叡智の三猿

〜森羅万象を「情報セキュリティ」で語る

当サイトは、アフィリエイト広告を使用しています。

かわいいだけでは終わらない、デザインの話

横浜駅東口のそごう美術館で開催中の「The 50th Anniversary OSAMU GOODS 展」に行ってきました。

会場に入った瞬間、1,600点を超えるグッズがずらりと並び、すごいな〜と思いました。マグカップ、弁当箱、文房具、Tシャツ、傘まで、原田治さんが手がけたアイテムが並んでいます。

撮影可能なエリアが多く、マグカップや皿がずらりと並んだ棚を、思わず写真に収めました。

OSAMU GOODSは、イラストレーターの原田治さんが、マザーグースに着想を得て1976年に誕生させたキャラクターです。今年で50周年を迎えます。

ジルとジャック、ハンプティ・ダンプティ、キャットにドッグ。シンプルな線と丸い顔、ポップな色使いが、1970年代後半から90年代にかけて絶大な人気を博しました。

原田さんが掲げた「かわいい」の定義は、明るく、くったくのない健康的な表情だそうです。60年代アメリカの雑誌や映画に登場する女優たちの持ち物が、ヒントになっていたと知り、なるほど!と思いました。

ミスタードーナツの景品や、カルビーポテトチップスのキャラクター、崎陽軒の「ひょうちゃん」も、原田さんの仕事だそうです。

わたしがオサムグッズと聞いて、真っ先に浮かぶのはやはりミスドです。興味を持ったのは大学時代、1980年代の終わり頃でした。

ドーナツを買うと付いてきた小さな景品。ジルとジャックのイラストが入った弁当箱やコップに、毎回夢中になっていました。

当時のミスドにはコーヒーのおかわり自由があり、ドーナツとコーヒーだけで何時間も居座っていました。友達との長話はもちろんですが、締め切りに追われた化学の実験レポートも、ミスドでしてた気がします。

ちなみに今も、ブレンドコーヒーやカフェオレ、ロイヤルミルクティーのおかわりは自由だそうです。杯数制限もないというから、最近は行ってないのですが、あの頃と変わらず居心地のいい場所なのだと思います。

会場で当時の弁当箱やコップの実物を見て、記憶が一気によみがえってきました。持ち手の丸みまで、覚えている自分に驚きます。

ふと気になりました。

模倣品はなかったのか?

調べてみると、著作権が守るのはイラストという表現であり、弁当箱の形そのものではないそうです。同じ形の食器を作ること自体は、著作権侵害になりにくいとのことです。

そこにジルやジャックの絵を印刷して、初めて著作権の問題が生じます。

形状まで完全にそっくりな場合は、偽物や模倣品による不公正な競争を規制する「不正競争防止法」で対抗できる場合もあります。ただし、発売から3年という期限があるそうです。

長くデザインを守るには、デザインを国に登録し、独占的に使う権利を得る「意匠登録」という別の手段が必要になります。

項目 著作権法 意匠法 不正競争防止法
主な目的 創作された表現を守る 商品などのデザインを守る 他社の不正な模倣・混同などを防ぐ
守る対象 絵、写真、文章、イラスト、音楽などの「表現」 商品・建築物・画像などの「デザイン」 商品形態、表示、営業秘密、著名なブランドなど
権利・保護の発生 原則、創作した時点で発生 原則、特許庁への意匠登録が必要 登録不要の類型が多い
登録 不要 必要 原則不要
保護期間 原則、著作者の死後70年など 原則、出願から25年 類型によって異なる
ポイント 「その表現を無断でコピーしたか」 「そのデザインを独占的に保護できるか」 「他社の成果にただ乗りしていないか」
典型例 イラストを無断コピーする 登録された商品デザインを模倣する 人気商品の形をそのまま真似して販売する

ネットの時代になると、この手の話はさらに厄介になっています。

画像は右クリック一つで保存でき、加工も転載も一瞬です。OSAMU GOODSが生まれた70~80年代とは、模倣するハードルがまるで違います。

だからこそ今は、作る側にも技術的な備えが必要な時代なのだと思います。

例えば、制作の様子を早送りで見せる「タイムラプス」動画です。下描きから完成までの過程を残しておけば、制作した時期や過程の証明になります。

投稿する写真に、撮影日時などが記録される「Exif情報」を残す方法もあります。

さらに、画像に人の目ではほとんど分からない識別情報を埋め込む「電子透かし」という方法もあります。

一方、模倣を見つける側も、画像から似た画像を探せる「画像検索」を使えば、自分の作品が無断で使われていないか調べられます。

皮肉なことに、コピーを容易にした技術そのものが、オリジナルであることを証明する手段にもなっているのですね。

お土産にタオルを購入。洗面台で使います。