叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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電磁パルス

2017年頃から、北朝鮮による「電磁パルス(EMP)攻撃」の脅威がたびたびメディアで指摘されています。
www.sankei.com
この攻撃は高層の大気圏(高度30Km以上)で核兵器を爆発させると、ガンマ線が大気と衝突することで、EMP(電磁波)が発生し、これが地上に届くと、あらゆる電子機器や電力設備が過電流により損壊する恐れがあるというものです。送電網そのものも被害を受けるようです。

電磁波パルス攻撃の影響する範囲は広大で、1回の攻撃で日本国内のほとんどの場所が影響を受ける可能性があるとのことです。

この脅威にどこまでリアリティがあるのか、ノストラダムスの大予言のようなオカルトなのか・・・実際のところはよく分かりません。

日本の大企業は、リスクマネジメントの一環としてBCP(事業継続計画)を策定しています。BCPとは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。

BCPの高まり

日本は、地震・津波による自然災害が多いことから、BCPの意識は高いと思います。ただ、自然災害の影響は甚大ですが、この影響が日本全土に及ぶことはあまり想定出来ません。1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災はいまでも多くの人の記憶に残る大災害ですが、被害が及ぶ地域は限定されます。

自然災害と比較して、電磁パルスのような、日本全土への人為的な攻撃への警戒はあまりしていないと思います。日本は戦争を身近に感じる状況にありません。戦争のことは、社会科の勉強やテレビのニュースを通じて見る程度です。もちろん、平和が維持されるのはいいことです。

未知なる戦争への備えは、規模の大きなBCP対策が必要だと思います。

そう考えると懸念するのが、データのバックアップです。BCP対策ではデータのバックアップを遠隔地に設けることで、稼働しているサーバーが損傷を受けても、遠隔地で保管しているデータを使って復旧(リストア)させることで、情報システムの可用性への悪影響を抑えることとしています。ここでいう、遠隔地とは、東京の拠点と大阪の拠点ような距離感です。

戦争により日本全土が被害を被るのであれば、バックアップは国内のみでなく、グローバルに持たせる方が可用性の面からはいいはずです。日本の会社は国外にデータを持たせることへの警戒感が強いのですが、見直しも必要だと思います。もし、国内に限定するなら、北海道から沖縄に至る距離感のある拠点構想がいいでしょう。

もし、EMP攻撃で通信機器が損傷を受けたら、いまのスマホは役に立ちそうにありません。そのとき、もっとも復旧が速いのはラジオといわれます。災害時はラジオがあると、重宝しそうです。ただ、radiko(ラジコ)のようなインターネット回線を使ったラジオや、コンセントに差し込んで使うラジオは、使えない可能性があります。

一家に一台、手回しや太陽光による対応が可能な防災用のラジオを持っておくのがよいと思います(わが家もあります)。

また、広範囲な電子機器への障害を想定すると、デジタル化の推進と逆行しますが、アナログへの回帰が出来るような取り組みも必要だと思います。

日本政府は「デジタル改革関連法案」を進め、今年の9月にデジタル庁を創設し、デジタル改革の司令塔として強力な権限を持たせる「デジタル庁設置法案」や、基本理念を定めた「デジタル社会形成基本法案」を整備していきます。

重要な政策ですが、デジタル化に気を取られてばかりいると、アナログで対応しなければならなくなったときに、誰もできる人がいないということになるのではないかと心配します。

究極は、電卓が使えなる場合に備えて、誰もがそろばんが出来るようにしておくということなのですが・・・