IT業界に就職するのにもっともふさわしい大学の学部・学科は情報工学系でしょう。
しかし、IT企業は、情報工学系の卒業生のみならず、情報工学系以外の理系も文系も多く採用しています。学生時代に専門的なITの勉強をしていなくても、IT企業は新卒性に仕事を与えることができます。
ただ、文系と理系がまったく分け隔てなく、仕事をしているわけではありません。文系出身者はプログラミングの勉強をしてこなった人が多いので、ソフトウエア開発の製造工程に進むことに抵抗感を感じる人も少なくありません。文系出身者はプロジェクトマネジメントや企画系の仕事に関心を持つ人が多いと思います。一方、情報工学系の新卒者は、プログラミング経験があるという理由で、製造工程にアサインされることが多いようです。たとえ、本人がマネジメントの仕事に関心を持っても、そこに進むのは難しいようです。
IT業界を志す人のなかには、さしたる動機もなく入る人も多いのですが、大きくはふたつの志望動機にまとめることができます。
- 新しい技術を自分のものにして手に職をつけたい(エンジニアリング志向)。
- 利用者にいちはやくサービスを提供して効率化を実現させたい(サービス志向)。
前者で必要となるのはコンピュータとの対話力です。IT企業は理系出身者に対して、ここで活躍することを期待しています。後者で必要となるのは人とのコミニュケーション力です。文系出身者はここで活躍してほしいと考えています。
個人的には、このような文系と理系の分け隔ては、個々の社員の可能性を閉ざしてしまう可能性があるので、あまりいいこととは思えません。そもそも、ひとくくりに文系といっても、文学部と経済学部では、学習内容も学生の志向性も異なります。わたしは理系ですが、化学部の出身で教職課程を専攻していましたので、ITとは縁遠い世界の学生時代を過ごしていました。
高校生のころ文系か理系かの選択で迷った方も多いのではないでしょうか!?
文系を選択した場合、英語、国語、社会が、勉強するべき主要科目となります。理系を選択した場合、英語、数学、理科が、勉強するべき主要科目となります。そうすると、国語と数学に興味があって、勉強をしたい人は文系に進むべきか、理系にすすべきか迷うはずです。脳科学的に国語の得意な人は、数学が苦手ということが決まっているのであれば、ある程度は理解できます。
しかし、理系出身者で有名になった作家も多くいます。
わたしは中学時代、芥川賞受賞作家の北杜夫の大ファンで、むさぼるように北杜夫の小説やエッセーを読んだのですが、北杜夫は東北大学の医学部出身です。
ミステリー作家の第一人者、東野圭吾は、大阪府立大学工学部出身で、デンソーに技術者として入社しながら、小説を書き続けたといいます。
作家ですので当然、国語は得意だと思うのですが、理系出身者の職業作家は多くいます。ですので、国語の得意な人は、数学が苦手ということはありません。
純粋に学問を体系化する意味で、文系と理系の分け隔ては価値があるのかもしれないのですが、ITビジネスを実現することに於いては、文系か理系かの違いはあまり関係ないと思います。