叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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たまごの価格と集中と分散の情報セキュリティ

幼少期(昭和40年代~50年代前半)に住んでた相模原(いまの南区)はとても養鶏場の多い地域です。

とくに麻溝台付近は目いっぱいに養鶏場がひろがり、その強烈な臭い(牧場の牛よりはるかに強い)はいまでも記憶の片隅にあります。

卵はスーパーマーケットで10個入りのパック詰めされたものを買うイメージがありますが、この地域では、養鶏場で直売される卵を買うこともありました。養鶏場では、卵をプラスチックの容器に入れるのではなく、新聞紙でくるんでもらいました。

転校してから、その地域に足を踏み入れることはなかったのですが、4年まえの夏に座間へひまわり(ここはかなり見ごたえがあります)を見に行った帰りに車で麻溝台を通りがかりました。

座間のひまわり畑(2019年)

そこは閑静な住宅街になっていました。養鶏場が広がっていたあの頃とは様変わりしてます。

もちろん、あの独特な匂いは感じません。

ただ、養鶏場が多かったことを思わせる風情があります。麻溝台を通る道は「たまご街道」とネーミングされています。

いまでも数件の養鶏場があるようです。中心には卵料理の美味しいレストラン(小川フェニックス Sweet eggs)があります。ここ、かなりおすすめです!!


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大好きな卵ですが、価格の高騰が深刻です。高騰だけでなく、そもそも商品棚に無いこともあります。

この要因はロシアとウクライナの紛争によるトウモロコシ(鶏のエサ)の値上げに、鳥インフルエンザが追い打ちをかけたからと言われます。

紛争は政治と外交の失敗によるものです。人類にもっと叡智があれば、紛争は回避できたかもしれません。

鳥インフルエンザはコロナと同じく、自然災害ですので、防ぎようがないです。鳥インフルエンザの発生により、殺処分される鶏の数が増えたようです。近年の養鶏場の統合や大規模化によって、卵の生産効率をあげようとしたことが起因しているようです。養鶏場が工場のように規模を大きく、装置化することで、卵の生産性は向上します。しかし、鳥インフルエンザが発生すると、大規模化以前より、殺処分が膨大になり、そこからの卵の供給が停止になるので、市場に悪影響がより深刻になりました。

卵の生産効率をあげる観点では大規模な養鶏場を集中させるのは正しい方策です。ただ、鳥インフルのような災害によるダメージを踏まえると、小規模な養鶏場が分散していた方が供給リスクが軽減されてたと思います。

卵から話題が派生しますが、情報セキュリティにおいて、集中管理が適切か、分散管理がいいかはよく議論のネタになります。

集中と分散は、情報セキュリティの機密性と、可用性のトレードオフです。

情報セキュリティの機密性と可用性は情報セキュリティの3要素を構成する需要な考え方です。完全性を含めて CIA と呼ばれます。

情報セキュリティのCIA(3要素)

データの機密性を維持するのに適した管理は、データを一元的に集中管理することです。

SAP(ドイツのIT会社)が日本で注目されはじめた頃、注目されたのは SAPシステム の持つ「大福帳データベース」という仕組みです。大福帳というのは、江戸時代の商家で使われていた金銭出納帳のことです。それを電子媒体として実現させたのが、大福帳データベースです。SAPシステムを使って発生するトランザクションデータをそのまま蓄積していくタイプのデータベースを指します。

大福帳データベースに重要な顧客情報・機密情報が記録されているので、そこを徹底して集中管理することで、会社・組織からの情報漏えいを防ぐことができます。

一方、大福帳データベースが格納されているサーバーが被害を受けると、会社全体の業務がストップしてしまう危険があります。実際、2011年3月11日に発生した東日本大震災によってシステムが被害を受け、出荷業務が滞った会社もあります。この災害を契機して、BCP(事業継続計画)を策定する会社が多くでました。

いまはクラウドサービスを利用する会社も多く存在します。クラウドなのでデータがどこにあるかを利用企業として意識しなくてよくなりました。SalesforceやAWSなど、よく知られたクラウドサービスならば、データは冗長化されています。震災レベルの災害があっても、システムの可用性を維持することができます。

可用性というのは、システムを利用したいときに、利用できることを維持する特性です。データを分散管理することで、システムの可用性が向上します。

たまごの話題から、情報セキュリティに話がそれましたが、物価の優等生であり、ケーキなどの食材としてもよく使われる 卵 は、食べたいとき、使いたいときに気軽に手に入れられるべきでしょう。

その観点からみると、たまごについては、大規模な養鶏場で生産を集中させるより、かってのような養鶏場が分散した管理体制を維持する方が良かったのかなぁと思いました。

たまご街道をまた、走ってみよう。