook) は 自社の強みである SNS サービスから、利用者の意見や友だち関係を収集します。そして、Googleは、検索エンジンから個々の利用者が興味を持つキーワードや、閲覧したWebサイトの情報を収集します。

ひとつのサービスが顧客を独占的に支配することで、懸念されているのが「フィルターバブル」という課題です。

フィルターバブルは、情報がバブル(泡)に包まれたように、インターネット上で自分の興味のある情報だけしか見えなくなることを意味する言葉です。

フィルターバブルは、ネットを通じて、自分が欲しいと思う情報にいち早くたどり着く利便性の負の側面です。必ずしも、フィルターバブルは全面的に否定されるわけではありません。

たとえば、わたしはK-POPに関心があります。日本メディアの情報だと時間差が出来てしまうので、基本はハングルのキーワードで検索します。韓国語はまったく理解できませんが、GoogleのWeb翻訳をつかえば、流ちょうな日本語に翻訳されるので、全く苦にしません。

これを繰り返すと、Googleは 韓国現地のK-POP情報をいち早く提案してくれます。情報を早く知りたいわたしには、非常に重宝する機能です。

単に事実を確認するだけであれば、フィルターバブルは課題にはなりません。

問題となるのは、専門家等によって意見が分かれる単一の解がない情報についてです。

フィルターバブルが課題になったのは、コロナワクチン接種がはじまったとき、その有用性についての見解です。

コロナ禍当時、コロナワクチン接種の短期的な有効性については、ファイザー社製は約95%、モデルナ社製は約94%と、統計的には有効性が示されていました。しかし、すべての人が長期的に有効だと判断されたわけではありません。統計的な有用性を示すための臨床試験の参加者は基本的に若い人が多く、基礎疾患を持つ高齢者を対象とした試験は行われていません。また、独身でテレワークをしている人と、通勤電車に揺られ、集団のなかで仕事をしている人では感染リスクも違います。

ですので、コロナワクチンを接種するか、しないかは、接種のメリットとデメリットの双方の意見を理解しながら、最後は自分で決めるというのがあるべき姿です。

しかし、実際は、コロナワクチンの接種に不安を覚える人は、ネットでワクチンの危険性を検索し、反ワクチンの専門家による本を読んだりして、自らの不安が的中していることを積極的に確かめようとしました。

そのような人に対して、Webのサービスは「ワクチン接種は危険である」という情報を AI のチカラで提案しました。ワクチン接種の不安を煽る動きをしたのです。

「『情報は自由』という理念のもとで、自ら必要とする情報を獲得するのが容易になればなるほど、様々な意見の情報から取捨選択して、自分にとってもっとも合理性のある判断が出来なくなる。」という、一種のパラドックスを招きました。

これが、フィルターバブルと呼ばれる課題の本質だと思います。

元々、GAFAMが提供するサービスは、無料だったり、低価格だったりします。その割にクオリティが高く、革新的なイメージでした。GAFAMは、情報の自由な流通を促しました。情報を通じて、わたし達のライフスタイルの利便性に寄与しました。

すでにGAFAM は、巨大な富を手にしています。富の力を武器としたサービスの運営は、かなり傲慢な印象を受けます。GAFAMは、「情報は誰もが自由に手にいれらる」ことをうたいながら、個人のプライバシーを取得し、それが金儲けの手段になることをよく知ってます。

GAFAMの寡占が続く限り、ITは大きな闇で覆われている気がします。

スターウォーズにたとえるなら、独裁的な銀河帝国が支配する世界で、わたし達は、情報の自由を叫んでいるようです。