フェアトレード製品はその特性から同じ品質を持つ非フェアトレード製品に比べて高い価格が設定されています。
それは弱い立場にある生産者の児童労働を無くしていくことから、わたしは必要な措置だと思います。
しかし、フェアトレード製品を購入した時、こんな疑問を持つことがあります。
そもそも、この製品は本当にフェアな取引で行われて生産されているの?
いくら製品にフェアトレードと書かれていても、わたし達は実際の製造過程を見ているわけではありません。消費者としてこういう疑問を持つ方はほかにもいると思います。
その疑問に対する答えがフェアトレード製品のパッケージに記載されています。
フェアトレード基準は、開発途上国の小規模生産者・労働者の持続可能な開発を促進することを目指して設計されています。フェアトレード基準は多岐に渡りますが「経済」「社会」「環境」の三つの原則で構成されます。
基準が多岐に渡ると、論点が絞りにくくなりますので、ここでは児童労働の禁止を焦点をあてます。
「フェアトレード製品は非認証カカオ、砂糖と混合される」という記載があります。
さらっと書いていますが、これは大事な指摘事項です。わたし達がフェアトレードだと思って買っているチョコレートは、児童労働によって栽培されたカカオも含んでいることになるのです。
なんと、フェアトレード製品はすべてがフェアなわけではなく、フェアでない部分があるということになります。
でもそれだったら、フェアトレードと呼んだらダメなんじゃない!?
そう思いませんか?
そこで()に書かれている「マスバランス基準」に注目します。
あまり聞きなれない言葉です。ただ、高校生物の授業で「生態系の物質収支」を習った方は、イメージがしやすいかもしれません。「物質収支=マスバランス」です。
生態系のマスバランス(物質収支)は、次のような概要図で示されます。ここで生産者とは植物であり、消費者は草食動物(一次消費者)です。マスバランスは、生態系内の物質、エネルギーがそれぞれの栄養段階(食物連鎖による段階分け)でどのように利用されて移動するかを示します。
この考え方をフェアトレードチョコレートに当てはめると、児童労働に頼らないで生産されたカカオのうち、消費者に出荷されたものは、フェアトレードチョコレート製品に完全に含まれることになります。但し、消費されるフェアトレードチョコレート製品は、一定量は児童労働によるカカオを含むということです。