アリババとマルジャーナ
「アラビアン・ナイト」の物語のひとつ「アリババと40人の盗賊」では、アリババが盗賊の合言葉として使った「開けごま」を盗聴し、大きな岩を開け、盗賊の隠した財宝を横取りしました。
この物語、その後の展開は結構、おぞましいです。気持ちの弱い子どもに読み聞かせをするには、多少の勇気が必要です。
財宝を奪われた盗賊たちが黙っているはずはありません。彼らはあの手この手でアリババの命を奪い復讐を企だてます(アリババの兄、カシムは盗賊により殺されます)。人が良く正直者のアリババは、ともすれば盗賊に騙され、危険な状態に陥ります。それを救うのが、機転がきく疑り深いマルジャーナという使用人の娘です。
ある夕食の宴の席、彼女は剣舞の踊りをしつつ、アリババに近づいたフサインという男の心臓を剣で突き刺します。フサインは盗賊の首領だったのです。
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さて、人には「アリババと四十人の盗賊」の主人公、アリババのように、騙されやすい人と、マルジャーナのように騙されにくい人に分かれます。
騙されやすさと、騙されにくさは、頭の良さと必ずしも関係が無いと言われます。
そういえば、かってオウム真理教の事件では、高学歴で「頭が良い」若者が大勢、マインドコントロールで入信したことがありました。
diamond.jp
騙されやすいか、騙されにくいかは、情報に接したときの受け止め方に違いがあると思います。
政府のコロナ対応の信頼感の記事を読む
騙されやすいか、騙されにくいかをはかる上で、参考になりそうな記事を紹介します(6月4日の記事ですので、いまを反映した内容ではありません)。
政府のコロナ対応、G7全体で信頼感低下 日本のみ上昇=調査
カンター社が4日に公表した調査結果によると、主要7カ国(G7)の大半の国において、新型コロナウイルスを巡る政府の対応への信頼感が低下したことが分かった。なかでも英国で信頼感の低下が著しかった。G7全体では、政府の新型コロナ対応を評価すると回答した人の割合は5月は48%となり、4月の50%、3月の54%から低下した。
信頼感の低下幅が最も大きかったのは英国で、5月は前月から18ポイント低下し51%。米国、カナダ、ドイツ、フランス、イタリアは、2─6ポイント低下した。信頼感が上昇したのは日本だけだった。
ロイターの集計によると、英国では3日、新型コロナ感染症による死者が5万0059人となり、5万人を突破した。欧州では最多で、世界では米国に次いで2番目に多い。
調査は7012人を対象に、5月28日から6月1日に実施した。
〜政府のコロナ対応、G7全体で信頼感低下 日本のみ上昇=調査 | ロイターより
この情報の下線部分を読んだとき、それなりに多くの方が、日本政府のコロナ対応の信頼感が高いと思うかもしれません。
しかし、この記事は信頼感の数値そのものが出ていないことに気づくことが重要です。
記事に書いてあるのは、あくまで信頼感がどの程度、低下若しくは上昇したかということだけです。
このデータの出どころを見ると、信頼感の数値は次のようです。
Country | Trust (last time) |
Trust (this time) |
---|---|---|
Japan | 30% | 37% |
Canada | 74% | 70% |
Germany | 67% | 65% |
Italy | 71% | 65% |
US | 46% | 42% |
France | 43% | 41% |
Britain | 69% | 51% |
信頼感の数値そのものを見ると、G7における日本の数値は37%と、突出して低いことがわかります。
この記事は信頼感の数値を出さないことで、日本政府のコロナ対応が信頼されているかのように伝えています。
この記事が意図的に読者を騙そうとしているか、情報の伝え方が単に不足していただけかは分かりません。
ただ、記事をそのまま受け止めて、騙される方は多いと思います。
ロジックツリーで脳トレ
騙されやすい人と騙されにくい人の違いを考えるとー
- 騙されやすい人は情報をそのまま受け入れる。
- 騙されにくい人は情報の奥を探る。
という違いだと思います。
もしかしたら、情報をそのまま受け入れる方は、暗記が得意かもしれません。暗記が重要な勉強もこんなにあります。
- 英単語・英熟語
- 英文法
- 発音
- 数学の公式・定理
- 古文・漢文
- 漢字
- 元素の周期表
- 世界史・日本史の年号
- 地図 等々・・・
とにかく徹底して暗記をすることで、難関と呼ばれる大学に合格できるはずです。しかし頭はいいが、騙されやすい人は人生で多くの損をします。
騙されにくい人になるには、情報の奥を探る習慣が必要だと思います。そこで、有効だと思うのが、ロジックツリーです。
ロジックツリーはロジカルシンキングの手法として有名です。問題をツリー状に分解し、その原因を掘り下げていきます。原因を掘り下げることで、本質的な原因を特定していきます。別名「なぜなぜ分析」といいます。情報に接したとき、なぜ?なぜ?をしてみると、情報の見方が深くなります。
日本政府のコロナ対応で信頼感が上昇した原因をわたしなりにロジックツリーで書いてみました。100人いれば、100通りのロジックツリーがあっていいと思います。