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高尾山のビアガーデンと天狗信仰

昨日は高尾山のビアガーデン(高尾山ビアマウント)に行きました。

京王線の高尾山口駅。むかしに比べるとずいぶんと洗練されました。

高尾山の麓、清滝駅。ここからケーブルカーに乗ります。

高尾山駅行のケーブルカー。最急勾配は31度18分、ケーブルカーの線路では日本一の急勾配となっているようです。6分で着きます。着いたらすぐそこにビアガーデンがあります。

開放感あふれる会場。500席 あるそうです。飲み放題・食べ放題で2時間4,300円(大人)です。

食べ物の種類は豊富です。全種類、食べるのは絶対無理なバリエーション。

ビアガーデンから八王子の街を望む。この日は八王子まつりが行われていました。そのせいか、思ったよりビアガーデンの人数は少なく感じました。

カンパーイ!!

高尾山は、2007年にミシュランガイドで最高ランクを獲得したことで、多くの観光客が訪れるようになりました。

わたしは実家が高尾山から近く、身近な存在でした。

近年の高尾山ブームにやや違和感を持ってました。そのため、足が遠のいていました。

今回、久しぶりに高尾山に行き、懐かしさを感じました。

また、行きたいと思いました。


関連ランキング:ビアガーデン | 高尾山口駅

ところで、高尾山は天狗信仰の霊山として有名です。

天狗は古くからいる妖怪の一種です。

ちょっと、妖怪界に於ける天狗のポジションを考えました。

天狗の特徴は顔が赤く、鼻が高いことです。似たような顔の妖怪として、赤鬼を連想します。ろくろ首、からかさ小僧、のっぺらぼうなど、日本にはたくさんの妖怪がいます。その多くは見た目が不気味です。近寄りたくない存在です。

天狗に似た赤鬼は、「鬼はそと 福はうち」と言われるように、人々に災いをもたらすイメージしかありません。

河童、座敷童子、子泣き爺などは、個人的には見てみたいユーモラスなイメージのある妖怪です。ただ、これらの妖怪はどれも弱そうです。

たくさんの妖怪のなかで、天狗は特異な感じがします。

よく、高慢な態度を取る人を「あの人は、天狗になってる」と、言います。

この言葉は、「それほどの実力を伴っていないのに、態度だけが偉そうな人」を指す、ネガティブな意味です。

ただ「天狗」そのものは、実力を伴っていないわけではありません。

天狗を題材にした作品でいちばん有名な「鞍馬天狗」は、源義経の幼少時代(牛若丸)を題材にした能楽です。大天狗と牛若丸との師弟としての絆を描いた物語です。大天狗は、奢る平家を倒すため、鞍馬山で牛若丸を修行させ、立派な兵士に育て上げます。

天狗はとても強く、人々から「畏敬の念」を抱くような妖怪だと思います。鬼を退治する物語は数多くありますが、天狗を退治する話は聞いたことがありません。

天狗は赤鬼と似た風貌なのに、妖怪界に於けるポジションはずいぶん違うと思いました。

鞍馬山と同じく、薬王院のある高尾山はかっては修行の山です。

高尾山は修験道根本道場として知られており、山伏修行が随時行われ、昔は山伏が深山幽谷に籠もって難行苦行を重ね、やがて高尾山の霊気と融合して、呪力、験力を体得して大先達となり、山伏の姿が天狗と同一視されることも多いのであります。~高尾山と天狗様 | 高尾山薬王院公式ホームページ

大天狗と牛若丸のような師弟関係を結び、山にこもって修行する風土は、時代とともに消えてます。

それは、長い歴史の時間軸のみならず、ここ30年という短いスパンのなかでも感じます。

わたしが 新米のITエンジニアだったころ、設計や開発や運用などの ITの業務ごとに ”師匠” のような人がいました。大抵の師匠は、主任とか係長という役職です。課長になるとマネジメントが主たる仕事になるので、人事評価などではお世話になりますが、エンジニアリング業務をいちから教えて貰うことはほとんどありません。

師匠の性格はそれぞれですが、なかには天狗のように高慢な態度を取る人もいました。親しみやすい話し方をする師匠もいましたが、どの師匠も自ら積極的に仕事を教えようとはしませんでした。

ITは専門性が強い職種です。そのなかで師匠と呼ばれるエンジニアは、皆、自分で仕事を抱えたがる傾向があったと思います。部下の立場からすると、師匠のやり方を横目で見ながら頭で理解し、手を動かすことで、師匠の技術を盗んで自分の技術にしていくイメージがありました。

あの頃に比べると、いまの ITエンジニアは、師匠がいなくてもノウハウが共有化されてます。

それは、共有化ツールの普及の影響が大きいと思います。たとえば、ソースコードを保管するGitHubは、他のエンジニアとソースを共有し、編集の履歴管理を簡単にできる機能を持ってます。細かな手作業も動画として保存すれば、あえて師匠のそばで修行しなくとも、自分の都合のよい時間で、技術を取得できます。

こうしたことから、IT業界に於いて「師匠」や「修行」といった言葉は、風化してると感じます。

言い換えれば、徒弟制度は崩壊し、エンジニアの自主性が尊重される時代になりました。

ただ、現代に於いても、エンジニアとしてのノウハウが共有されない 立場の人がいるのも事実です。

そういうエンジニアは、単純作業しか与えられません。そのため、給与水準が低く抑えられます。

俗称では、そういうエンジニアは、建設・土木などの 3K と呼ばれる職種を比喩して 「IT土方」と呼ばれます。

IT業界は人出不足なので、IT土方でも仕事は充分に与えられます。ただ、そこから抜け出すには、本人の自主性に委ねるだけでは無理があると思います。

かってのような「畏敬の念」を抱く師匠の存在が必要かもしれません。