叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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公務員の安定と仕事のキツさのジレンマ

いまは、VUCA の時代といわれます。

この言葉、もともとは軍事用語だったようなのですが、2010年頃からビジネス用語として使われるようになってます。

そもそも、ビジネス用語の多くは、軍事用語からの転用ばかりです。

むかしからビジネスで使われている、戦略とか戦術とかも明らかに戦争をイメージする言葉ですね。

あらためて、VUCAとは、不確実性(Volatility)、複雑性(Complexity)、不安定性(Uncertainty)、曖昧性(Ambiguity)の頭文字を組み合わせた用語です。

いわば、VUCAは、組織を防御するため、その脅威となりうる特性を列挙した言葉だと思います。

  1. 不確実性 (Volatility):市場が突然変化する可能性が増してます。
  2. 複雑性 (Complexity):多くの要素が絡み、解決が難しい状況です。
  3. 不安定性 (Uncertainty):将来を予測することが困難な状況です。
  4. 曖昧性 (Ambiguity):情報に対する解釈が曖昧な状態です。

VUCAの時代、組織は変化に適応し、より柔軟性を持って対応する必要があることを示しています。

会社に象徴される組織で働く、多くの方々が、自分たちの組織が安定しているとは感じない世の中だと思います。

ところで、よく「公務員は安定しているから安心だ。」というような言葉を見聞きします。

公務員に限っては、VUCAの例外なのでしょうか!?

確かに、公務員は、国や地方公共団体だからまず潰れることはないと思います。公務員の給与は安定しており、福祉や年金制度も整備されているため、経済的な安定感も得られると思います。

しかし、個々のキャリアの積み重ねや、公務員の働き方を踏まえると「公務員=安定・安心」は必ずしも、成り立たない気がします。

わたしは IT業界で30年以上、働いてます。

そのなかの経験で書くと、もし、元公務員の方が会社の採用広告に応募した場合、あまり積極的に採りたいとは思わないです。

というのは、公務員でIT(情報系)の仕事をしていた方を中途で採用したことはあるのですが、民間企業で働く人の感覚と、公務員をやってきた人の感覚でズレを感じてるからです。

IT業界の仕事の特性として、ある程度の経験がある場合、仕事に対するスタンスが完全な受け身だと、やりにくい面が出てきます。基本、ITエンジニアは、自ら、課題を見つけ、技術によってそれを改善していこうとする資質が必要です。もちろん、経験の浅いエンジニアであれば、それは難しいのですが、主体的に動こうとする意志はかなり重視されるのが IT業界です。

ただ、かって採用していた元公務員の場合は、総じて主体性に乏しく、仕事は与えられて当然という感覚が強かったと思います。仕事を与えても、マネジメントが弱いと、業務管理が出来ていないことをことさらに問題視する傾向がありました。

元公務員を採用した経験で率直に思ったのは、公務員は組織の枠組みにいれば、安定してそうですが、転職市場での価値はあまり高くなさそうということです。

わたしは公務員の経験がありません。ですので、公務員の働き方の実態はよく分かりません。

知らないわたしの感覚からすると、せっかく給与(それもそんなに安くはない)が保障されている公務員の仕事を辞めてまで、民間企業で働こうと考えたのかが、不思議で仕方ありませんでした。あるとき、本人に転職理由を聞いたら、とにかく、公務員時代は残業や休日出勤が多く、体力がきついとの理由でした。

公務員といっても、多種多様で、職場によって違うとは思うのですが、わたしの友だちの公務員の方々も、仕事がかなりハードでストレスがたまると、愚痴を何度も聞いてます。

だから、きっと公務員の仕事がハードなのは、総じて事実なんだろうと思います。

仕事があまりにもキツイと、情報セキュリティ事故が起きやすくなるのも気になります。

疲労が蓄積すると、注意力や判断力が低下します。それが、ミスを引き起こす原因になります。

たとえば、パソコン操作などで、誤って機密情報を送信したり、誤って重要なデータを削除したりするかもしれません。公務員が預かっている情報は、個人情報や機密情報が多いでしょう。ひとつの操作ミスによる社会的な影響は、民間企業よりもずっと大きいと思います。

また、仕事がキツイと、プライベートでもセキュリティリスクが増加します。いまや SNSやメールは、フィッシング攻撃で溢れています。脳が疲れていると、情報セキュリティに対する警戒心が低下します。その結果、偽サイトに自分のクレジットカード番号を入力してしまうような詐欺にひっかかるかもしれません。

人為的なミスによる情報セキュリティの事故は、個人の問題にされやすいのですが、それは大きな間違いです。

ミスをした犯人を突き止めるのが問題なのではなく、組織として情報セキュリティ事故を防止すべく対策をうってないことが問題です。

組織は、そこで働く人の健康管理を行い、働き方改革により休出や残業を減らす取り組みが必要です。組織の責務として、仕事をするうえで、健康がなによりも第一であることを効果的に発信する必要があります。情報セキュリティに於けるヒューマンエラーのリスクを最小化する取り組みを行うことが重要です。

公務員の仕事がキツイということは、公務員全体として、そこで働く人が健康を害することで、組織的な問題に波及する危機感が薄いのかもしれません。

そう考えると、公務員は安定している職業かもしれませんが、決して安心できる仕事ではないと思います。

  • 安定した仕事は手放したくないが、いかんせん仕事がきつすぎる。
  • 仕事がキツイので転職をしたいが、自分の転職市場での価値が低い。

公務員といえども、やはりVUCAの時代を生きているんだと思うのです。