叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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試すことに喜びを見出すことで仕事は楽しくなる

あるサラリーマンの一日


 朝、満員電車に揺られラインしながら、始業8時45分の5分前に出社した。そして、デスクトップパソコンを立ち上げログインした。昨夜からのメールをチェックして、急ぎの要件がないかを確認した。2件ほど問い合わせがあったが、それほど急ぎではなさそうだったので、ひとまずメールを振り分け保存し、タスクリストに記録した。それからスケジュール帳を開き、今日やるべきことを確認した。今日は10時から週次の進捗会議だ。この1週間を振り返り、先週やったこと、来週までにやること、いま課題となっていることをメモ帳にまとめた。

 進捗会議は1時間。営業部長からの全体説明のあと、各自が状況報告して終わった。

 今日は13時からお客様との打ち合わせがあるので、前日に準備した「提案資料」をプリントアウトし、参加人数分コピーした。そして、持ち出し用のノートパソコンと一緒にバッグに格納し、ランチを兼ねて外に出た。会社近くの定食屋で「生姜焼き定食」を注文。待っているあいだ、資料にざっと目を通した。そして、お客様の元へ出かけた。

 「提案資料」は概ね、お客様のご理解を頂くも、細かな条件を要求され、次回までの「検討事項」としてメモ帳に記録した。

 帰社は16時。1部余った「提案資料」をプリンター脇にあるシュレッダーにかけて席に着いた。あと、今日やるべき仕事は「契約書」の申請をあげることと、明日の新たな見込み客に向けた「事業概要資料」の策定だ。そういえば、明日のお客様は名刺交換をした際「事業概要資料」を事前に送って欲しいと言っていたことに気づいた。パワポで作った資料をPDFに変換し、パスワード付きZIPファイルをメールに添付して送った。そして、別メールでパスワードを知らせた。内心、この作業はめんどくさいと思いつつセキュリティ上、必要と言われてるのでやっている。

 17時、そろそろ今日の仕事も終わりか!?と思っていた時、総務からわたし宛に電話がかかっていると告げられた。電話に出ると、昨日の問い合わせに対する回答の督促だった。朝、メールを見たときはそれほど、急ぎの要件でないと思っていたが、わたしの想定よりも急いていたようだ。ただ、それほど調査に時間がかかる問い合わせではなく、30分程度で対応を終えた。

 気がつくと18時。働き方改革で残業は悪とされる。わたしはデスクトップパソコンをシャットダウンし、会社を出た。

 沈みかけた太陽が遠い多摩丘陵を赤く照らし、とても綺麗だと思った。

「仕事は楽しいかね?」の言葉

仕事のモチベーションを持続させるのに言葉は重要だと思います。むかし読んだ本で「仕事は楽しいかね?(デイル・ドーテン)」というのがあります。ポロシャツ姿の老人、マックスが仕事に人生に行きづまりを感じる「私」に展開する一夜の講義・・・。普段はこの本を余り意識することないのですが、仕事に面白みを感じないときにこの本に書かれているメッセージが、ストーンと頭に入るのです。

「たいていの人は、マンネリ化した生活から抜け出すために目標を設定する。だけど、いいかい、今日の目標は明日のマンネリなんだよ」それから得意げに、同じ言葉をさらに大きな声で繰り返した。
今日の目標は明日のマンネリ。
そして尋ねた。「僕がいままでに掲げた目標が一つだけある。聞きたいかね?」ぜひ、と私が答える。
”明日は今日と違う自分になる”だよ。
「仕事は楽しいかね?(デイル・ドーテン/野津智子=訳・きこ書房)より」

仕事は楽しいかね?
平凡な仕事もちょっと工夫して試してみる勇気を持つことが大事だと思います。例えば、進捗会議は単に報告だけで終わるのはもったいないです。その時間に少し課題を議論するような時間を持つことを提案すると会議が活性化するでしょう。例えば、お客様から来たメールは確認したら、ひとまず「承りました。確認して返事をします。」と返すと、お客様から督促を受ける可能性が減るのではないでしょうか?

普段やっている仕事にWhy(問題意識)をはじめるのもいいかもしれません。例えば「パスワード付きZIPファイルをメールに添付し送ったあと、なぜ、別メールとしてパスワードを知らせる必要があるんだろう?」ということに疑問を持ち、その答えを見出そうとする行為です。

ひとつの工夫やひとつのWhyは小さなことですが、このことが脳の活性化につながり、マンネリ化だけの仕事ではなくなるのだと思います。

マンネリ化した脳は、情報セキュリティに於いても害をもたらします。

日本ネットワークセキュリティ協会の「2018 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」を見ると、情報漏洩の実に5割以上が「紛失・置忘れ」「誤操作」といったヒューマンエラーが占めています。これは日々の仕事のマンネリ感が脳の働きを鈍らせ、ちょっとした注意を怠った結果、もたらすセキュリティ事故だと思います。
www.jnsa.org

サラリーマンの日常の仕事は惰性的かもしれません。しかし、試すことに喜びを見出すことで仕事は楽しくなり、脳は活性化し、自分にとって組織にとって、”あるべき状態より、良くあることと” になるのではないでしょうか。