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ホテル雅叙園東京で開催している「和のあかり×百段階段2023」を観てきました

目黒にある「ホテル雅叙園東京(目黒雅叙園)」で開催している「和のあかり×百段階段2023」に興味があり、行くことにしました。

とりあえず、腹ごしらえです。

わたしはカレーうどんを好んで食べる方ではないのですが、このお店(こんぴら茶屋)は、牛カレーうどんが名物とのことで、迷わず注文しました。濃厚なカレースープと太めの麺の絡みが絶妙で、これは本当に美味しいと思いました。食べログの評価が 3.64 というのも納得です。

ホテル雅叙園東京は目黒駅から行人坂(ぎょうにんざか)という、かなり急な坂を下ったところにあります。坂の途中には、大圓寺があり、寄り道しました。

御朱印もしっかり、頂きました。開運出世の大黒天御朱印。ここは、書置き式ではなく、御朱印帳に丁寧に文字を書いていただき、よりありがたみがありました。

ホテル雅叙園東京にある「百段階段」は、1935年に作られた歴史ある木造建築です。実際は縁起の良い奇数となる99段なのですが、これだけ長い階段を作ったのは、日本国内最初の総合結婚式場である目黒雅叙園が急坂沿いに建てられたためです。天井は豪華な和の彫刻がなされ、階段沿いには、趣ある和室がところどころにあります。

「和のあかり」は、各和室にアーティストによる趣向を凝らした照明が施されていました。

この催しに参加して、「明るさ」について考えたくなりました。

日本らしい明りは、決して明るくないと思いました。変な言い方なのですが、暗さをより引き立たせる明るさだと思いました。和のあかりは、暗くて、怖くて、陰湿な感じがする明るさです。

一方、欧米の考える「明かり」は、明るくすることで生活を便利にしたり、夜でも安全を確保したり、バーなどではムードを演出するような目的があります。いまのわたし達が一般に認識している明るさは、欧米の明かりを意味します。

ただ、そういう一般的に考えられる明かりは「和のあかり」の概念と、相容れないものがあると思いました。

明るさを月にたとえるなら、欧米の明かりはスーパームーンをイメージします。地球と月と太陽が直線上に並び、月が地球に最も接近したスーパームーンは、小さな満月より14%大きく、30%増しの明るさとされます。

照明は明るければ明るいほど、いいというのが、欧米的です。くっきりと強い明りのもとで、はっきりとした感情表現を行い、自分の意見を明確に伝えるのが欧米人の気質だと思います。

スーパームーンは、日本には明るすぎる月です。

日本は三日月が似合いそうです。もちろん、満月(名月)を詠んだ句は多数ありますが、名月が和歌となるのは、月は満ち欠けることが分かっているからだと思います。そして、和歌では月の明るさを直接うたうのではなく、間接的です。月の明るさの意味するところは、別にあります。歌を詠む人は、意見を明示することなく、読み手側の解釈に委ねられるというのが日本的です。

名月や池をめぐりて夜もすがら(芭蕉)

この有名な芭蕉の俳句を詠むと、わたしは天の満月を直接仰いでいるのではなく、黒い池にぼんやりと浮かんだ月を楽しんでいる情景が浮かびます。

「永遠のモノは存在せず、時と共に朽ちていく」

環太平洋火山帯に覆われた日本は、地震、津波の災害に見舞われ、そういう地質的な環境が日本人の気質に影響を与えているかもしれません。よく「わび・さび」といいますが、この言葉は、万物が劣化していくなかに、美を見出そうとする日本独特の感性をよく示していると思います。

ビジネスの世界では、ロジカルシンキング という言葉があり、推奨されます。会社の研修では、ロジカルシンキングを鍛えるレッスンが行われ、ビジネス上の課題解決に活かそうとする試みが行われています。

ロジカルシンキングは、論理的な思考を意味する言葉です。物事を体系的に整理し、矛盾や論理的な飛躍のない筋道立てる思考法を指します。

ロジカルシンキングのフレームワークとして、よく知られるのが二つあります。

一つ目のロジックツリーは、ある「課題」に対してその原因や対策など、課題を構成している要素をツリー状に書き出すことで、解決法を導き出す方法です。課題に対して何故(Why?)を繰り返すことで、深堀りしていきます。

ロジックツリー

もうひとつがピラミッドストラクチャーです。ピラミッドの頂点に、「結論」を配置します。その下段には結論の根拠を組み立てることで、結論の正当性を築きます。何を(What)を積み重ねる思考法です。

ピラミッドストラクチャー

今回、「和のあかり」を見たとき、ロジカルシンキング という思考法自体、如何にも欧米的だと思いました。結局、日本には完全には浸透しない思考に思いました。

どう論理的に思考を働かせても、日本の明るさの魅力を説明することが出来ません。そもそも日本的な明るさは、論理的ではありません。

しかし「和のあかり」は、わたしにとってとても快適で、居心地よく、充分満足した時間でした。

和のあかり×百段階段2023~極彩色の百鬼夜行~
期間:2023年7月1日(土)~9月24日(日)
https://www.hotelgajoen-tokyo.com/