SESエンジニアの採用
信用と信頼はほぼ同義語として使われていますが、実は使われ方の違いがあるようです。
- 過去の実績に対して獲得するのが信用
- 未来の行動を期待するのが信頼
信用と信頼を使い分けることはなかったのですが、このブログを見たとき、SESエンジニアの採用をしていた頃を思い出しました。
SES(システムエンジニアリングサービス)とは、ソフトウェアやシステムの開発・保守・運用における準委任契約を指します。特定の業務に対して技術者の労働を提供する契約です。
信用を重視する中途採用
SESビジネスの運営で、エンジニアの採用は業績を左右するとても重要な仕事です。
質のよいエンジニアを採用するにあたって重視したのは、会社の営業戦略に見合った実績があるエンジニアか否かでした。
わたしのいた会社の主要取引先は大手製造業です。エンジニアの仕事は取引先の基幹業務システムの運用と改善です。
多くの取引先は基幹業務システムSAP(SAPはドイツのSAP社が出している企業業務を効率化させるためのERPパッケージの名称を指します)を運用してます。
このことから次のふたつの経験を兼ね備えているエンジニア(ゾーン1)が理想でした。
- SAPシステムの導入を経験していること。
- 基幹業務を知っていること。
しかし、このふたつを兼ね備えたエンジニアを見つけるのは相当難しいのが現実です。
そこで、基幹業務に対する知見は少なくとも、SAPシステムの導入を経験している人であれば、採用対象としました(ゾーン2)。また、SAPの経験はなくとも基幹業務を知っていて、SAP以外のERPシステムの導入経験があれば、採用対象としました(ゾーン3)。
求職者との面接では、採用対象となるゾーンでの経験値を細かく確認しました。そのやり取りのなかで、エンジニアに対する信用度をはかっていました。
信頼を意識する第二新卒採用
わたしは新卒を対象とした採用面接をした経験がありません。第二新卒(学校を卒業して一旦就職したものの、2年以内で転職を志す人)を対象とした採用面接は何度もあります。
第二新卒ですと前職での経験値はそれほど信用出来ません。
わたしが第二新卒を対象とした面接で重視したのは、本人の性格や志向性が、会社が要求する仕事と釣り合うか否かです。
SAPシステムの運用と改善の仕事は、決して高度な判断を必要とする仕事ではありません。また、切符の自動改札機のような迅速性を要求される仕事でもありません。ただし、単純作業ではありません。そのため業務の自動化は楽ではありません。
(この自動改札機の動画が余りに面白く貼りたくなりました🤗)
youtu.be
たとえばSAPの移送業務は、開発機、検証機、本番機と環境を分け、移送するべきファイルを特定していきます(3システムランドスケープといいます)。手順に従って、安全・確実に仕事を行う必要があります。
仕事でミスを犯すと、障害が発生するかもしれません。情報セキュリティの3要素のひとつである、可用性(システムが動き続けることができる能力)に影響を及ぼす可能性があります。
運用と改善の仕事の特性から、第二新卒の採用にあたっては、集中力がありそうで安定感のある仕事を志す人を信頼するようにしました。
経験値の少ない第二新卒は信用面で劣ります。しかし、面談を通じて「この人は信頼できる!」と、確信するときがあります。
採用担当にとって、それはダイヤモンドの原石を見つけた喜びに等しいのです。